花き研究所

花き病害図鑑

白斑病(ハクハンビョウ)

White smut(糸状菌)

植物名: コスモス(秋桜、アキザクラ、オオハルシャギク) キク科 Cosmos bipinnatus
病原菌: Entyloma cosmi
病徴写真

多発生の状況、一見するとうどんこ病のように見える。

葉の白斑症状

白色のやや盛り上がった病斑

葉先端からの枯死

うどんこ病の病徴に似るが本病の場合、病斑の境界がはっきりしている。

病斑の部分で葉が変形する。

白斑症状が消えると葉は黄化する。
病原菌写真

分生子

胞子堆

分生子柄と分生子(電子顕微鏡像)
病徴:

うどんこ病の病徴と類似する。はじめ葉に1mm程度で黄白色の小斑点が形成される。やがて病斑が拡大し、5mm程度の円形病斑となる。発病は下位葉から発 生することが多く、コスモスの生育に伴って、上葉へ蔓延する。7月中~下旬に初発する場合が多い。病斑は拡大に伴って、中心部に分生子を形成し、白色とな る。特に降雨のあとではその形成量が旺盛となり、白斑症状が目立つようになる。病斑はやがて融合し、葉先から褐色となって枯れ込む。激しく発病すると葉全 体が褐色となって枯死する。

発生時期:

生育期(7~9月)

発生場所:

露地

備考:

本病菌は病斑内に淡黄色~淡褐色で球形~亜球形の胞子(黒穂胞子)が集まった胞子堆が観察される。胞子堆は罹病組織内部に埋在して形成される。これらはおそらく翌年の伝染源として重要な役割を持つと考えられる。また、病斑がある程度の大きさになると、中心部から鎌形上の分生子が形成されてくる。これらは初発後の蔓延に重要な役割を果たしていると考えられる。分生子の接種試験を行った結果、発病する植物はコスモスのみで、コスモス栽培種の中でも、多くの園芸 品種が属するコスモス・ビピナタス種のみに発病する。

文献:

堀田治邦・羽賀安春:日植病報64(6):582,1998,Va'nky,K et al.:Mycoscience 46:364,2005

外部サイト:

日本植物病名データベース

記述者:

木口忠彦(道花野セ)・杉山悟(フラワーセあおもり)

記載日: 2011年12月22日

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