花き研究所

カロテノイド

マリーゴールドの花色とカロテノイド量
マリーゴールドの花色とカロテノイド量
カロテノイド量の違いによって花の色の違いが生まれています

カロテノイドは炭素が40個繋がった脂肪族炭化水素とよばれる化合物の総称で、これまでに700種類以上のカロテノイドが自然界で見つかっています。ほとんどのカロテノイドは黄色ですが、ニンジンに含まれるβ-カロテンやトマトのリコペンのように橙色や赤色のカロテノイドもあります。また、黄色のカロテノ イドが高濃度に蓄積することで橙色になる場合もあります。

カロテノイドは植物が光合成をする際に必要な化合物なので、全ての植物の葉や茎に含まれています。したがってどの植物も葉や茎に含まれるカロテノイド組成は似ていて、光合成の時に必要なカロテノイド(ルテイン、ネオキサンチン、ゼアキサンチン、アンテラキサンチン、β- カロテンなど)が共通に含まれています。一方、花に含まれるカロテノイドは量も種類も様々で、同じ植物種でも品種によって異なり、それが淡黄色黄色橙色の幅広い花色を作る要因となっています。

カロテノイドが分解されると、その分解産物が植物や動物にとって重要な生理作用を発揮する場合があります。β-カロテンやα-カロテン、β-クリプトキサンチンなどの一部のカロテノイドは動物の体内で分解されるとビタミンAに変換されます。植物ホルモンのアブシジン酸はキサントフィルの1種のネオキサンチンが分解されて生成します。また、最近ストリゴラクトンという物質が植物の枝分かれを抑制することがわかり、新しい植物ホルモンの仲間入りをしましたが、これもカロテノイドの分解産物です。また、カロテノイドの分解産物が花の香りや色の成分を構成している場合もあります。

カロテノイド生合成経路
カロテノイド生合成経路 <拡大表示>

カロテノイドの生合成はイソプレノイドという炭素が5つ繋がった化合物から出発し、重合を繰り返して40個の炭素が繋がった骨格(脂肪鎖)が形成されます。この脂肪鎖に不飽和化酵素の働きで二重結合が導入されると、黄色を呈するようになります。リコペンまでは直鎖状の構造をしていますが、さらに生合成が進むと両端の6個の炭素により環が形成されます。ここで生合成経路は大きく二つに分かれ、両端にβ環が形成される場合と(β,β-カロテノイド;左側 のルテインに至る経路)、β環とε環がひとつずつ形成される場合(β,ε-カロテノイド;右側のゼアキサンチンに至る経路)があります。さらに、環に水酸基(-OH)やケトン基(=O)が付いたり、様々な修飾が施され、多様なカロテノイドが生まれます。水酸基が付く前の炭素と水素だけで構成されているカロテノイドをカロテン類と呼びます。炭素と水素のほかに水酸基やケトン基などの酸素を含むカロテノイドをキサントフィル(注1)類と呼びます。

注1)キサントフィル

(キサント:黄色い+フィル:葉)秋の黄葉から最初に取り出されたことからこのように呼ばれています。

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