花き研究所

クロロフィル

クロロフィルaの構造
クロロフィルaの構造

クロロフィルは緑色を発色する色素で、葉緑素とも呼ばれます。4つのピロールが環を巻いた構造であるテトラピロールに、フィトールと呼ばれる長鎖アルコールがエステル結合した基本構造をもちます。a~dの4種が知られ、植物の葉や茎など緑色の組織にはaとbが3:1の割合で含まれています。

細胞の中ではたんぱく質、カロテノイドと複合体をつくって葉緑体(クロロプラスト)のチラコイド膜に埋め込まれた形で存在しています。光合成の中心的色素としての働き、光エネルギーを吸収し、自由エネルギーに変換する働きをもちます。

多くの花もつぼみの時はクロロフィルが含まれ緑色をしていますが、花が開く頃になるとクロロフィルは分解されていきます。キクやカーネーション、ランの仲間、バラ、アジサイ等は開花したときにもクロロフィル類が残り、緑色をした花を持つ品種があります。

クロロフィルの働きで緑色になる花
クロロフィルの働きで緑色になる花
上段左:キク品種「フィーリンググリーン」 上段右:カーネーション品種「ラ・フランス」
下段左:カンラン品種「銀鈴」 下段右:バラ品種「スーパーグリーン」

クロロフィル代謝経路の簡略図
クロロフィル代謝経路の簡略図 <拡大表示>

クロロフィルの生合成

クロロフィルはアミノ酸のグルタミン酸から、およそ20ステップの反応によって合成されます。ひとつひとつのステップは酵素によって触媒されるので、クロロフィルの合成・分解にはおよそ20の酵素群が働いています。

クロロフィル合成系において、グルタミン酸からアミノレブリン酸を経てピロール化合物のポルホビリノーゲンが合成されます。これが4分子つながって、基本骨格であるテトラピロール構造が合成されます。これに、マグネシウム(Mg)やフィトール基が付加されてクロロフィルaが作られます。

クロロフィルサイクル

合成されたクロロフィルaは、クロロフィルサイクルにおいてクロロフィルbに変換され、再びクロロフィルaに変換されます。クロロフィルaとクロロフィル bの割合(a/b比)は、光合成の効率(光化学系のアンテナサイズ)を決める重要な要素で、一般に葉にはクロロフィルaとクロロフィルbが3対1の割合で含まれています。クロロフィルサイクルはa/b比を決める重要な役割をはたしていると考えられています。

クロロフィルの分解

葉が老化するときや、蕾が開くとき、果実が成熟するときにはクロロフィル分解系が働き、クロロフィルaからフィトール基やMgがはずされ、分解されて低分子の無色の化合物になります。

専門家向け参考文献

  • Tanaka, Y., Sasaki, N. and Ohmiya, A.(2008) Plant pigments for coloration. Plant J. (Special Issue), 54, 733-749.
  • Tanaka, Y. and Ohmiya, A. (2008) Seeing is believing: engineering anthocyanin and carotenoid biosynthetic pathways. Current Opinion in Biotechnology, 19, 190-197.
  • Tanaka, A., R. Tanaka (2006) Chlorophyll metabolism. Current Opinion in Biotechnology, 9, 248–255.

一般・専門家向け参考書

  • 林孝三 「植物色素」 養賢堂
  • 植物色素研究会編 「植物色素研究法」 大阪公立大学共同出版会
  • 安田齊 「花色の生理・生化学」 内田老鶴圃
  • 岩科司 「花はふしぎ」 講談社ブルーバックス

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