果樹研究所

一押し旬の話題

2012年11月15日

ビワ

ビワ

ビワの花 
ビワの花

ビワの花が咲いています。
冬に花が咲く果物は珍しく、ビワの花は11月中頃から咲き始め、真冬の12月に盛りとなり、2月頃までゆっくりと開花します。
ですから、花や幼果は寒害を受けやすく、冬の寒さの無い所でしか実を着けることはできません。
早く花が咲くので、ビワは初夏一番に実が食べられる果物となっています。

ビワは日本にも野生種がありましたが、現在栽培されているのは中国からもたらされた品種です。
日本のビワについては、奈良時代の書物に書かれていますが、野生の小さなビワであったようです。
ビワという名前の由来も、葉の形が楽器の琵琶に似ていることから来ていると言われています。
日本で栽培が始まったのは江戸時代の中頃で、千葉県富浦には宝暦初年(1751年頃)に栽培されていたと言う記録が残っています。
そのころの果実でもまだ小さなものでしたが、江戸に出荷されていたようです。
その後、江戸時代の末期に中国の品種が日本に入ってきて、現在のような大玉のビワが本格的に栽培されるようになりました。

ビワは種が大きくて、種がなかったらどんなに食べ易いだろうと思う人は多いと思います。
千葉県農林総合研究センターでは、種なしビワを育成して、「希房」と名付けました。来年の6月頃、千葉県内や果物専門店で求められるかもしれません。
でも、ビワの食べる部分は意外と多くて、果実の7割くらいは食べられます。バナナやマンゴーなどの6割程度より沢山食べられるのですよ。

ビワの種を蒔くと、比較的簡単に芽が出てきますが、花が咲いて実が着くまでには10年以上かかります。おいしい実がなるまで、気の長いことですね。

ビワ「希房」の果実
ビワ「希房」の果実

ビワ「茂木」の結実状況
ビワ「茂木」の結実状況

旬の果物

さて、果物屋のお店では、リンゴやウンシュウミカンの割合が増えてきました。
果樹研究所の育成品種では、リンゴ「ふじ」、カキ「太秋(たいしゅう)」、晩生のナシ「王秋(おうしゅう)」など食べてみて下さい。
「太秋」は肉質がさくさくとして軟らかく、果汁が多く、カキらしくないおいしいカキです。

研究センター