果樹研究所

一押し旬の話題

2012年12月 1日

ウンシュウミカン

ウンシュウミカン

今年のミカンはやや小粒ですが、糖も酸も適度に高く、味の濃いミカンとなっています。
ミカンと呼んでいるのは、ウンシュウミカンのことで、我が国における カンキツ類の栽培面積の60%以上はウンシュウミカンが占めています。

色々なカンキツ
色々なカンキツ

特に年内に出荷されるカンキツ類の大部分がウンシュウミカンです。

私たちは、11月から収穫、出荷が可能で、食味が優れるとともに、皮がむきやすくて食べやすい、ウンシュウミカンと区別性のある品種を育成してきましたが、その結果できたのが「みはや」、「はれひめ」です。

ミカンは種がほとんど入らないので、交配して育種することが大変難しく、努力の結果、うまく交配してできたのが「清見」です。
「みはや」や「はれひめ」は、「清見」の孫 になります。
オレンジのような香りのあるカンキツで、ミカンのように果汁たっぷりで皮が手でむけ、ミカンの時期に食べられる品種です。

みはや

みはやの果実 
みはやの果実

「みはや」は、12月に成熟し良食味の「津之望(つののぞみ)」に、1月に成熟し果皮が赤橙色で美麗な「No.1408」系統を交雑して育成し、2012年に品種登録したものです。
11 月上中旬には赤橙色に着色し、果皮は滑らかで外観美麗で、果実の大きさは190g程度とやや大きなミカンです。
皮のむきやすさはミカンに比べて劣りますが、手でむける品種です。果実のほとんどが種なしで、袋(じょうのう膜と言います)はやや軟らかく食べやすい品種です。
果汁の糖度は約12%、酸は 0.60%程度となり、糖度が高く酸味の少ない品種で、香りが高く、食味が優れています。
機能性成分のβ-クリプトキサンチン含量は果肉100gあたり1.48mgと高く、ミカンの「興津早生」と同程度含まれています。

はれひめ

はれひめの結実状況 
はれひめの結実状況

「はれひめ」は1990年に「清見」に「オセオラ」というミカンタイプのカンキツを交配したものに、さらに「宮川早生」ウンシュウを交配し、2004年に品種登録したものです。
果実の大きさは180g位でやや横長の球形で、橙色のカンキツです。
皮の厚さは4mm内外でミカンと比べるとやや厚いですが、皮は容易にむけます。
浮皮は、ほとんど発生しません。12月上旬~中旬に完全着色し、きれいなオレンジ色になります。
果肉も橙色で、じょうのう膜が比較的薄く柔らかいので、そのまま食べられます。
糖度は10%内外でやや低いのですが、減酸が早く、オレンジ様の風味があり食味は良好です。
愛媛県のJAおちいまばりでは、マルドリ栽培をして糖度12度以上のおいしい「はれひめ」を出荷しています。12月から1月までの販売となっています。

旬の果物

木枯らしも吹き始め、紅葉の季節もそろそろ終盤となってきましたが、果物屋さんの店先では、果物が沢山色づいています。
果物の色の成分であるカロテノイド(黄)やアントシアニン(赤)などは私たちの体の健康維持に大きな役割を果たしています。1日300gの果物を食べるように心がけましょう。

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