果樹研究所 かきのき属(Diospyros L.)の品種一覧

錦繍(きんしゅう)

「錦繍」は、落葉期の葉が鮮やかに紅葉するカキ品種です。落葉時の葉色は鮮やかな赤色で着色期が他のカキ品種よりも早く、着色のそろいも良いことから日本料理の彩り(飾り)として好適です。

主要特性

  • 落葉時の葉の色は、濃橙赤~濃赤(日本園芸植物標準色票の0714、0409)で鮮やかな赤色です。色差計測定結果でも赤色の強さを示すa値が著しく高く、着色のそろいもきわめて良好です。
  • 紅葉の始まりは10月下旬であり、‘伊豆’、‘前川次郎’、‘富有’等と比べて著しく早いです。完全に色づいた葉が80%に達するのは11月中旬で、落葉期も他の品種と比べて早いです。
  • 果実は富有よりもやや小さく、完全甘ガキで、成熟期は遅いです。かなりの生理的落果があり、果頂裂果性もあることから、果実生産のための栽培には適しません。
  • 樹勢・樹の大きさともに中位で、樹姿は開張です。発育枝は長く、太さは中位、葉は卵形で富有よりもやや大きいです。耐病性・耐虫性ともに中位で、特に問題となる病害虫は認められませんでした。

 

錦繍の葉
「錦繍」の葉

 

表1 カキ「錦繍」の樹性と葉特性(1992)

 

表2 落葉時の葉色の色差計測定結果(1992)

出願番号
(出願日)
公表日 登録番号
(登録日)
育成者権の存続期間

(1993年3月30日)
1993年3月30日 4540
(1995年6月13日)

(満了日:2013年6月13日)
交配組み合わせ 旧系統名
興津2号(富有×晩御所)×興津15号(晩御所×花御所) 140-71

栽培適地

北海道を除いて東北地方以南で栽培可能であるが、秋季の降雨量の少ない地域で鮮やかな紅葉が得られる。 

農林認定品種(旧:命名登録品種)

登録番号:かき農林6号

登録年月日:1993年7月16日

育成担当者

山根弘康、山田昌彦、栗原昭夫、吉永勝一、永田賢嗣、角 利昭、平林利郎、小澤俊治、平川信之、佐藤明彦、松本亮司、角谷真奈美

発表論文

果樹試験場報告30-31号, p.15-24(1998-03) : カキ新品種‘丹麗'と‘錦繍'

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