トピック
3種のヤガ科新害虫の幼虫についての詳しい情報

クシナシスジキリヨトウ Spodoptera cilium

 
終齢幼虫は体長約26mm,頭部は網目状紋に覆われた黒褐色.腹部は淡灰色となり,第3〜6,10節に完全な腹脚を備える.腹部背側方にU字型の黒色紋をもつが,個体によっては紋の側方部の一部分が薄くなり三角型に近い紋に見えることもある.静岡県のゴルフ場でシバの食害を確認しているが,国内ではそれ以外の植物への加害は報告されていない.海外では,他にイネやタバコ等への被害も記録されている.現在,日本からはSpodoptera属は8種が知られており,このうちの4種が害虫とされてきたが,今回新たに本種が害虫と認められたので本邦産のSpodoptera属の害虫は5種となった.本種の終齢幼虫は,シバの在来害虫スジキリヨトウSpodoptera depravataに酷似している.また本属の卵は,表面を母蛾の鱗毛で覆われた卵塊であることから他のグループのヤガ類とは区別できる.

イラクサギンウワバ Trichoplusia ni

 
終齢幼虫は体長約32mmで,第3,4腹節に脚を欠き,第5,6,10腹節のみに腹脚を備えるセミルーパーである.終齢幼虫の体色は薄い緑黄色で,頭部は一様な淡緑黄色である.体には小白斑が散在している.キャベツ,レタス,キク,ピーマン,オクラ,ニンジン等を食害する.タマナギンウワバの幼虫も同様な野菜類で発生し,また本種に非常に類似しているので注意が必要である.実際の両種の識別は幼虫の刺毛配列(皮膚上の毛の位置や状態)を詳細に検眼する必要がある.第9腹節のSD1刺毛は,本種では極細であるが,タマナギンウワバでは他の刺毛と同様であること,第1〜4腹節のV1刺毛は本種では位置を変え第3,4節では腹中線から離れるのに対し,タマナギンウワバでは第1〜4腹節で位置を変えないことが区別点となる.今のところ,兵庫県の秋作野菜で多発生していることが分かっている.

ムラサキアツバ Diomea cremata

 
前種と同様に,終齢幼虫は第3,4腹節に腹脚を欠き,腹脚は第5,6,10腹節のみに備えるセミルーパーであるため,シャクトリムシ状の歩行をする.終齢では体長約30mm.腹部背方の隆起は目立ち,特に第8腹節で目立つ.体色は,紫褐色の地に不規則な屈曲した白線が縦走して複雑な斑紋を呈する.地色と白線・白色部の幅の変異は大きく,紫褐色の強い個体や黒色に近い個体,全体に淡色で灰色に見える個体もある.腹部は各環節の境界で強くくびれ,刺毛は短く目立たない.栽培きのこではシイタケのみに被害を与える.

問合せ先

農業環境インペントリーセンター 吉松慎一
電話:029-838-8348,FAX:029-838-8354
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