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6.日高(北海道)

軽種馬の産地日高

 <1985年5月24日観測画像>

画像の右側は太平洋で,緑の部分が林地および農地である。林地の中心部を日高山脈が斜めに走る。

日高山脈を境に,北側(左上)が十勝管内,南側が日高管内である。日高山脈は非対称型を呈し,十勝側が急で侵食が進んでいるのに対し,日高側はやや緩く侵食の割合が弱く,両地域の地形が異なっている。

この画像は5月下旬に撮ったもので,この時期十勝側の畑地では作物が播種されたばかりで,裸地状態に近く,ピンクに撮し出されている。また,日高側に目をやると,河川に沿う水田に水が入っているため黒く撮し出されている。

日高側の緑のうちで,色の薄い部分は牧草地で,濃い部分が林地である。なお,太平洋岸の一際緑の濃い部分は蛇紋岩からなるアポイ岳を撮し出している。アポイ岳には蛇紋岩特有のアポイカンバ,アポイザサなどの植物群落が知られており,植生の色を反映しているのだろう。

日高管内の気候は比較的温暖であるが,太平洋に面する沿岸地域と内陸地域に大別され,前者は海洋性気候を後者は内陸性気候を示している。積雪量,降水量は沿岸地域で少なく,内陸地域で多くなっている。夏季には海岸線で濃霧が発生し,地温の高まらない原因になっている。冬季間は最低気温がマイナス10℃以下になることは稀れで,北海道の中にあって気候的にも恵まれた地域といえる。

丘陵地,台地はいずれも火山灰によって被覆されている。火山灰土の種類は,火山噴火の主軸になっている部分と,それから離れる地域とでは異なっている。浦河町周辺は腐植含量が高く厚層黒色火山性土が,門別付近には火山放出物未熟土が,静内付近には黒色火山性土が分布している。また,各河川の流域には沖積土や泥炭土が分布している。

日高管内における農耕地の面積は41千ヘクタールで,水田6.9千ヘクタール(16.9%),普通畑2.8千ヘクタール(6.9%),牧草地31.3千ヘクタール(76.1%)である。また,1戸当たりの耕地面積は10.4ヘクタールで,北海道の平均12.7ヘクタールよりやや狭い。

作付け作物としては牧草が圧倒的に多いが,牧草の利用は牛乳生産に利用されているのは少なく,大部分が軽種馬生産のためで,他地域とは大きく異なっている。日高農業における軽種馬生産の占める割合は,農業粗生産額の69.1%で,日高農業が軽種馬生産に依存していることがわかる。

北海道における軽種馬の日高管内の位置づけをみると,飼養頭数では83.2%,粗生産額では89.0%を占めている。これは全国の軽種馬生産の79.0%にあたっている。

そして,日高から優秀な競争馬を毎年数多く輩出していることは,よく知られているところである。ただし,1戸当たりの繁殖雌馬頭数は5〜10頭で,全般的に経営規模が小さい。

なお,「馬産地日高」も最初から競争馬の生産を目的に始められたのではなく,最初は交通,運搬の手段として南部馬が導入されたとされている。安政5年には,馬の改良と繁殖を目的に,浦河に牧場が設置されている。また,明治20年以降は,国の軍備強化に伴って馬の増殖が図られ,それが今日の基礎となっている。

菊地晃二(北海道立中央農業試験場)

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