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40.京都

伝統的な産品により新しい境地をきり拓く農業

 <1985年6月5日観測画像>

京都府は南北に長く,南は関西学術研究都市に接し,北は丹後半島となり日本海に面している。画像では,西北(左下)から東南(右上)にかけての対角線より北部(上部)が京都府であり,東南部は大阪府,西部から西南部にかけては兵庫県となっている。

京都府の耕地面積は昭和33,34年の57.2千ヘクタールをピークに年々減少を続け,現在では36.3千ヘクタールと総面積の約8%となっている。耕地の地目別構成では水田が約8割,普通畑および樹園地が約1割と水田への依存が高い。画像中では青く表示されているところが田植後の水田である。

画像中央部は丹波と呼ばれ,京都府内では亀岡盆地を含む南丹と福知山盆地を含む中丹に行政上区分されている。丹波の特産物は,新丹波黒大豆,京都大納言小豆,丹波マツタケ,丹波クリ等で数多い。このうち新丹波黒大豆と京都大納言小豆は京都府農業総合研究所で在来種から純系淘汰されたもので,品質はともに極上とされる。黒大豆の作付面積は,大豆の作付面積720ヘクタールのうち287ヘクタールを占めている。小豆の作付面積は1,320ヘクタールである。しかし,これらの作物は湿害に弱く,収量が天候に左右されやすいところがあり,排水改善が課題となっている。また,黒大豆はウイルス病に弱く,収量,品質を低下させる要因となっているが,弱毒ウイルスの接種による防除がほぼ実用化しつつある。

画像の右上では亀岡盆地から京都盆地にかけて保津川が流れており,京都盆地への入口は嵐山となっている。その嵐山の南側には海成粘土層に由来する黄色土が広がり,酸性土壌を利用して良質なたけのこの栽培が行われている。

画像の上端は京都市であり,画像上では耕地はほとんど認識できないが,野菜の栽培が行われている。京都市は平安遷都以来,千余年にわたって都が置かれたことから,17世紀前半には約40万人前後の消費人口を持つ都市に成長し野菜の栽培が盛んとなった。しかし,明治時代に入ると大阪のような大都市を背景に都市近郊農業としての性格を強めてきた。

京都府内において水田農業確立対策により水稲から野菜へ転作された面積は1,818ヘクタールであり,転作面積の37%を占めており,今後の農業の展望も野菜園芸によってきり拓こうとしている。また,万願寺トウガラシ,ミズ菜,九条ネギ,エビイモ,賀茂ナス,鹿ケ谷カボチャなどの伝統野菜を中心とした京野菜については,ブランド産品の先導的役割を担う重点品目と位置づけられており,丹波以北へも波及を目指しているが,京都市域との土壌の違いに適応していかなければならない。

藤原敏郎(京都府農業総合研究所)

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