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50.徳島

新鮮共感基地徳島

 <1989年5月31日観測画像>

徳島県は四国の東部に位置し,東は紀伊水道に面し,県中央部を四国脊梁・剣山地が,また北辺には阿讃山脈が東西に走り,香川県との境をなす。この両山地の間を縫って吉野川が流れ,農業の中心地帯である河谷平野(徳島平野)を形成している。年平均気温は海岸部で16〜17℃,山間部で12.5〜14.5℃と較差が大きい。吉野川河谷以北の年平均降水量は1,400ミリ内外で,瀬戸内型気候である。一方,四国脊梁・剣山地南斜面は2,500〜3,000ミリと多雨である。県面積約4千平方キロの76%は林野で,その63%が杉を主体とした人工林である。耕地は県面積の9%,38.1千ヘクタールで,水田61,普通畑16,樹園地23%である。

農家1戸当たりの経営耕地面積は75アールと小さいが,温暖な気候に恵まれて集約度は高く,耕地利用率は125%と全国3位である。また,農業粗生産額構成比は,畜産33,野菜・花き28,米14,果実11%である。

さて,画像はうず潮で名高い鳴門海峡から,アカウミガメが産卵する日和佐町付近まで,東海岸に沿って徳島県のほぼ半分を撮し出している。右上隅にのぞく兵庫県の淡路島までの1.3キロメートルの海峡をまたぐ大鳴門橋も,かすかにみることができる。左下隅の明るい黄緑は,剣山地の落葉広葉樹林の若葉で,周辺の深い谷,複雑な山ひだの陰影と,鮮かな対比を示す。吉野川の河口近くは1673年,藩主蜂須賀氏が新たに水路を開いたもので,旧吉野川は画面中央付近から北岸へ分岐,阿讃山麓を廻り,さらに二股に分かれて河口平野を蛇行している。付近はグライ土や灰色低地土が多く,3分の1がハウス化したレンコン畑でその生産量は全国2位である。しかし,最近は地盤沈下から塩害が発生することもある。鳴門市の海岸から吉野川河口までの砂地や,湿田を海砂で埋め立てた造成畑では,早掘りカンショや秋・冬ダイコンで,高い生産をあげている。これよりやや上流,かって全国一の藍生産を誇ったが,今は灰色低地土,褐色低地土が広く分布する吉野川平野では,水田裏作を中心に,ホウレンソウ,ニンジン,ハウスイチゴ,キュウリ,ナス,ブロッコリー,レタスなど,京阪神市場と直結した特産物が栽培されている。この地域の水田,畑地の生産力は高い。また栽培歴の長いサヤエンドウに連作障害が生じないのも,水田利用の利点である。さらに上流に向かってはビール麦,裸麦,小麦の作付けが増す。撮影が5月31日であることから,紫白色の平野部水田には水がまだ入っていない。一方,濃紫色の小松島・那賀川河口平野は,裏作の出来ない湿田のグライ土,灰色低地土が多く,すでに早期栽培の田植えが終了したものである。

なお,香り高いスダチとユズは木頭村等山間部の特産としてよく知られるところである。

先に記した鳴門の砂地では,数年ごとに「手入れ砂」と称して,吉野川起源の新しい海砂を厚さ5センチメートル程客入することが,ダイコンやカンショの品質保持に必須である。海砂採取の規制から,徳島農試では,微粒子の砂が障害を引き起こすことをつきとめ,洗浄して0.1ミリ以下の粒子を除去し再利用する「洗い砂技術」を開発した。さらに洗浄濁水が出ない乾式篩別法を研究中である。茎頂培養法によるウイルスフリー苗もまた,早掘りカンショの品質向上に貢献している。たゆまぬ技術開発が生鮮食糧基地徳島をささえている。

石原 暁(四国農業試験場)

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