農業環境技術研究所 > データベース・画像 > 宇宙から見た日本の農業

52.中予(愛媛)

みかんの里−伊予

 <1984年5月8日観測画像>

愛媛県は四国の北西部に位置し,北は瀬戸内海,西は豊後水道に面し,南は標高2,000メートルに近い四国山地を背にしている。そのため沿岸部は年平均気温15〜16℃,年降水量1,400ミリ以内の温暖小雨の瀬戸内型気候である。一方四国山地沿いの地域は年降水量2,000余ミリで冷涼湿潤である。

画像は愛媛県の中部,瀬戸内海に突出した高縄半島とその南にそびえる四国山地の一部を示している。中央左側,重信川沿いに白く広がる道後平野の中心,やや濃い紫色は県都松山市,その右上には道後温泉街が続いている。

海岸に沿って北上すると北条市,半島先端部東側は今治市で,大島との間は潮流の速い来島瀬戸。本州側尾道から連絡橋の出来る日も遠くはない。燧灘沿いの道前平野には東予市,西条市,写っていないが新居浜市など臨海工業地帯が続く。画像が5月8日観測であることから,平野部の淡い緑はムギ,ソラマメ,タマネギ等であろうか。裸ムギの生産高12,700トンは東,中予地方に多い。水田の整備率30.6%は,四国では最も高く,グライ土は河口付近に分布するのみで,透水性の良い灰色低地土が水田の80%以上を占めていることが,水田の耕地利用率122%(冬作31.4%)を可能にしている。

半島中央に楕円形に見える花崗岩の高縄山地と,四国山地の北端,和泉層群の法皇山脈が平野と接する山麓部には褐色森林土の果樹園がひらかれている。

愛媛県の樹園地は耕地の約50%で,全国平均9.1%より飛び抜けて多いが,傾斜15°以上の急傾斜畑(含樹園地)が60%を占めている。

昭和63年の愛媛県の温州ミカン収量は32万トンと50年にくらべ半減した。一方,4.4万トンにすぎなかったイヨカンは9.4万トンと急増した。松山市,北条市など中予地方がその中心地で,主に京浜方面に出荷している。また,キウイフルーツも急増し,全国生産の23%を占めるがその約半分は同じく中予地方が出荷している。

気候的には南予に劣るが地形がやや緩やかなことを生かし,生産の適地性と将来の消費動向をたくみに先取りした対応である。

画像右中央,淡茶と白色のひだは四国最高峰1,982メートルの石鎚山と二ノ森等高山で,西へ連なり脊梁山脈をなす。この北麓には中央構造線が東西に走っている。

全国的に畑地の半分を占める黒ボク土が四国ではほとんど見られない。地形が急峻なため山頂付近の平坦な草地,林地以外では流亡したためといわれる。ただ,四国山地の中,久万盆地にのみまとまって残存している。画像中央やや下部,石槌山脈に連なる3つの谷が,市街地のように紫色に見えるのは,黒ボク土のせいである。久万町では夏季冷涼かつ日較差の大きい気候条件を生かして,夏秋季トマトの雨よけ栽培産地となり,阪神市場で高い評価を得ている。

なお,四国山地に降る雨は愛媛県内とはいえすべて高知県側へと流下する。直線距離なら20キロメートル以内で瀬戸内海に届くのに,100キロメートル余を流れて太平洋に注ぐ仁淀川の水源は,久万町や面河村である。ため池に用水を頼っていた道前,道後平野にも,トンネルを通じて面河ダムの水が,現在では送水がなされるようになった。

石原 暁(四国農業試験場)

目次ページへ 前のページヘ 次のページへ