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情報:農業と環境 No.69 (2006.1)
独立行政法人農業環境技術研究所

国際情報: 国連気候変動会議(COP11 & COP/MOP1)(モントリオール2005)

「今回の会議は、これまでの国連気候変動会議のなかでもっとも実りの多い会議のひとつとなった。合意された計画は気候変動に対する今後の行動の進路を固めるものだ。」国連気候変動枠組条約事務局長代理は会議の成功をこう語った。2005年11月28日から12月9日(実際は徹夜交渉になり10日朝閉会)まで、気候変動枠組条約第11回締約国会議(COP11)と京都議定書第1回締約国会合(COP/MOP1)がカナダのモントリオールで同時開催された。

2005年7月に英国で開かれた主要国首脳会議(グレンイーグルズ・サミット)で気候変動への対応が話し合われ、それをふまえて今回の気候変動会議へ向けた調整が議長国カナダの主導で行われていた。地球規模の気候変動問題の中核は温暖化であり、対策は二酸化炭素など温室効果ガスの排出削減である。各国の削減目標を定めた京都議定書が2005年2月に発効したが、先進国のうち米国とオーストラリアは批准しておらず、発展途上国には削減義務がない。米国と発展途上国のそれぞれの排出量が総排出量に占める割合は大きく、今回の会議ではこれらの国々の対応が注目された。

会議には189カ国・地域からおよそ1万人が参加し、これまでに開催された締約国会議の中では最大規模となった。議長を務めたカナダの環境相は、会議の成果について、「いくつもの分野でキーになる決定が行われた。京都議定書はスイッチオンになった。将来の行動について対話が始まった。締約国は「枠組条約」と「議定書」の行動手順の実施段階に入った。」と語った。このことばは今回の成果を端的に表している。関係者やメディアは、米国と発展途上国が京都議定書後(2013年以降)の温室効果ガス削減についての協議に参加する方向で合意したことを大きな成果と評価している。

会議の成果は大きく3つにまとめられる。ひとつは京都議定書の運用ルールが完全に確立されたことである。マラケシュ合意(COP7での合意内容)の採択により京都議定書の運用ルールが確立されるとともに、議定書遵守ルールが確立され、各種委員会が設置された。次に、京都議定書に規定されていない2013年以降の温室効果ガス削減のための行動について、米国や発展途上国も含めた対話のプロセスが確立されたことである。対話の場の設置とともに、2006年、2007年の締約国会議での対話結果の報告などについて合意された。もうひとつは、適応策(気候変動による影響への対応策)に関する5カ年作業計画が策定されたことである。

国連気候変動枠組条約事務局のプレスリリースによると、温室効果ガス排出削減と気候変動影響対策についての議論では技術論も重要な話題であった。今後のさらなる技術開発と技術移転に各国が合意した。なかでも、二酸化炭素の捕集・貯蔵技術は二酸化炭素削減のコストを30%も削減できそうだとして注目を集めたとのことである。

農業環境技術研究所では、地球温暖化などの気候変動が農業に及ぼす影響や、逆に農業が気候変動に及ぼす影響について研究を推進している。関連する研究情報は、当研究所Webサイト (http://www.naro.affrc.go.jp/archive/niaes/)の地球環境部のページ (http://www.naro.affrc.go.jp/archive/niaes/globalrs/index.html (該当するページは削除されました。2010年11月))などで公表されている。

気候変動枠組条約(United Nations Framework Convention on Climate Change)は1992年に採択され、1994年に発効した。締約国は2005年5月現在、188カ国および欧州連合となっている。気候変動枠組条約締約国会議(Conference of the Parties to the Convention)(COP)は毎年開催されている。京都議定書(Kyoto Protocol to the United Nations Framework Convention on Climate Change)は1997年に採択され、2005年にようやく発効した。2005 年11月現在、156カ国と欧州連合が締結している。京都議定書締約国会合(Meeting of the Parties to the Protocol )(MOP)は2005年11月に初めて開催された。第2回は本年(2006年)11月にCOP12と同時に開催される予定である。気候変動枠組条約と京都議定書は環境省のWebサイト (http://www.env.go.jp/earth/ondanka/cop.html)に掲載されている。

ここで引用・参照した文書は、下記のWebサイトで公表されている。

・ 会議概要(国連気候変動枠組条約事務局、英語) (http://unfccc.int/2860.php)

・ 採択文書(国連気候変動枠組条約事務局、英語) (http://unfccc.int/meetings/cop_11/items/3394.php)

・ プレスリリース(国連気候変動枠組条約事務局、英語) (http://unfccc.int/files/press/news_room/press_releases_and_advisories/application/pdf/press051210_cop11.pdf)

・ 会議の概要と評価(環境省・外務省、日本語) (http://www.env.go.jp/earth/cop/cop11/hyoka.pdf または http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/kankyo/kiko/cop11_2_gh.html)

(企画調整部 木村 龍介) 

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