私たちを取り巻く大気環境にはさまざまな有機化学物質が漂流しており、シックハウス症候群に代表される化学物質過敏症が近年大きな問題となっています。農業場面では、散布された農薬が漂流飛散(ドリフト)するとともに、その後土壌などから徐々に揮散し、作業者や作物だけでなく、周辺住民や環境への影響も懸念されています。
わが国では、大気中浮遊粒子状物質(ばい塵・粉塵)や光化学オキシダント(スモッグ)の原因の一つである揮発性有機化合物の排出抑制を図るため、大気汚染防止法の一部を改正する法律が平成17年6月1日に一部施行されました。国際的には、残留性有機汚染物質(POPs)に関するストックホルム条約が平成16年5月に発効し、現在新規POPsの追加が検討されています。
食品に目を移すと、農薬の作物残留に関するポジティブリスト制度が本年5月29日から施行され、私たちが食べる作物に対して海外で使用されるものを含むすべての農薬に残留基準が設定されましたが、作物残留の最大の要因としてドリフトが懸念されています。
この研究会では、国内外における大気中の化学物質のリスク管理や農薬のドリフトに関する各種の取組みを通して、それらの問題点と対策を整理するとともに、大気中の農薬のリスク管理に関する今後の研究方向を探ります。
開催日時: 平成18年10月5日(木) 10:00 − 17:00
開催場所: 農業環境技術研究所 大会議室
プログラム(予定)
10:00 - 10:10 理事長あいさつ
農業環境技術研究所 佐藤洋平
10:10 - 10:50 大気汚染防止法による化学物質対策について
環境省 水・大気環境局 木田正憲
10:50 - 11:30 有機化学物質の環境排出と大気中挙動
国立環境研究所 川本克也
11:30 - 12:15 大気−植生LESモデルによるドリフト研究への取り組み
中央農業総合研究センター 井上君夫
森林総合研究所 渡辺 力
12:15 - 13:15 昼休み
13:15 - 14:00 農薬のスプレードリフト対策への取り組み
全国農業協同組合連合会 営農・技術センター 川幡 寛
14:00 - 14:45 べーパードリフトに関する農薬研究の現状と取り組みについて
農業環境技術研究所 小原裕三
14:45 - 15:00 休憩
15:00 - 16:15 グループディスカッション
16:15 - 17:00 総合討論
参加申し込み・問合わせ先 :
農業環境技術研究所 有機化学物質研究領域長 與語靖洋
305-8604 茨城県つくば市観音台3-1-3
TEL 029-838-8301 FAX 029-838-8199 E-mail yogo@affrc.go.jp