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情報:農業と環境 No.80 (2006.12)
独立行政法人農業環境技術研究所

公開セミナー 「外来植物のリスクを調べて蔓延を防止する −研究開始後の1年間に得られた主な成果について−」 が福岡市で開催された

平成18年10月21日(土曜日)、福岡市で、公開セミナー 「外来植物のリスクを調べて、その蔓延を防止する −外来植物とどう対峙するか?−」 が開催されました。

このセミナーは、科学技術振興調整費重要問題解決型プロジェクト 「外来植物のリスク評価と蔓延防止策」 のアウトリーチ活動として、農業環境技術研究所が主催し、福岡市および西日本新聞社の後援によって行われたものです。

大学、研究法人、行政、民間、学生など、計75名の方が参加されました。

開催趣旨

農業環境技術研究所では、2005年6月に施行された外来生物被害防止法の円滑な実施に貢献するために、科学技術振興調整費による重要問題解決型研究 「外来植物のリスク評価と蔓延防止策」 を実施しています。

公開セミナーでは、法律の意義と外来植物がもたらすリスクに関する研究成果を発表し、外来生物の管理が生物多様性を保全するためにきわめて重要であることを、市民のみなさんに理解していただくとともに、幅広いご意見を今後の研究計画に反映させることを目的にしています。

今回はその4回目にあたり、とくに外来植物のリスク評価法、蔓延(まんえん)、生態特性、防除技術などに重点をおいて論議しました。

プログラムの内容

1) 外来植物のリスクを科学的に評価する方法を開発する

西田智子 (農業環境技術研究所)

2) 現在、日本にはどのような外来植物が蔓延しているか

楠本良延 (農業環境技術研究所)

3) アレロパシーや毒性が強く新たに侵入して問題となる外来植物について

藤井義晴 (農業環境技術研究所)

4) 外来植物が好きな土、在来植物が好きな土

平舘俊太郎 (農業環境技術研究所)

5) 外来植物の侵入経路を遺伝子レベルで調べて、新たな侵入を遮断する

池田堅太郎 (畜産草地研究所)

6) 種子からその種類を判定する −外来植物データベースの作成−

榎本 敬 (岡山大学資源生物科学研究所)

7) 外来植物の防除に利用する除草剤が野生植物に及ぼす影響を調べる

池田浩明 (農業環境技術研究所)

8) 現在日本に蔓延している外来植物を防除する技術を開発する

村岡哲郎 (日本植物調節剤研究協会研究所)

9) フリートーク −外来植物から日本の生態系を守るためにどうすべきか−

(コメンテータの意見、会場からのご意見、質疑応答と討論)

論議された主な意見

1. 外来植物の定義として明治以降に入ってきた生物との意見もあるが、有害性のあるものを侵入生物とする意見もある。外来植物侵入後の個体群逓減(ていげん)機構の解明が必要である。

2. 伝統的な農村・農業地帯における植生を見直し、肥料管理による外来植物管理・蔓延の抑制を考える必要がある。

3. 導入(予定)植物には、たとえばイタリアンライグラスのように有益なものもある。何を導入するか、禁止するか、利用者と愛好家で異なることがある。このプロジェクトで十分論議するとともに、悪影響をおよぼさないような管理技術を開発したらどうか。

4. 防除すべき植物と保全すべき植物が混生している生態系における効率的で実用的な植生管理技術の確立が必要である。

まとめ

○ 全体を通して活発な論議が行われました。とくに九州大学と環境省の専門家からの積極的な発言があるなど、有意義なセミナーになりました。

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