開催趣旨:
近年、化石燃料の大量消費などの人間活動にともなって大気環境に大きな変化が見られています。1970年代から1980年代にかけては光化学オキシダントと酸性雨が問題化しました。さらに、1980年代後半からは、オゾン層破壊とそれにともなう紫外線 (UV−B) の増加、大気中の CO2 濃度の上昇とそれにともなう温暖化が、どちらも地球環境問題として顕在化しています。
植物は、このような大気環境の変化に対して、目に見える被害、成長の阻害あるいは促進など、さまざまな応答を示してきました。このような中で、かつて社会を揺るがした、あるいは現在も社会に大きな不安を与えているいくつかの問題(たとえば、光化学オキシダントによる広域な植物被害や、酸性雨が原因と指摘されたスギの枯損や森林の衰退)は、いまどうなっているでしょうか。また、現在から将来にわたってもっとも憂慮されている温暖化に対して、植物や生態系はどのように応答し、どう変化していくのでしょうか。
この研究会では、過去から現在にいたる大気環境の変化と植物の応答について、研究成果や問題点を整理することによって未解明のポイントを浮かびあがらせ、今後取り組むべき課題を論議します。
開催日時: 平成19年3月9日(金) 10:00 〜 17:10
開催場所: 農業環境技術研究所 大会議室
主催: 独立行政法人農業環境技術研究所
共催: 大気環境学会 植物分科会、 日本農業気象学会 生態系プロセス研究部会
プログラム:
10:00-10:10 開会あいさつ
佐藤洋平 農業環境技術研究所 理事長
10:10-10:55 オゾンの植物への影響:過去・現在・未来
野内 勇 (農業環境技術研究所)
10:55-11:35 オゾン障害の発現メカニズムは解明されたか?
佐治 光 (国立環境研究所)
11:35-12:15 平地のスギ枯損の原因はわかったのか?
小川和雄 (埼玉県環境科学国際センター)
12:15-13:15 <昼食>
13:15-14:00 森林衰退の現状と原因、特に丹沢を例として
河野吉久 (電力中央研究所)
14:00-14:40 UV−B増加の植物影響: 遺伝子から食料生産
日出間 純 (東北大学大学院生命科学研究科)
14:40-15:20 高CO2濃度に対して作物はいかに応答するか
長谷川利拡 (農業環境技術研究所)
15:20-15:30 <休憩>
15:30-16:10 高温によるイネの不稔現象
松井 勤 (岐阜大学応用生物科学部)
16:10-16:40 イネの高温不稔を群落微気象モデルで解析する
吉本真由美 (農業環境技術研究所)
16:40-17:10 パネルディスカッション 「大気環境と植物影響評価研究の展開」
パネラー: 話題提供者、 司会: 野内 勇(農業環境技術研究所)
参集範囲: 国公立・独立行政法人の試験研究機関、大学、行政部局、関連団体 など
参加申し込み・問い合わせ先:
農業環境技術研究所 大気環境研究領域長 野内 勇
Tel: 029-838-8201 Fax: 029-838-8211 e-mail: nouchi@niaes.affrc.go.jp