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情報:農業と環境 No.87 (2007.7)
独立行政法人農業環境技術研究所

21世紀環境立国戦略が策定された

地球温暖化をはじめとする環境問題は国際的にも緊急に解決すべきテーマになっています。6月にドイツで開催された主要国首脳会議(G8サミット)では、地球温暖化対策として2050年までの温室効果ガス削減に向けた取組みについて話し合われました。2008年のサミットは北海道虻田郡洞爺湖町で開催されることが決定されており、わが国の環境政策を明らかにし国際貢献に向けた対応が迫られています。

環境大臣の諮問機関である 中央環境審議会 に、21世紀環境立国戦略特別部会 が設置され、地球環境の現状と今後の施策の方向性が検討されました。その結果を踏まえ「21世紀環境立国戦略」( http://www.env.go.jp/guide/info/21c_ens/index.html )(環境省)が6月1日に閣議決定されました。

以下に、その概要を紹介します。

地球環境は、悠久の歴史の中で多種多様な生物との相互作用を通し育まれてきたものであり、将来世代に継承し世代間で共有すべきものです。しかし、人為起源の温室効果ガスによる地球温暖化、大量生産・大量消費・大量廃棄型の社会経済活動による環境破壊、人間活動による生物多様性の大幅な喪失が起こっています。

これら3つの危機に立ち向かうために、持続可能な社会を目指し、低炭素社会、循環型社会、自然共生社会の構築が必要です。すなわち、「自然との共生を図りながら、人間社会における炭素も含めた物質循環を自然、そして地球の大きな循環に沿う形で健全なものとし、持続的に成長・発展する社会の実現を図るべき」と提示しています。

わが国が、アジアそして世界の発展と繁栄に貢献するために、自然との共生を図る智慧と伝統を活かし、また、経済の活性化や国際競争力の強化を進め、環境と経済の両立を図ることが重要です。さらに、「環境立国・日本」を実現するために、わが国が誇る環境・エネルギー技術や過去の公害克服の経験・智慧を活かした国際協力を重要施策として展開していくべきとされました。

今後の取組みについて、深刻な地球温暖化への対策をはじめとして、重点的な環境政策の方向性を、今後1、2年で着手すべき8つの戦略として以下(目次)のように整理されました。その中のいくつかを示します。地球温暖化については、「世界全体の温室効果ガス排出量を、現状に比して2050年までに半減するという長期目標を全世界に共通する目標として提案する」とし、このことは今年のG8サミットで一定の合意がなされました。

生物多様性の保全について、人間と自然が共生する社会を求めていく上で、わが国の里地里山を例に世界に発信すること、温暖化の影響を含めた生態系総合監視システムの構築、農林水産業の活性化を通じて国土の生物多様性を図ることなどが提示されました。

さらに、美しい地域づくりは、郷、都市、水辺、森林などそれぞれの地域特性を活かし、多くの関係者の協働によって可能になります。特に、郷作りでは「環境保全型農業を推進し、自然の恵みを活かした農林水産業の活性化の取組を積極的に展開する」「環境に配慮した農林水産業を核とした人と自然が元気な郷作りを目指す」と戦略が明示されました。

目次

1. 地球環境の現状と課題

(1) 地球規模での環境問題の深刻化

(2) 持続可能な社会に向けた取組

2.「環境立国・日本」の創造・発信

(1) 持続可能な社会の「日本モデル」の構築

(2) 「環境立国・日本」に向けた施策の展開方向

3.今後1、2年で重点的に着手すべき八つの戦略

戦略1 気候変動問題の克服に向けた国際的リーダーシップ

戦略2 生物多様性の保全による自然の恵みの享受と継承

戦略3 3Rを通じた持続可能な資源循環

戦略4 公害克服の経験と智慧を活かした国際協力

戦略5 環境・エネルギー技術を中核とした経済成長

戦略6 自然の恵みを活かした活力溢れる地域づくり

戦略7 環境を感じ、考え、行動する人づくり

戦略8 環境立国を支える仕組みづくり

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