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情報:農業と環境 No.90 (2007.10)
独立行政法人農業環境技術研究所

第24回農薬環境動態研究会 「農薬のリスク管理に向けて―農薬分析に何が求められるか?」― が開催された

昨今、農薬や残留性有機汚染物質 (POPs)の作物や環境中への残留問題は、恒常的に取り上げられています。これらの分析技術は、前処理方法や分析感度などが年々進歩しており、また農薬開発、農薬登録、試験研究、出荷前自主検査などの目的に応じて、求められる分析精度、感度、効率も異なると考えられます。

そこで、さる9月20日、第24回農薬環境動態研究会が、「農薬のリスク管理に向けて」を前日の第7回有機化学物質研究会と共通のメインテーマとし、「農薬分析に何が求められるか?」をサブテーマとして開催されました。5名の講師の方々に講演していただき、都道府県の試験研究機関、行政、植物防疫関係団体、農薬メーカーなど約110名が参加しました。

開催日時: 平成19年9月20日(木曜日)

開催場所: 農業環境技術研究所 大会議室

参加者数: 113名 (農環研:27名、 他の独立行政法人:6名、 公立試験研究機関:43名、 行政:10名、 関連団体:26名、 その他:1名)

講演の内容

講演1では、「ISO22000について」 の演題で、食品産業センターの大西吉久 氏から話題提供がありました。ISO の由来に始まり、ISO22000 について詳細な解説がありました。具体的には、PDCA サイクルや ISO9001/HACCP との関連、食品安全管理システムの各種要求事項、国内における適合性認定や審査員登録について、詳細な説明がありました。

講演2では、「土壌中のPOPsの残留分析と要因解析」 の演題で、農業環境技術研究所の清家伸康氏から話題提供がありました。残留分析には、異性体や代謝物を分析するなど情報量を増やすことの重要性、影響の大きさを解析・数値化するための多変量解析やレセプターモデル、確率分布を考慮した評価のためのモンテカルロシミュレーションなどについて解説がありました。

講演3では、「水中の農薬の生態系影響評価における暴露評価の重要性」 の演題で、農業環境技術研究所の堀尾剛氏から話題提供がありました。まず、わが国における河川水の農薬モニタリングについて紹介があり、その後水生生物に対するモニタリングについて、除草剤を中心に具体的な研究事例とともに、モニタリングの継続や採水のタイミングの重要性が示されました。さらに数理モデルとモニタリングの相補的関連性や、毒性評価と組み合わせたリスク評価についても解説されました。

講演4では、「作物の残留分析システム開発【宮崎方式】(自主検査としての農薬分析に何が求められるか)」 の演題で、宮崎県総合農業試験場の安藤孝氏から話題提供がありました。この宮崎方式を導入した経緯やコンセプト始まり、開発の内容と成果、さらには成果の受け渡しとしての生産者団体などによる出荷前自主検査の構築まで、詳細に紹介されました。

講演5では、「農薬分析の精度管理について(精度管理はなぜ必要か)」 の演題で、日本食品分析センターの中村宗知氏から話題提供がありました。まず、精度管理の目的を信頼性のキーワードから詳細に示した後、内部精度管理では、対象試験、繰り返し試験、添加回収試験などが、外部精度管理では技能試験を中心に紹介されました。

午前中のテーマは、農薬分析担当者が日常的に考えている話題であったため、積極的な質疑応答がありました。

午後には、都道府県農業関係試験研究機関の平成18年度研究成績概要書を中心に、ドリフト(2課題)、後作物(2課題)、イムノアッセイ(1課題)について試験成績の発表と質疑応答を行いました。いずれのトピックも、都道府県試験場が現在取り組んでいる重要な研究課題であったため、活発な質疑や意見交換が行われて、今後につながる論議を深めることができました。

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