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情報:農業と環境 No.93 (2008.1)
独立行政法人農業環境技術研究所

農業環境を巡る2007年の重大ニュース

2007年を振り返ると、さまざまなできごとがありましたが、その中から農業環境にかかわる重大ニュースをご紹介します。

(1) 地球温暖化が進行している

2007年の世界の陸上平均気温が観測史上で最高になる見込み。気象庁によれば、地球温暖化の影響と数年〜数十年程度の周期的な自然変動が重なったためと考えられる。

* 平成19(2007)年の世界と日本の年平均気温について(速報) [気象庁]

日本国内では熱い夏になった。8月16日に埼玉県熊谷市と岐阜県多治見市で国内最高気温を更新する40.9度を記録したほか、全国101観測地点で最高気温記録を更新した。

* 夏(6〜8月)の天候 [気象庁]

夏の高温は水稲生産にも影響を与えた??

* 第24回気象環境研究会「2007年夏季異常高温が水稲生産に及ぼした影響を検証する」 [農環研]

(2) IPCCが第4次報告書を発表

2月から11月にかけ、国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が第4次評価報告書(各部会報告書と統合報告書)を次々に発表した。気候システムの温暖化は疑う余地がなく、すでに世界中の自然と社会に影響を与えている、温室効果ガス排出が今後も増加するとさらに大規模な温暖化が予測されるなどが報告された。

* 気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第4次評価報告書統合報告書の公表について [環境省]

12月、地球温暖化対策に貢献したことにより、アル・ゴア前米副大統領とIPCCにノーベル平和賞が授与された。

12月、気候変動枠組み条約第13回締約国会議(COP13)がインドネシアのバリで開催され、2013年以降(ポスト京都議定書)の地球温暖化対策の議論が開始された。

* COP13及びCOP/MOP3 概要と評価 [外務省]

(3) 温暖化の農業影響への関心が高まる

各地の水稲収量の将来予測など、地球温暖化による農業への影響に大きな関心が寄せられた。

* 第28回農業環境シンポジウム「温暖化によって何が起こり、どう対応できるのか―農林水産業に与える影響の評価とその適応策―」(報告) [農環研]

(4) バイオエタノール生産が本格化

1月に米国ブッシュ大統領がガソリン消費を削減するためエタノールなど代替燃料の使用を促進する政策を発表。わが国でも、国産バイオ燃料の大幅な生産拡大が打ち出され、バイオ燃料の開発に関する本格的な研究プロジェクトが開始された。

* 国産バイオ燃料の大幅な生産拡大 (対応するページのURLは変更されました。2014年10月)[農水省]

5月にアース・ポリシー研究所レスター・ブラウン博士が来日し、バイオエタノールの生産拡大による食料・飼料への影響について講演を行った。

* 第27回農業環境シンポジウム 「食料 vs エネルギー ―穀物の争奪戦が始まった―」 [農環研]

(5) 特定外来生物の侵入・分布拡大

2006年12月に外国産カエルの飼育個体で見つかったカエルツボカビが、野生のカエルにも感染していることが確認された。生態系全体への影響が懸念される。

* カエルなど両生類に感染するカエルツボカビについて [環境省]

世界各地で問題となっている淡水の二枚貝カワヒバリガイが、2004年かそれ以前に霞ヶ浦に侵入して分布を広げていることがわかった。

* 特定外来生物カワヒバリガイは霞ヶ浦湖岸の約半分まで分布を広げている [農環研]

(6) 世界の遺伝子組換え作物の栽培がさらに拡大

1月、世界のGM作物栽培面積が1億ヘクタール(日本の国土面積の約3倍)を超えたことを国際アグリバイオ事業団(ISAAA)が公表。

* Global Status of Commercialized Biotech/GM Crops: 2006 [ISAAA]

12月、農林水産省の遺伝子組換え農作物等の研究開発方針が決まった。

*「遺伝子組換え農作物等の研究開発の進め方に関する検討会」最終取りまとめ (対応するページのURLは変更されました。2014年10月) [農水省]

(7) 農水省が「有機農業の推進に関する基本的な方針」を公表

4月に農林水産省は「有機農業の推進に関する基本的な方針」を公表した。2006年12月に施行された「有機農業の推進に関する法律」に基づいて、関係施策を総合的かつ計画的に講じるために必要な基本事項を定めたもの。

* 有機農業の推進に関する基本的な方針 (対応するページのURLは変更されました。2014年10月) [農水省]

(8) 環境省が地下水質の測定結果を公表

井戸の環境基準超過率は6.8%で、そのうち「硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素」がもっとも高く4.3%。汚染源は肥料や家畜ふん尿、生活排水など幅広く、対策は進んでいない。

* 平成18年度地下水質測定結果 [環境省]

(9) 低濃度アルコールによる土壌消毒法が開発された

農環研などが共同開発した環境への影響が小さい技術で、オゾン層破壊物質である臭化メチルによる土壌消毒を代替する可能性。

* (プレスリリース)環境への負荷がより小さい低濃度エタノールを用いた低コストの新規土壌消毒法の開発 [農環研]

* 2007年農林水産研究成果10大トピックスの選定について [農水省]

(10) 独立行政法人整理合理化計画の閣議決定

農業環境技術研究所、農業生物資源研究所、種苗管理センターが2011年4月に統合されることが決まった。

* 独立行政法人整理合理化計画 (対応するページのURLは変更されました。2014年10月) [行改推進本部]

(その他)

(気象災害)

台風4号 (対応するページが見つかりません。2014年10月) (7月)と台風9号 (対応するページが見つかりません。2014年10月) (9月)により、農作物や施設に大きな被害。

(環境政策)

農林水産省が「農地・水・環境保全向上施策 (対応するページが見つかりません。2014年10月) 」を開始(4月)。

今後の国の環境政策の方向性を示す「21世紀環境立国戦略」が閣議決定(6月)。

改正食品リサイクル法 (対応するURLページが変更されました。2014年10月) 」が施行:生ごみリサイクル率の向上へ業種別に目標を設定(12月)

(生物多様性)

農林水産省生物多様性戦略 (リンク先を最新のページに変更しました。2014年10月)」の策定(7月)。

第三次生物多様性国家戦略 (リンク先を最新のページに変更しました。2014年10月)」が閣議決定(11月)。

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