前の記事 | 目次 | 研究所 | 次の記事 2000年5月からの訪問者数
情報:農業と環境 No.97 (2008年5月1日)
独立行政法人農業環境技術研究所

インベントリー展示館に 「世界の昆虫オブジェ展示コーナー」 がオープン

2008年4月、農業環境技術研究所のインベントリー展示館内に「世界の昆虫オブジェ展示コーナー」 がオープンしました。

昆虫オブジェとはいったい何でしょうか? ガラス細工のカマキリ (写真1)、陶製のチョウの置物(写真2)、ゴムやプラスチックでできた昆虫のおもちゃ、あるいは竹細工のクワガタムシなど、素材も種類も、そして産地もさまざまです。

ガラス製のカマキリ(日本産)(写真)

写真1 ガラス製のカマキリ (日本産)

陶製のチョウ(ドイツ産)(写真)

写真2 陶製のチョウ (ドイツ産)

農業環境技術研究所は、2008年4月18日に開催した研究所の一般公開を機に、インベントリー展示館の玄関ホールに「世界の昆虫オブジェ展示コーナー」を開設しました。3つのショーケースに、多数の昆虫のオブジェを展示しています。オブジェの一つ一つをじっくり見ると、おどろくほど精巧に昆虫に似せたもの、あるいはとてもユニークなものなどがあり、昆虫標本とはまた違った感動を覚えます。

昆虫は農業環境を構成する重要な要素の一つですが、一方では、宗教的なあるいは土俗的な風習の対象として、そしてもちろん子どもたちの良き遊び相手として、私たちの身近な存在でもあります。そのため、昆虫を素材として、さまざまな玩具(がんぐ)や芸術的な作品が世界の各地で作られてきました。古くから作られ今に伝えられているもの、今はもう昔の語りぐさになったもの、新しく登場するものなど、多種多様であり、見る人の関心のもちようによって、それぞれの世界が広がってきそうです。

インベントリー展示館で紹介する「昆虫オブジェ」は、梅谷献二(うめやけんじ)氏が収集された、昆虫を素材とした世界各地の玩具(がんぐ)や作品のコレクションで、最近、約1,000点が農業環境技術研究所に寄贈されたものです。梅谷氏は、横浜植物防疫所や農業技術研究所(農業環境技術研究所の前身)などに在職、昆虫の生態や害虫管理の研究分野で活躍され、1990年に果樹試験場長を最後に退職されました。

寄贈を受けたオブジェの中には、1991年から2003年まで、日本バイエルアグロケム(現在のバイエルクロップサイエンス(株))発行の季刊誌『農薬グラフ』の表紙を飾ったものが含まれます。これらは現在、公益社団法人農林水産・食品産業技術振興協会 (JATAFF) のウェブサイトの 「読み物コーナー」 − 「虫のオブジェ」 のページ(hhttp://www.jataff.jp/konchu/obj/) (最新のページに変更しました。2013年12月) で公開・解説されています。これらのオブジェの多くは梅谷氏ご本人が “採集” されたものですが、同僚や友人が “採集” したものもあると聞いています。さまざまな材料を使いこなして製作されたみごとなオブジェを、ぜひご鑑賞ください。

現在公開中の「昆虫オブジェ」を、当分の間展示する予定ですが、今後、時期をみて、他のオブジェと入れ替えることも予定しています。以下には、現在のおもな展示品について説明します。

スカラベの装飾品と文房具(写真)

写真3 スカラベ
上2点:碧玉(へきぎょく)製の装飾品のレプリカ (エジプト製)
下:ブリキ製の文房具入れ、中にスカラベの消しゴムが入っている (イギリス製)

スカラベ (玉押しコガネ) (写真3) は、獣や家畜のふんを丸いボールに整形し、それを押して自分の巣に運びます。この特異な習性はファーブルの昆虫記で広く知られるようになりました。古代エジプトでは、このスカラベの姿は大空を渡る太陽の運行を司(つかさど)るケベラ神のイメージと重ね合わされ、スカラベをモチーフにしたお守りや飾り物がさかんに作られました。エジプトのみやげもの屋には、いまでもさまざまなスカラベの作品が並んでいます。

日本の竹細工の虫たちは、過度に手を加えない、さりげない細工の中に、竹の節 (ふし) など材料の特性をたくみに生かした「巧の技」を感じさせるものがあります。とくに竹の節は昆虫の関節をうまく表しています。日本では古くから竹かごに鳴く虫を入れて、声を聞く風習があったことから、竹細工の虫も鳴く虫が多いのが特徴です。また、縮緬(ちりめん)などの端切れを活用して作った蝉(せみ)型の小袋には、ていねいな針仕事の味わいがあり、その技は母から娘へと伝えられたものとのことです。

竹と紙の玩具、凧(たこ)。大空に凧を泳がせる爽快(そうかい)さは、子どもばかりでなく、大人も夢中になります。長方形に尾を付けた姿が基本的なものですが、いわゆる変わり凧といわれるものの中には、虫を素材としたものもあります。蝉凧や虻(あぶ)凧などがそれです。日本でも名古屋の古流蝉凧や北九州市戸畑の孫次凧(まごじだこ)の蝉凧、愛知県安城市の虻凧など、各地に独特の凧が伝えられています。

昭和の子どもたちにアニメ・ファンタジーの夢を与えてくれたウォルト・ディズニー。彼が作ったキャラクターの中では、ねずみのミッキーが知名度ナンバー・ワンかも知れませんが、「バグズ・ライフ」で活躍したバッタやカブトムシなどの虫たちのぬいぐるみがあります。また、イソップ物語の「アリとキリギリス」に出てくるキリギリスが布製で手袋状のぬいぐるみになっていて、手で操(あやつ)りながらお話ができます。

インドネシアで代表的なみやげ物の一つに木彫りがあり、守り神ガルーダや猫がすぐに思いつきます。今回展示しているものの中では大型のオブジェとなりますが、バリ島産の木彫りのカマキリやケラなども目を引きます。フランス・プロバンス地方の蝉型の壁掛け花瓶も大型のオブジェです。ほかに、餅(もち)で作られたカミキリムシやチョウなどのオブジェもおもしろいものです。鉄製のオブジェも重厚感があり、頼もしい感じがします。タイの鉄製のアリの集団は、バイクのチェーンやネジなどの部品をうまくつなぎ合わせて作られています。

以上、述べてきたように、どのオブジェも固有のおもしろさがあってすばらしいものです。ぜひ一度ご覧になってください。

インベントリー展示館を見学されるときは、「見学の申し込みについて」 をご覧になり、当研究所の 広報情報室広報グループ (電子メール: kouhou@niaes.affrc.go.jp 、電話: 029−838−8191) まで、事前にご相談またはお申込みをいただくようお願いします。なお、インベントリー展示館には、今回ご紹介した昆虫オブジェ展示コーナーのほか、土壌モノリス展示室、昆虫・微生物展示室、肥料・煙害展示室があります。

前の記事 ページの先頭へ 次の記事