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情報:農業と環境 No.99 (2008年7月1日)
独立行政法人農業環境技術研究所

農業環境シンポジウム 「穀物の争奪戦が食卓を襲う ―世界の穀物と環境問題―」 が開催された

第31回農業環境シンポジウムが、6月5日、東京(大手町サンケイプラザ)において開催されました。600名近い方に参加いただき、会場の大手町サンケイプラザホールはほぼ満席となり、一部の参加者には別室に用意したテレビモニタの前で参加いただきました。

ここでは、アース・ポリシー研究所長であり、農業環境技術研究所の名誉顧問でもある、レスター・ブラウン氏の基調講演「フードセキュリティを確立するプランB3.0」の要約と、それに続くパネルディスカッションの概要をお知らせします。また、当日、参加者の多くから要望をいただいた、各パネラーが説明に利用した図表類を掲載します。

基調講演(レスター・ブラウン氏)「フードセキュリティを確立するプランB3.0」
要約

北極の氷や各地の氷河がどんどん溶けているという実態から考えると、二酸化炭素排出の削減を早期に実現しなければならない。そのためには経済の仕組みを、これまでの化石燃料中心の経済から、再生可能エネルギーをベースとした経済にシフトする必要がある。また、最近の石油価格と穀物価格の世界的な高騰は、一時的なものではなく、総合的な解決策が必要とされる。

プランB(代替策)は4つの構成要素からなる。1つめは、2020年までに二酸化炭素排出を大幅に削減すること、2つめは、世界の人口を80億人になる前に安定化すること、3つめは貧困をなくすこと、4つめは、重要な生態系を保全することである。

そのためには、白熱灯から蛍光灯に替えることやプラグイン・ハイブリッド車の開発などエネルギー利用の効率化、風力や地熱などの自然エネルギーの利用、炭素税の導入などによって、新たなエネルギー経済にシフトしなければならない。

このような対処を行わなければ、人類はその文明を存続できるかどうかの大きな問題に直面するだろう。

レスター・ブラウン氏(写真)

レスター・ブラウン氏

パネル・ディスカッション

基調講演を終えたレスター・ブラウン氏に、阮 蔚 氏 (農林中金総合研究所)、山田祐彰 氏 (東京農工大学)、そしてコーディネータとして新藤純子 上席研究員(農業環境技術研究所) が加わり、パネル・ディスカッションが行われました。

当日のパネルディスカッションで利用された図表は、次のとおりです。

新藤純子 上席研究員の図表(PDFファイル 0.5 MB)

阮 蔚 氏の図表(PDFファイル 0.4 MB)

山田祐彰 氏の図表(PDFファイル 1.5 MB)

論議の概要

(1) 中国は近い将来、穀類の純輸入国となる可能性がある。今後の増収にある程度は期待できるものの、費用対効果に見合った農民の利益確保が必要である。

(2) ブラジルでは、すでに伐採されたアマゾンの農地への整備と、5,000万ヘクタールのセラード開発によって、十分な生産が可能とされている。その一方で、貧困に起因する乱開発が問題となっている。

(3) (中国の水問題を質・量の点から教えてほしいとの会場からの質問に、) 深刻な水不足、硝酸汚染などの問題点が存在している。

(4) (レスターブラウン氏から、) 日本が世界の食糧生産に果たすべき役割について、日本の高度な水稲栽培技術を途上国に移転することに期待したい。

コーディネータ 新藤純子(写真) パネラー 阮 蔚 氏(写真) パネラー 山田祐彰 氏(写真)

パネルディスカッション(新藤純子/阮 蔚 氏/山田祐彰 氏)

会場のようす(写真)

満員の会場(大手町サンケイホール)

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