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情報:農業と環境 No.101 (2008年9月1日)
独立行政法人農業環境技術研究所

サマー・サイエンスキャンプ2008 が開催された

農業環境技術研究所は、サマー・サイエンスキャンプ2008を、7月30日から8月1日まで実施しました。

サイエンスキャンプ は、独立行政法人科学技術振興機構 (JST) が主催して、全国の協力研究機関に高校生・高等専門学校生を受け入れ、さまざまな科学技術分野の研究者・専門家の指導で実験や実習を行う 「科学技術体験合宿プログラム」 です。研究の現場を知り、日ごろ経験できない最先端の研究装置で身の回りのことを調べたりすることで、日常生活の中にある 「不思議」 を発見し、科学技術をより身近なものに感じるようになることをねらいとしています。

今回の農業環境技術研究所でのサイエンスキャンプは、A: 「体験してみよう!土の不思議」、B:「アレロパシーによる植物間相互作用を調べてみよう」 の2つのコースを用意し、各コース4名、計8名の参加者に、研究者がどのようにして農業環境を調べ、問題の解決に向けて取り組んでいるかを体験してもらいました。

各コースの内容

A: 「体験してみよう!土の不思議」

担当研究者: 土壌環境研究領域 前島勇治 (主任研究員) ・ 赤羽幾子 (農環研特別研究員)

写真1

私たちの生活に身近な土 (土壌) を題材に取り上げ、野外での観察と室内での実験を通じて農業環境において土の果たす役割を考えました。とくに土の三大機能 (生産・分解(浄化)・養水分の保持) を理解するために、実習と実験を行いました。

(1) 生産機能:実際に野外に出て食料生産の現場である土壌の断面を観察しました。

(2) 分解 (浄化) 機能:土による汚水の浄化能力を室内実験で体験しました。

(3) 養水分の保持機能:土のイオン交換反応を室内実験で調べました。

B: 「アレロパシーによる植物間相互作用を調べてみよう」

担当研究者: 生物多様性研究領域 藤井義晴 (上席研究員) ・ 平舘俊太郎 (主任研究員)

写真3

植物が根や葉などから天然の生理活性物質を放出し、他の植物に影響をあたえる現象をアレロパシーあるいは他感作用といいます。アレロパシーにより、海外から侵入した外来生物の生育域の拡大、作物の連作障害や雑草による作物の生育阻害などが引き起こされます。一方、アレロパシーを利用して雑草を防除する技術の開発が期待されています。農環研では外来植物のアレロパシーを検索し、これまでに 4,000 種以上の植物を検定しています。サイエンスキャンプでは、いろいろな植物のアレロパシー現象を観察・測定し、他感物質を分離する方法を学びました。

写真5
 最終日の成果発表会・閉講式の後に記念撮影をしました。

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