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情報:農業と環境 No.104 (2008年12月1日)
独立行政法人農業環境技術研究所

第3回国際汚染土壌修復会議 (SoilRem2008) (10月18〜21日、中国(南京))参加報告

10月18日から21日まで、中国・南京で開催された第3回国際土壌汚染修復会議 (SoilRem2008)に参加しました。

この会議は、世界(ヨ-ロッパ、北米、中国、日本、韓国、インド、東南アジア諸国、南アフリカ)の土壌汚染の現状とその修復技術に関する情報交換、汚染土壌修復研究の発展および研究者の交流を図ることを目的として、2000年10月に、中国・杭州市において第1回を開催したことに始まります。この会議は農業環境技術研究所とのMOUを締結している 中国科学院南京土壌研究所 の土壌環境バイオレメディエーション研究センターが主催しており、報告者 (高木)は、2004年中国・南京市で開催された第2回会議から、国際組織委員として参加しています。

国際会議場(南京国際会議ホテル)の前で(右:高木、左:山崎)(写真)

国際会議場(南京国際会議ホテル)の前で(右:高木、左:山崎)

第3回となった今回の会議には、全体で258名の参加がありました。農業環境技術研究所からは、第2回会議に数名が参加していましたが、今回は、高木和広、亀井一郎(日本学術振興会(JSPS)特別研究員、現 福岡大学)、山崎健一(農環研教育研修生、東京農業大学大学院D2)の3名が参加しました。日本からはほかに島根大学から2名が参加していました。

会議は、基調講演、9つのセッション(口頭発表)、ポスターセッションで構成されていました。「Microbial Remediation」 のセッションにおいて、山崎が口頭発表を、亀井がポスター発表を行いました。高木(報告者)は、「Microbial Remediation」のオーガナイザー、座長を務めるとともに、山崎らと連名で口頭発表をしました。

基調講演を行う大会委員長のY.M. Luo氏(写真)

基調講演を行う大会委員長 Y. M. Luo 氏

第3回会議で行われた発表を第2回と比較すると、講演の件数はほぼ同じでしたが、(1) 重金属汚染に関する発表が減少し、かわりに有機汚染物質に関する発表が増加しています。また、POPs汚染とその修復に関する発表が登場しました。(2) 高木(報告者)の提案で有機汚染物質のバイオレメディエーションのセッションを、微生物による修復(Microbial Remediation)と植物による修復(Phytoremediation)にわけた結果、微生物による修復に関する発表が増加しました。(3) 汚染土壌の修復の研究では野外実証試験の報告が増加しました。(4) 中国の汚染土壌を修復するビジネスに関して、中国企業とオランダ企業の縁結びセッション(Session 6: Match-making Session)が新たに設けられました。このセッションはオランダ外務省が後押しするもので、北京のオランダ大使館から通商担当官2名とオランダ企業約20社が参加しました。汚染土壌修復ビジネスで世界をリードしているオランダ企業・政府の、中国ビジネスにかける熱意を感じました。

第4回の会議の開催は、4年後に中国以外の国で予定されており、日本での開催が打診されています。「食の安全・安心」の問題と関連し、今後の汚染土壌の修復現場は工場跡地から農耕地へ、対象とする有機汚染物質は石油類・有機溶剤からPOPsを含む難分解性農薬へシフトしていくと予想されます。農水省・委託プロジェクト研究「野菜等におけるPOPsのリスク低減技術の開発」が20年度から5年間の予定でスタートし、農業環境技術研究所がとりまとめ機関となっています。中国でも21年度からPOPs汚染土壌(とくに農耕地)の修復を中心にした国家プロジェクトが始まることになっており、南京土壌研土壌環境バイオレメディエーション研究センターはそのプロジェクトの中核研究機関になっています。これらのプロジェクトが順調に進行し、研究成果が蓄積されれば、農環研と南京土壌研の共催で第4回大会を日本(つくば)で開催することは可能だと思います。そんなことを夢見ながら帰途につきました。

会議参加者(写真)

会議参加者の集合写真

会議日程
月日 午前 午後
10月18日(土)Registration (Welcome drink)
10月19日(日) Opening Ceremony
Plenary Session
Poster Session
Session 1A: Sino-Dutch Special Session on Site Remediation of Organic Pollutants
Session 2: Soil Pollution Survey and Monitoring
10月20日(月) Session 1B: Sino-Dutch Special Session on Site Remediation of Organic Pollutants
Session 3: Environmental Behavior and Bioavailability
Poster Session
Session 4: Speciation
Session 5: Microbial Remediation
Session 6: Match-making Session for Remediation Business between China and Netherlands
10月21日(火) Session 7: Risk assessment
Session 8A: Phytoremediation of Soil Metals
Poster Session
Session 8B: Phytoremediation of Metalloids, Nutrients and Organics
Session 9: Physio-Chemical Remediation
Conference Closure

(有機化学物質研究領域 高木和広)

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