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情報:農業と環境 No.105 (2009年1月1日)
独立行政法人農業環境技術研究所

公開セミナー 「農業分野におけるメタゲノム解析技術の応用の可能性」 が開催された

2008年12月17日、つくば国際会議場において、農業環境技術研究所公開セミナー 「農業分野におけるメタゲノム解析技術の応用の可能性」 が開催されました。参加者は117名でした。

この公開セミナーは、今日の急速な分子生物学的手法の進歩により発展してきた、新しい研究手法であるメタゲノム解析手法について、その最先端の研究動向を知ることを目的としました。そのため、メタゲノム解析手法に早くから取り組み、優れた研究成果を上げている研究者をお招きし、それぞれの研究を紹介していただくとともに、メタゲノム解析手法の農業分野における応用の可能性を討議しました。

メタゲノムとは、ある生物のもつすべての遺伝子セット(遺伝情報)を意味する「ゲノム」という言葉に、「高次」を表す接頭語「メタ」を付けて、10年前に作られた言葉です。土壌や海水、湖沼などさまざまな環境から直接抽出したDNAを一つのゲノムと見立てた、さまざまな生物のゲノムの集合体を意味しています。メタゲノムとは、言い換えればその環境のもつすべての遺伝情報ということになります。

さまざまな環境から得られたメタゲノムの網羅的な遺伝子配列解析を行い、それぞれの環境を表す生物学的・生態学的指標にしたり、メタゲノムから新規の有用遺伝子を探索したりする研究手法が、メタゲノム解析手法です。農業分野でも、作物病害の発生や土壌の硝化・脱窒反応などの物質循環に関与する微生物群、家畜の栄養状態を左右するとともにメタンガスの発生にも関与している腸内微生物群などを把握し、新しい管理手法を開発する上で、メタゲノム解析手法の活用が期待されます。

セミナーでは、農業環境技術研究所でこれまで行われてきた、環境中から抽出したDNAやRNAを用いた研究が紹介されたあと、ヒト腸内と植物根圏のメタゲノム解析結果がそれぞれ報告されました。続いて、土壌の硝化・脱窒に関わる遺伝子や、カテコールやキチンの分解に関与する遺伝子のメタゲノムからのスクリーニングに関する研究が紹介されました。

セミナーの最後には、各講演者からメタゲノム解析技術の農業分野への応用についての意見や提言が出され、農業環境技術研究所が現在構築している農耕地土壌のDNA情報および土壌情報を蓄積したデータベースを、メタゲノム解析技術と結びつける重要性が提起されました。

セミナーのプログラムは以下のとおりでした。

プログラム

開会あいさつ

(独) 農業環境技術研究所 理事長  佐藤 洋平

農耕地土壌の生物学的特性解明の意義

藤井 毅 (農業環境技術研究所)

ヒト内部環境マイクロバイオームのメタゲノム解析

服部 正平 (東京大学大学院)

植物根圏土壌におけるメタゲノム解析

信濃 卓郎・海野 祐介(北海道農業研究センター)

水田土壌の窒素浄化機能に貢献する脱窒細菌群集構造の解析

妹尾 啓史・石井 聡(東京大学大学院)

メタゲノムからの未知有用遺伝子の探索

内山 拓 (産業技術総合研究所)

総合討論

司会 對馬 誠也・藤井 毅 (農業環境技術研究所)

閉会あいさつ

(独) 農業環境技術研究所 理事  宮下 清貴

開会あいさつ(写真1)

写真1 開会あいさつ

講演会場(写真2)

写真2 講演会場

総合討論(写真3)

写真3 総合討論

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