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情報:農業と環境 No.105 (2009年1月1日)
独立行政法人農業環境技術研究所

農業環境を巡る2008年の重大ニュース

2008年を振り返ると、日本でも世界でも、さまざまな大事件や画期的なできごとがあった変革の年だったように感じられます。ここでは、農業環境にかかわるニュースをご紹介します。

(1) 地球温暖化の進行

世界の年平均気温の平年差は+0.20℃。1891年の統計開始以来10番目に高い値となる。世界の年平均気温は100年あたり0.67℃の割合で上昇中。

* 世界の年平均気温の平年差の経年変化(1891〜2008年:速報値) (該当するページが見つかりません。2015年5月) [気象庁]

日本の年平均気温の平年差は+0.41℃。日本の年平均気温は100年あたり1.11℃の割合で上昇している。

* 日本の年平均気温の平年差の経年変化(1898〜2008年:速報値) (該当するページが見つかりません。2015年5月) [気象庁]

夏の異常高温による水稲への影響の調査結果を公表

* 2007年夏季異常高温下での水稲不稔率の増加を確認(3月記者発表資料) [農環研]

日本と途上国の地球温暖化影響と適応策について報告書を環境省が公表。農環研の研究者も取りまとめに参加。

* 「気候変動への賢い適応」(PDF)[環境省]

(2)穀物価格の高騰

主要穀物やダイズの価格が上昇し過去最高に。在庫量の長期的な減少、バイオ燃料生産や後発国の経済発展による需要の増加、穀物市場への投機資金の流入などが原因。

* 世界の穀物需給及び価格の推移(グラフ)[農水省]

農林水産省が大臣官房に食料安全保障課を設置(4月)。国際的な食料需給情報の収集・分析、食料自給率の向上、不測時の対応の整備などに取り組む。

* 食料安全保障について [農水省]

食料サミット(FAO・世界の食料安全保障に関するハイレベル会合)がローマで開催され(6月)、各国の食料生産の強化、バイオ燃料の生産や利用における食料安全保障の必要性の考慮など宣言。

* FAO・世界の食料安全保障に関するハイレベル会合(食料サミット)の概要について[農水省]

アース・ポリシー研究所レスター・ブラウン氏が来日し、環境と食料安全保障について講演(6月)

* 第31回 農業環境シンポジウム 「穀物の争奪戦が食卓を襲う ―世界の穀物と環境問題―」 開催報告と映像 [農環研]

(3) 化学肥料価格の上昇

石油や原料の価格上昇、中国やインドなどの肥料需要の増大などの影響で化学肥料の価格が急上昇。とくに良質のリン鉱石は産出国の輸出制限などで大きく値上りした。リン酸の不足しやすい黒ボク土農地が多い日本への影響は大きい。

* 肥料価格高騰対策 [農水省]

* 化学肥料の功績と土壌肥料学情報:農業と環境 No.104] [農環研]

(4)洞爺湖サミットの開催

北海道洞爺湖町でG8サミットが開催され(7月)、環境問題、食料問題などを論議。環境問題では「2050年までに世界全体の排出量の少なくとも50%削減を達成する目標」、食料問題では「世界の食料生産を促進し、農業投資を増加させる重要性の認識」、「バイオ燃料の生産と食料安全保障を両立させ、非食用植物や非可食バイオマスから生産される第2世代バイオ燃料の開発と商業化」などを合意。

* 北海道洞爺湖サミットホームページ [外務省]

* 北海道洞爺湖サミットの結果概要 [農水省]

(5)気候変動枠組み条約COP14の開催

気候変動枠組み条約第14回締約国会議(COP14)をはじめとする多数の会議・会合がポーランドで開かれ、2013年以降(ポスト京都議定書)の地球温暖化対策などを議論(12月)。日本は先進国における森林経営や農地管理などによる温室効果ガス削減効果を吸収源として扱うことを主張。農環研から研究者1名を派遣した。

* 気候変動枠組条約第14回締約国会議(COP14)の開催結果について[農水省]

* 気候変動枠組条約第14回締約国会議(COP14)/京都議定書第4回締約国会合(COP/MOP4)等 −概要と評価−(PDF)[環境省]

* 「地球温暖化防止に貢献する農地土壌の役割について」の承認について (PDF) [農水省]

(6)食料自給率の向上

平成19年度のカロリーベースの食料自給率が前年より1%増加して40%となったことが公表された(8月)

* 食料需給表[農水省]

* 食料自給率とは [農水省]

食料自給率を50%に引き上げるための工程表が発表され(12月)、耕作放棄地の解消、水田裏作の小麦の増加などの施策が進められる。

* 耕作放棄地対策の推進 [農水省]

(7)食の安全・安心にかかわる事件

食品の偽装や有害物質混入のニュースが相次いだ。食の安全にかかわる事件として、中国産の冷凍ギョウザに日本では登録されていない農薬メタミドホスが混入された(1月)、保管中にカビが発生したり基準値をこえる残留農薬が検出されたりした「事故米」の食用流通が判明(9月)、中国産食品へのメラミン混入が日本国内でも問題化(9月)など。

(8) 環境省が地下水質の測定結果を公表

19年度の調査対象井戸の環境基準超過率は7.0%で前年度からやや増加。そのうち「硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素」がもっとも高く4.1%、次いでヒ素が2.0%など。

* 平成19年度地下水質測定結果 [環境省]

(9)生物多様性基本法の成立

豊かな生物の多様性を保全し、自然と共生する社会の実現を図るため、生物の多様性の保全と持続可能な利用などの基本原則が定められた。事業計画の立案段階で事業者が環境影響評価を行なうための措置が求められることになる。

* 生物多様性基本法の概要 (リンク先のURLを変更しました。2013年12月) [環境省]

(10)ラムサール条約COP10の開催

ラムサール条約(特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約)の第10回締約国会議(COP10)が韓国で開催され、「湿地システムとしての水田における生物多様性の向上」(水田決議)などが採択された。

* ラムサール条約第10回締約国会議における水田決議の採択について [農林水産省]

(その他のニュース)

農環研の研究成果:

○生分解性プラスチックを強力に分解する微生物の発見3月記者発表資料10月記者発表資料

○明治初期の関東地方の土地利用を閲覧できる 「歴史的農業環境閲覧システム」の公開4月記者発表資料

○特定外来生物であるカワヒバリガイが利根川水系に分布を拡げている8月記者発表資料

などが広く報道され、話題になった。

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