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情報:農業と環境 No.109 (2009年5月1日)
独立行政法人農業環境技術研究所

受賞: 藤井義晴: 植物のアレロパシーの研究で文部科学大臣表彰

4月6日、平成21年度科学技術分野の文部科学大臣表彰受賞者が文部科学省から公表され、当研究所生物多様性研究領域の藤井義晴上席研究員が「植物のアレロパシー現象とその作用物質の解明に関する研究」 で 科学技術賞(研究部門) を受賞しました。

藤井上席研究員の受賞の概要は以下の通りです。

これまでアレロパシー現象の存在については知られていましたが、これを他の競合と識別して証明することは困難でした。また、従来のアレロパシー物質の分析は生育阻害物質の報告に止まり、実際に生態系で寄与している物質を実証した報告はほとんどありませんでした。

藤井上席研究員は、アレロパシー現象を作用の経路ごとに評価する、新たな4つの生物検定法を開発して、約4,000種の植物を検定し、ムクナ、ヘアリーベッチなどが強いアレロパシー作用を持つこと、現場でも雑草抑制作用があることを明らかにしました。これらに含まれるアレロパシー物質を分析することにより、ムクナからL−ドーパを同定、ヘアリーベッチからはシアナミドを世界で初めての天然物として発見しました。また、このほかに9種の新規生理活性物質を発見し特許を取得しています。

これらの研究の結果、ヘアリーベッチは、果樹園や水田での雑草抑制の能力が高い緑肥植物として全国で利用され始めており、これを利用してJAS有機認証を得た果樹農家や稲作農家があります。

この成果はアレロパシー検定法の国際基準となり、新たに同定されたアレロパシー物質は、従来の合成農薬に替わる安全性の高い農薬の開発に役立ち、その成分を含む植物を有機農業に直接利用して安全な食料生産に寄与することが期待されます。

表彰式会場にて

写真 表彰式 会場(4月14日、虎ノ門パストラル新館)前で

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