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情報:農業と環境 No.113 (2009年9月1日)
独立行政法人農業環境技術研究所

新藤純子 物質循環研究領域上席研究員: 2009年度環境科学会学術賞を受賞

農業環境技術研究所の新藤純子 物質循環研究領域上席研究員が、社団法人 環境科学会 (リンク先ページのURLを修正しました。2015年1月) の2009年度学術賞を受賞することが決まりました。この賞は、「環境科学の発展に寄与する研究を奨励するため」、「環境科学分野においてとくに優れた業績をあげたものを表彰」するものです。2009年9月10日から北海道大学で開催される 環境科学会2009年会 (リンク先ページのURLを修正しました。2015年3月) において、学術賞受賞記念シンポジウムが開催されます。

表彰課題名および表彰理由は次のとおりです。

人間活動に伴う窒素のフローと環境影響に関する研究

新藤純子

(農業環境技術研究所 物質循環研究領域 上席研究員)

表彰理由:

新藤純子氏は、人間活動が引き起こすグローバルな窒素循環およびそれによる環境影響の解明を目指した研究を行ってきた。特に人口が集中し、経済発展の著しい中国、東南アジアを中心とした東アジアにおける食料生産の増大が環境に与える影響について研究を行っている。近年の東アジア諸国における食生活の変化、食料、飼料作物の需要増加、生産のための窒素肥料使用量の増加などに基づいて、環境への窒素負荷の増大が地下水や河川の水質に深刻な影響を与えていることを窒素循環モデルや現地調査に基づいて示してきた。また将来の食料需要の予測やバイオ燃料の生産可能性とそれによる環境負荷などに関しても研究をすすめている。一方、肥料や畜産から発生するアンモニア、また化石燃料燃焼に伴う窒素酸化物などは、大気を経由して自然生態系の物質循環に影響を与える。同氏は、環境省地球環境総合推進費によるプロジェクト研究の課題代表者として、国内外の機関の研究者と共同で、日本国内の集水域や中国、タイなどの東アジアの森林流域を対象とした研究を実施してきた、対象流域に於いて、大気からの酸性物質の沈着量や土壌・渓流水の測定など、継続的ま物質循環調査を実施すると共に、酸性物質の自然生態系内での挙動、土壌や渓流水の酸性化や窒素流出過程のモデル化などにより、人為起源物質の生態系への影響を明らかにする研究に取り組んでいる。

同氏の研究業績は、東アジアの食料生産と環境の過去から現在および将来の変化を物質の循環、主として窒素循環から評価しようとしたものであり、人間活動の広域的な影響の評価において重要な視点を提示しており、環境科学会学術賞にふさわしいものと評価できる。

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