農業環境技術研究所は3月2日から4日まで、つくば国際会議場(茨城県つくば市)において、「食糧−環境インテリジェンスのための衛星情報・空間情報の先進的利用に関する国際ワークショップ」 を開催しました。
このワークショップは、モンスーンアジアにおける食糧・環境問題の解決のためのインテリジェンス(情報収集、分析、予測、政策支援)に向けた先進的な衛星情報・空間情報の活用に関して、各国における研究活動の報告と、今後のデータ共有や研究連携についての意見交換を目的として行われました。
プロシーディングス(講演録)の残部を希望する方に差し上げています。 (2011年5月11日)
開催日時: 平成23年3月2日(水曜日)〜3月4日(金曜日)
開催場所: つくば国際会議場(エポカルつくば)
主催: 独立行政法人 農業環境技術研究所
共催: 米国ミシガン州立大学 地球変動観測監視研究センター
参加者: 98名
海外参加者22名(17か国より参加、講演者14名)、 大学等16名、民間機関等22名、他独法13名、農環研25名
日程:
1日目: ワークショップ(講演、交流会)
2日目: ワークショップ(講演、総合討論)
3日目: エクスカーション(国土地理院、宇宙航空研究開発機構)
実施概要:
初日、農業環境技術研究所 佐藤理事長の歓迎のあいさつに続き、セッション1(農業生態系問題のための衛星・空間情報の利用) の冒頭で、このワークショップを企画した農業空間情報リサーチプロジェクト 井上リーダーから、ワークショップのコンセプトと先進的なリモートセンシング手法研究成果について紹介があった。引き続いて Andersen 教授(デンマーク)から、EUにおける総合的な農業環境データベース SEAMLESS が紹介された。さらに、建石教授(千葉大)から、地球規模での農耕地マップ作成の現状について、また、Qi 教授(ミシガン州立大)から、衛星データによるエコポリゴンデータの生成とアジア生態系への応用に関する研究が紹介された。
セッション2(モンスーンアジアにおけるリモートセンシング、空間情報技術利用の現状) では、バングラデシュ以東のすべての国(カンボジア以外)におけるリモートセンシング・空間情報技術を利用した生態系問題の解析事例や空間情報データベースの構築などに関する興味深い報告が行われた。研究トピックスとしては、土壌情報システム SIS との連携、化学物質影響評価(ダイオキシン、ヒ素汚染)、土地利用図の作成と環境モニタリングなど多岐にわたっているが、いずれもリモートセンシングなどの空間情報技術が重要な役割を果たしている問題であり、どの国・地域においても本ワークショップの主題である食糧と環境インテリジェンスがきわめて重要であることが浮き彫りにされた。
セッション3(リモートセンシング・空間情報の先進利用技術)では、MODIS などの高頻度観測衛星の高度利用法、土壌環境インベントリーシステム、歴史 GIS、オープン GIS の活用などリモートセンシング・空間情報技術の高度化と利用の促進に向けた新しいトピックスが報告された。
総合討論においては、食糧−環境インテリジェンスにおけるリモートセンシング等空間情報技術の重要性を確認するとともに、研究データや研究情報の共有に関する今後の連携方向が議論された。情報交換のためのネットワークや、研究プロポーザルの共同作成等が提案され、食糧−環境インテリジェンスに向けた空間情報技術研究コンソーシアムを形成するための下地が固まった。農業環境技術研究所を主軸として今後の具体的活動を進めることになった。
最終日のエクスカーションでは、国土地理院と宇宙航空研究開発機構(JAXA)つくばセンターを訪問した。地球観測衛星やそのデータを用いた地図作成など、本ワークショップのテーマにとくに関係の深い内容であったため、熱心な質問や議論が飛び交う有意義な見学会となった。
写真2 ワークショップ会場(つくば国際会議場 202会議室)
プロシーディングスについて
本国際ワークショップの参加者に配布した 「プロシーディングス」(講演集) の残部を、希望される方に無料でお送りします。
ご希望の方は、開催事務局 ( メール:ws_aei@niaes.affrc.go.jp ) あてのメール、または、農業環境技術研究所広報情報室あてファックス ( FAX:029-838-8299 ) で、送り先とお名前・ご職業 (組織・会社名と部署・役職など) をお知らせください。
(2011年5月11日 追加情報)