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農業と環境 No.142 (2012年2月1日)
独立行政法人農業環境技術研究所

農林水産技術会議事務局「研究成果」シリーズ紹介(14):「地球温暖化が農林水産業に及ぼす影響評価と緩和及び適応技術の開発」

農林水産省農林水産技術会議の委託プロジェクト研究 「地球温暖化が農林水産業に及ぼす影響評価と緩和及び適応技術の開発」(2006〜2009年度)の研究成果が取りまとめられ、2011年7月に 「研究成果483(PDFファイル 13.9 MB、484 ページ)」 として公表されました。

(研究成果483「序文」より抜粋)

2007年に公表されたIPCC (気候変動に関する政府間パネル) 第4次評価報告書では、地球温暖化により世界中の自然と社会が深刻な影響を受けることが予測されている。今後、他産業と比べて特に天候・気候変動の影響を受けやすい農林水産業においては、気候変動による悪影響が大きくなることが懸念されている。また、我が国は、全ての主要国による公平かつ実効性のある国際的枠組の構築と、全ての主要国の参加による意欲的な目標への合意を前提として、温室効果ガス排出量を2020年までに1990年比で25%削減するという中期目標を掲げて、政府一丸となった取り組みを行っているところであり、農林水産分野においても、地球温暖化の緩和策及び適応策のより一層の推進に取り組む必要がある。

本研究では、農林水産分野における総合的な温暖化対策への貢献を目的として、農林水産生態系における炭素循環の解明、農林水産生態系からの温室効果ガスの排出削減技術及び炭素吸収機能向上技術の開発、地球温暖化が農林水産業に与える影響評価、温暖化に伴う環境変動に対処する生産安定技術の開発を行った。

この研究の成果は、今後、農林水産分野での温暖化対策を効果的に推進する上で有益な知見を与えるものであり、広く関係者に供することとした次第である。

現在、このプロジェクト研究(「温暖化2006」)の後継プロジェクト:「農林水産分野における温暖化緩和技術及び適応技術の開発」(「温暖化2010」)が実施されています。2つのプロジェクトにかかわるさまざまな情報が、ウェブサイト『地球温暖化と農林水産業』 で公開されていますので、関心のある方はぜひご覧ください。

以下に、研究成果483から、おもな研究課題や担当機関などをご紹介します。

研究期間・予算区分

2006年度〜2009年度
農林水産省農林水産技術会議 農林水産分野における温暖化緩和技術及び適応技術の開発

研究担当機関

独立行政法人:
農業・食品産業技術総合研究機構、農業環境技術研究所、森林総合研究所、水産総合研究センター、家畜改良センター、水産大学校

大学:
北海道大学、弘前大学、岩手大学、福島大学、宇都宮大学、東京大学、東京農工大学、岐阜大学、静岡大学、京都大学、神戸大学、島根大学、岡山大学、広島大学、鹿児島大学、信州大学、琉球大学、石川県立大学、滋賀県立大学、酪農学園大学

都道府県:
北海道立畜産試験場、秋田県農林水産技術センター、山形県農業総合研究センター、福島県農業総合センター果樹研究所、茨城県農業総合センター、茨城県畜産センター、栃木県農業試験場、新潟県農業総合研究所、山梨県環境科学研究所、長野県果樹試験場、長野県水産試験場、静岡県農林技術研究所果樹研究センター、愛知県農業総合試験場、滋賀県水産試験場、兵庫県立農林水産技術総合センター、岡山県総合畜産センター、広島県立総合技術研究所農業技術センター、山口県農林総合技術センター、福岡県農業総合試験場、佐賀県農業試験研究センター (委託先)長崎県農林技術開発センター、熊本県農業研究センター、沖縄県農業研究センター、沖縄県畜産研究センター

民間:
ウッドマイルズ研究会、(株)ドットコーポレーション

国際機関:
国際イネ研究所

おもな主任研究者

推進リーダー:

独立行政法人農業環境技術研究所
研究コーディネータ 今川俊明 (2006〜2008年度)
研究コーディネータ 谷山一郎 (2009年度)

副推進リーダー:

独立行政法人森林総合研究所
研究コーディネータ 石塚森吉(2008〜2009年度)

副推進リーダー:

独立行政法人水産総合研究センター
西海区水産研究所東シナ海海洋環境部長 高柳和史(2006〜2007年度)
瀬戸内海区水産研究所業務推進部長 高柳和史(2008年度)
中央水産研究所海洋データ解析センター長 渡邊朝生(2009年度)

チームリーダー、サブチームリーダー:

(農環研ほか 15名)

研究課題

1 農林水産生態系の炭素循環の解明と炭素循環モデルの開発

(1)森林生態系の炭素循環の解明と炭素循環モデルの開発

(2)農地生態系の炭素循環の解明と炭素循環モデルの開発

(3)水産生態系の炭素循環の解明と炭素循環モデルの開発

2 地球温暖化の進行を緩和するための技術開発

(1)森林生態系からの温室効果ガスの排出削減のための管理技術の開発

(2)農地生態系からの温室効果ガスの排出削減のための管理技術の開発

3 地球温暖化が農林水産業に与える影響評価

(1)地球温暖化が土地利用型作物に与える影響評価

(2)地球温暖化が水産業に与える影響評価

(3)地球温暖化が園芸作物に与える影響評価

(4)地球温暖化が水資源や低平農地に与える影響評価

4 地球温暖化に適応するための技術開発

(1)土地利用型作物における適応技術の開発

(2)施設園芸における適応技術の開発

(3)果樹・茶における適応技術の開発

(4)畜産・飼料作物における適応技術の開発

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