2012年3月の日本作物学会で、大気環境研究領域の吉本真由美 主任研究員と長谷川利拡 上席研究員が、小林和広 氏(島根大学生物資源科学部)、松井勤 氏(岐阜大学応用生物科学部)との共著論文で、第9回日本作物学会論文賞(2012年)を受賞しました。
受賞論文 「Kazuhiro Kobayasi et al. (2011): Effects of Temperature, Solar Radiation, and Vapor-Pressure Deficit on Flower Opening Time in Rice. Plant Production Science 13 (1): pp.21-28. (イネの開花時刻に及ぼす温度、日射量および飽差の影響 )」 は、ほ場で10分間隔で撮影したデジタルカメラ画像から得られたイネの開花時刻と気象要素との関係を解析することで、早朝の気温が高いほど、日射量が多いほど、飽差が小さい(相対湿度が高い)ほど、開花時刻が早まることを示し、さらに各気象要素が開花時刻にもっとも影響を与える時刻や、3つの気象要素の相対的な影響が品種によって異なることを明らかにしたものです。
この成果は、イネの高温不稔を回避するために有用な早朝開花性の遺伝的・環境的要因の解明に寄与するものであり、温暖化適応策の研究に、栽培と育種の両面から貢献すると期待されます。