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農業と環境 No.147 (2012年7月1日)
独立行政法人農業環境技術研究所

生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学政策プラットフォーム(IPBES)第2回準備会合参加報告

2012年4月16日から21日にかけて、パナマの首都パナマシティにおいて、IPBES(Intergovernmental Science-Policy Platform on Biodiversity and Ecosystem Services:生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学政策プラットフォーム)のあり方と制度的取り決めに関する総会第2回準備会合が、UNEP(国連環境計画)の主催により開催されました。

IPBES は、生物多様性と生態系サービスに関する動向を科学的に評価し、その結果を政策担当者に提供することで科学と政策のつながりを強化するための恒久的な場(プラットフォーム)として、2008年以降、今回を含めて5回の会合がもたれ、その設立に向けた検討が行われてきました。生物多様性および生態系サービスに関する「科学的評価」、「能力開発」、「知見生成」、「政策立案支援」を4本柱として活動することとなっており、ちょうど気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の生物多様性版ということができます。

今回の準備会合には103か国の政府代表、国連機関、国際組織、NGO などが参加し、日本からは外務省、環境省、農林水産省から関係者が派遣されました。会議は4月16日午前10時過ぎに議長ロバート・ワトソン氏によって開会が宣言され、UNEP の環境政策実施局長およびパナマ外務省副大臣からの挨拶の後、議長による会議の進め方に関する説明、当会議の運営に当たる副議長4名(外務省地球環境課長の杉中氏を含む)の紹介と議題案の採択が行われました。

今回の会議の主要な議題は、IPBES の設立に向けた準備として、IPBES の活動の中心となる作業計画の検討、運営に関する手続規則および組織体制の検討、IPBES 事務局の所在地の決定、そして、IPBES 設立決議の採択など、盛り沢山な内容でした。

会議は基本的に10時から13時の午前の部と15時から18時の午後の部からなりますが、昼食休憩の時間にも個別問題を議論する分科会や関連のサイドイベントが開かれました。また会議の3日目以降は、新たに19時から22時までの夜の部も設けられました。さらに毎朝の総会前には、アジア・太平洋やアフリカ、ラテンアメリカ・カリブ海などの地域グループごとに自主的な会合が開かれますので、会期中は朝から晩までほぼ会議ずくめの日々を過ごすことになりました。

この会議において、ワトソン議長は参加各国・機関等から出されるさまざまな意見を聴取しながらまとめ、ほとんど休むことなく次から次へと議事を進めていきました。議題が多岐にわたり数も多かったため、十分な議論を尽くせないものもあったようですが、6日間の議論の結果として、IPBES の設立に必要な最小限の手続規則や組織構造についての合意が得られ、その他の事項については次回の総会で議論されることとなりました。また IPBES の組織として、意志決定機関である総会、運営を補佐する理事会(Bureau)、そしてさまざまな分野の専門家で構成され IPBES 活動の科学的・技術的な機能を担う多分野専門家パネル (MEP:Multidisciplinary Expert Panel) が設置されることとなりました。

研究関係者としては IPBES が実施する作業計画が今後どのように進められるかが気になりますが、今回はまだ具体的な内容について議論される段階ではありませんでした。今後、活動の柱となる「科学的評価」、「能力開発」、「知見生成」、「政策立案支援」に関する具体的議論を進めるにあたって、研究関係者の貢献が必要になるものと思われますが、現時点では、これまでにさまざまなレベルで実施されてきた生態系評価の目録の作成、概念的枠組みの構築、能力開発のニーズの把握などを、UNEP の IPBES 暫定事務局が中心となって行うこととなっています。

IPBES 事務局をどこに置くかについては、会議4日目の夜の部で、投票が行われました。韓国、フランス、ケニア、ドイツ、インドの5か国が立候補していましたが、オリンピック開催地の決定と同様に投票ごとに最下位が脱落する方式で行われ、最終的にドイツが選ばれました。そして会議最終日に時間を延長して議論を続けた結果、IPBES の設立を含むすべての決議案や報告書案がようやく採択され、無事に今回の会合は終了しました。

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環境省によるサイドイベントが開催された

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事務局の所在地を決める投票が行われた

(生物多様性研究領域長 安田 耕司)

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