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農業と環境 No.159 (2013年7月1日)
独立行政法人農業環境技術研究所

研究成果情報 第29集 (平成24年度)

農業環境技術研究所は、平成24年度の研究成果のうち「主要研究成果」(施策推進上の活用が期待される成果)2件 および 「主要成果」22件 を紹介する、「研究成果情報 第29集」 を公表しました。

冊子と同内容のページを、平成24年度 研究成果情報(第29集)HTML 版 および 平成24年度 研究成果情報(第29集)PDF 版 で公開していますので、ご利用ください。

以下には、「はじめに」 と目次をご紹介します。

はじめに

21世紀は環境の世紀といわれていますが、その幕開けを予告したのは、1992年にブラジル・リオデジャネイロで開催された、「国連環境開発会議」(リオサミット、地球サミット) でした。それから20年の節目にあたる2012年、同じリオデジャネイロで、「国連持続可能な開発会議」(リオ+20) が開催され、そこでは、「持続可能な開発目標」 を2014年までに策定することで合意がなされています。「持続可能な開発目標」 は、2000年に制定された国連の 「ミレニアム開発目標」 に代わって今後の国際社会の新たな行動目標となるもので、そこでは貧困や飢餓の撲滅とともに、生命維持システムとしての地球環境の保護が最優先課題となるとされています。40億年以上にわたる長い地球の歴史の中で、最近の1万年間は例外的に環境が安定した状態が続いており、人類はその中で農業を開始し、現代文明を築きあげてきました。しかし、人類がこのままのやり方で地球を改変し続ければ、いくら開発を進めてもその利益は台無しになるという強い危機感が、21世紀に入ってさらに現実味を増しています。その中で農業は、地球環境を最も強く改変してきた側の一つであるとともに、環境変動による影響を最も受けやすい側でもあり、環境的に持続可能な農業をどう築いていくかが、21世紀世界の大きな課題です。

独立行政法人農業環境技術研究所は、世界の食料問題と環境問題の克服への貢献を基本理念に、農業と環境に関する様々な研究を展開しています。平成23年から始まった第3期中期目標期間では、農業生産における気候変動の影響の顕在化や、農作物や環境のリスクに関する社会の関心の高まりを受け、これまでに蓄積した知見や構築した国内外のネットワークを十分に活用し、かつ分野横断的に研究勢力を結集することにより、「地球規模環境変動と農業活動の相互作用に関する研究」、「農業生態系における生物多様性の変動機構及び生態機能の解明に関する研究」、「農業生態系における化学物質の動態とリスク低減に関する研究」 の研究課題について重点的に研究開発を推進するとともに、農業環境研究を支える基盤的な研究として 「農業環境インベントリーの高度化」 を推進することとしています。

本研究成果情報は、第3期中期目標期間の2年目にあたる、平成24年度における代表的な成果をご紹介するもので、「主要研究成果」 と 「主要成果」 からなっています。このうち 「主要研究成果」 は、施策推進上の活用が期待される成果であり、行政部局を含む第三者の意見を踏まえて選定されます。本年度選定された 「主要研究成果」 は2課題で、そのうちの1課題は、「水田の中干し延長によるメタン発生量の削減」 です。水田に新鮮な有機物を施用すると、強力な温室効果ガスであるメタンの発生量が増加しますが、慣行の中干し期間を1週間程度延長することでメタンの発生量を約30%削減できることを、全国の実証試験から明らかにしました。この成果をもとに、一部の県において、環境保全型農業直接支払い制度の地域特認取組として承認されています。もう一つの課題は、「イオンビームを利用した低カドミウムコシヒカリの開発」 です。カドミウムは長年にわたる摂取で人体に有害な影響を及ぼすことが懸念されていますが、日本人の主要な摂取源はコメであることから、摂取量の低減にはコメ中のカドミウムを減らすことが有効です。本課題では、カドミウムをほとんど吸収・蓄積しないコシヒカリの突然変異体の開発に成功しました。イタイイタイ病以来の古くからの課題であるコメのカドミウムの問題を一気に解決しうる、画期的な成果だと期待されています。

この他、24年度の代表的な成果をご紹介する 「主要成果」 とあわせ、これらの知見や技術が広く利用されることを切に願うものです。ご感想やご意見等賜れば幸甚です。

平成25年3月

独立行政法人 農業環境技術研究所

理事長 宮下 C貴

目次

はじめに

施策推進上の活用が期待される成果(主要研究成果)

主要成果

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