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農業と環境 No.160 (2013年8月1日)
独立行政法人農業環境技術研究所

グローバル・リサーチ・アライアンス(GRA)理事会 および 水田研究グループワークショップ (6月 ウルグアイ) 参加報告

2013年6月18〜21日にウルグアイ共和国のモンテビデオ市内で開催された、農業分野の温室効果ガスに関するグローバル・リサーチ・アライアンス (GRA) 理事会 ( Council Meeting )(以下、理事会) および GRA水田研究グループワークショップ ( Paddy Rice RG International Workshop )(以下、ワークショップ) に出席しました。日本からは、農林水産技術会議事務局国際研究課の宝川靖和課長補佐、および農業環境技術研究所の八木一行研究コーディネータと須藤重人(報告者)の3名が参加しました。

理事会には以下の国からの出席がありました。メンバー国:33メンバー国のうち17か国(アルゼンチン、ブラジル、カナダ、チリ、中国、フランス、インドネシア、日本、オランダ、ニュージーランド、ノルウェー、ペルー、スイス、タイ、ウルグアイ、米国、ベトナム)、オブザーバー:4か国(グアテマラ、スリナム、ベリーズ、パラグアイ)。さらに、外部パートナーであるFAO(国連食糧農業機関)と PROCISUR-IICA (南米南部農業技術開発協力計画・米州農業協力機構) のメンバーも出席しました。

18日、ウルグアイの畜農水産省 Tabare Aguerre 大臣の歓迎メッセージのあと、議長が前回のカナダから今回のウルグアイに引き継がれました。その後、次期議長国(オランダ)が選出され、農地 (cropland)、水田 (paddy rice)、畜産 (livestock) の3研究グループ、インベントリーと炭素窒素循環の分野横断グループが活動を報告しました。この段階では、淡々と報告が続きましたが、議題が今後の活動の検討に移ると、一転して活発な議論が繰り広げられました。これまでGRAでは気候変動 「緩和策」 に焦点を当てて活動してきましたが、「適応策」 にも活動を広げるべきであるという意見が一部の途上国からあがり、時間を延長して協議した結果、3つの研究グループに対して、緩和策とシナジー効果を持つ適応策の検討を求めることが合意されました。

GRA理事会のようす(写真)

写真1 GRA理事会

水田研究グループワークショップのようす(須藤の話題提供)(写真)

写真2 水田研究グループワークショップのようす

水田研究グループワークショップの参加者(集合写真)

写真3 水田研究グループワークショップの参加者

GRA水田研究グループのワークショップは、19日午後から20日午前にかけて、理事会とは別の会場で30人程度が出席して開催されました。アルゼンチン、ブラジル、チリ、コロンビア、日本、ウルグアイ、米国、ベトナム、および国際機関のCIAT ( International Center for Tropical Agriculture ) から参加がありました。水田研究グループの議長国である日本とウルグアイからのあいさつのあと、「GRA水田研究グループの紹介と現状、ワークショップ開催の意義など」(八木)、「水田温室効果ガスフラックス計測の最近の動向と課題」(須藤)の話題提供を行いました。その後、ラテンアメリカ各国の農地温室効果ガス研究に関する報告(カントリーレポート)がありました。スペイン語での報告が多く、ウルグアイのメンバーに同時通訳をお願いして何とか理解できました。

このワークショップを通じて、次の2点が理解できました。一つは、ラテンアメリカ全体では相当な規模の水田耕作地を存在し、とくにアマゾンより南では大農経営が主体で、産出物はほぼ輸出に向けられていること(アジア向けが多い)。もう一つは、温室効果ガス計測のための機器は相当に整備されているものの、観測精度を管理する技術のレベルは国ごとに差が大きいため、今後、ガイドライン(プロトコル)を策定して、相互チェックを行いながらデータの質を高めていく必要があることです。参加国の中ではウルグアイがもっとも先進的で、INIA (ウルグアイ農業研究所) を軸に精度管理を中心とするキャパシティビルディング(能力形成) を推進できるものと期待されます。

須藤の報告においては、農環研で開発した3成分自動同時分析計、ガス自動採取装置(AGSS)、GC自動注入装置(通称:八王子)について、動画を交えて紹介しました。とくに「八王子」について、省力化と価格(類似製品の半額以下)の観点から関心が集まり、ラテンアメリカ諸国への普及が期待されます。

早朝のラプラタ川沿いの景観(モンテビデオ)(写真)

写真4 早朝のラプラタ川沿いの景観(モンテビデオ)

6月のモンテビデオは冬の始まりで、最低気温はマイナス2℃を記録するなど、肌寒い気候でした。非常に雄大で、海にしか見えないラプラタ川沿いの景観は美しく、かつてスペインが新天地として開拓したときに感じたであろう大地の魅力を、いまも継承していることが感じられる町並みでした。

物質循環研究領域 須藤重人

(参考)これまでのGRA関連の記事

農業分野の温室効果ガスに関するグローバル・リサーチ・アライアンス(1) (No.133 2011年5月)

農業分野の温室効果ガスに関するグローバル・リサーチ・アライアンス(2) (No.134 2011年6月)

農業分野の温室効果ガスに関するグローバル・リサーチ・アライアンス(3) (No.135 2011年7月)

農業分野の温室効果ガスに関するGRA 炭素窒素循環に関する横断的ワーキンググループ会合 参加報告 (No.136 2011年8月)

グローバル・リサーチ・アライアンス理事会 (6月 カナダ) 参加報告 (No.149 2012年9月)

グローバル・リサーチ・アライアンス グループ会合: 農地研究グループおよび炭素窒素循環に関する横断的ワーキンググループ合同会合 (7月 イタリア) 参加報告 (No.149 2012年9月)

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