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農業と環境 No.170 (2014年6月1日)
独立行政法人農業環境技術研究所

農林水産技術会議事務局「研究成果」シリーズ紹介(15):「農業に有用な生物多様性の指標及び評価手法の開発」

農林水産省農林水産技術会議の委託プロジェクト研究 「農業に有用な生物多様性の指標及び評価手法の開発」(2008〜2011年度)の研究成果が取りまとめられ、2014年3月に 「プロジェクト研究成果シリーズ506(PDFファイル 38.2 MB、394 ページ)」 として公表されました。

(研究成果506「序文」より抜粋)

農林水産省は、2007年に策定された 「農林水産省生物多様性戦略」(2012年改定)において、生物多様性をより重視した持続可能な農林水産業を推進することとしたところであり、環境保全型農業をはじめとする生物多様性の保全に資する農林水産関連施策の効果を定量的に把握する指標の開発が求められていた。

本研究では、環境保全型農業など生物多様性を重視した農業が、生物多様性の保全・向上に及ぼす効果を、科学的根拠に基づいて現場レベルで評価できるような指標生物とその評価法を開発することを目的として、「指標の候補を選抜するための研究」、「指標及び簡便な評価手法の開発」 及び 「国土全体の把握・予測を行うための研究」 を実施し、これらの成果を基に、選抜した指標生物を用いた調査法、評価法を解説した 「農業に有用な生物多様性の指標生物調査・評価マニュアル」 を作成した。

この研究の成果は、今後の農林水産関係の研究開発及び行政を推進する上で有益な知見を与えるものと考え、関係者機関に供する次第である。

このプロジェクト研究で作成された2冊のマニュアル 農業に有用な生物多様性の指標生物調査・評価マニュアル I 調査法・評価法 および 農業に有用な生物多様性の指標生物調査・評価マニュアル II 資料 のPDFファイルが、農業環境技術研究所のウェブサイトで公開されていますので、関心のある方はぜひご覧ください。

以下に、研究成果506から、おもな研究課題や担当機関などをご紹介します。

研究期間・予算区分

2008年度〜2011年度
農林水産省農林水産技術会議 委託プロジェクト研究

研究担当機関

独立行政法人:
農業環境技術研究所、農業生物資源研究所、農業・食品産業技術総合研究機構(果樹研究所、野菜茶業研究所、北海道農業研究センター、東北農業研究センター、中央農業総合研究センター)

都道府県:
北海道立道南農業試験場、青森県産業技術センターりんご研究所、岩手県農業研究センター、秋田県農林水産技術センター、宮城県古川農業試験場、福島県農業総合センター、茨城県農業総合センター、千葉県農林総合研究センター、埼玉県農林総合研究センター、東京都農林総合研究センター、神奈川県農業技術センター、石川県農業総合研究センター、長野県果樹試験場、長野県野菜花き試験場、静岡県農林技術研究所、愛知県農業総合試験場、三重県農業研究所、滋賀県農業技術振興センター、奈良県農業総合センター、和歌山県農林水産総合技術センター農業試験場、兵庫県立農林水産技術総合センター、島根県農業技術センター、愛媛県立果樹試験場、徳島県立農林水産総合技術支援センター農業研究所、福岡県農業総合試験場、熊本県農業研究センター、鹿児島県農業開発総合センター、沖縄県農業研究センター

大学:
山形大学、岡山大学、島根大学、九州大学、宮崎大学、法政大学、東京農業大学

社団法人:
農林水産技術情報協会

おもな主任研究者

推進リーダー:

国立大学法人岡山大学 農学部 名誉教授 中筋房夫

副推進リーダー:

法政大学 生命科学部 教授 西尾 健

副推進リーダー:

社団法人農林水産技術情報協会 研究開発部 技術主幹 平井一男

チームリーダー、サブチームリーダー:

(農業環境技術研究所ほか 9名)

研究課題

1 指標の候補を選抜するための研究

(1)基本となる「ほ場」単位の生物多様性の解析

1)カンキツにおける指標生物の選抜

2)リンゴにおける指標生物の選抜

3)ナシにおける指標生物の選抜

4)モモにおける指標生物の選抜

5)チャにおける指標生物の選抜

6)キャベツにおける指標生物の選抜

7)ナスにおける指標生物の選抜

8)ネギにおける指標生物の選抜

9)ダイズにおける指標生物の選抜

(2)「集落」単位の生物多様性の解析

1)北日本の集落における指標生物の選抜

2)関東甲信地域の集落における指標生物の選抜

3)北陸地域の集落における指標生物の選抜

4)近畿・中四国地域の集落における指標生物の選抜

5)九州・沖縄地域の集落における指標生物の選抜

6)多様な農業地域の指標生物の選抜

7)EU 諸国ならびに米国における指標開発、政策への反映状況調査・分析

2 指標及び簡便な評価手法の開発

(1)開発に必要なライフサイクル等の基礎的解析

1)調査のための識別法の開発

2)革新的なモニタリング手法の基盤確立

3)効率的なトラップの設置基盤の確立

4)指標候補天敵類の保存技術の開発

3 国土全体の把握・予測を行うための研究

(1)農業に有用な生物多様性の把握予測システムの開発

1)指標生物情報等の集積による生物多様性の把握予測システムの開発

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