独立行政法人農業環境技術研究所は、農地における土壌炭素の増減と各種の温室効果ガスの発生量を同時に計算して温室効果ガス発生量の総合評価を簡単に行えるウェブサイトを公開しました。
対象とする農地を地図上で選び、栽培する作物や栽培管理方法をメニューから選択するだけで、その農地の土壌炭素の変化量と、メタン、一酸化二窒素、機械作業や資材などに由来する二酸化炭素の発生量を予測し、すべてを二酸化炭素に換算して評価します。このサイトを利用して、農家や行政、生産者団体などが、農地管理による温室効果ガス削減の効果を総合的に評価できます。
農地の生産力を維持・増進するための有機物管理が、近年、地球温暖化の緩和策の一つとして期待されています。それは、農地に投入する有機物の量を増やすことで土壌中の炭素が増えると、その分、大気に放出される二酸化炭素が減少することになるからです。これを土壌炭素貯留と呼びます。
土壌の炭素循環の模式図
しかし、土壌に蓄積する炭素の量は、気象条件や土壌の種類などさまざまな要因に左右されるので、同じような管理を行っても、場所によって大きく異なる場合があります。また、土壌炭素量はゆっくりとしか変化しないので、実際の畑や水田での増減の程度を確認するには、長い期間が必要です。
そのため、農環研では農地土壌に蓄積する炭素量の変化を土壌炭素動態モデルを使って計算し、土壌炭素の増加分を二酸化炭素の吸収量として示すウェブサイトを2013年度に公開しました。
一方、土壌炭素量を増加させるために作物残さや堆肥の施用量を増やすと、メタン(CH4)や一酸化二窒素(N2O)など、ほかの温室効果ガスの発生量が増えてしまう、いわゆるトレードオフの関係が知られています。また、農業機械や農業資材(肥料、農薬、プラスチック資材など) に由来する化石燃料の消費によって発生する二酸化炭素も重要です。
そこで、ウェブサイトの機能を拡充し、土壌炭素量だけでなく、メタン、一酸化二窒素、さらには化石燃料消費も考慮した総合評価ができるようにしました。
詳細は、平成27年2月20日の「お知らせ:農地からの温室効果ガス削減効果を計算するウェブサイト ―土壌炭素量の増減と温室効果ガス発生量を総合評価―」をご覧ください。
土壌のCO2吸収 「見える化」 サイト には、農環研 機関公式サイトの「データベース・画像情報」ページから行くことができます。
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