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農業と環境 No.185 (2015年9月1日)
国立研究開発法人農業環境技術研究所

研究成果情報 第31集(平成26年度)

独立行政法人農業環境技術研究所は、平成26年度の研究成果の中から「主要研究成果」(施策推進上の活用が期待される成果)2件 および 「主要成果」21件 を紹介する、「研究成果情報 第31集」 を公表しました。

研究成果情報(平成26年度)第31集 の表紙

研究成果情報(平成26年度)第31集

冊子と同内容のPDFファイルを、平成26年度 研究成果情報(第31集)PDF 版 で公開していますので、ご利用ください。

以下には、「はじめに」 と目次をご紹介します。

はじめに

独立行政法人農業環境技術研究所は、「自然、社会、人間の調和と共存を目指す高い水準の研究を推進し、世界の食料問題と環境問題の克服に貢献する」ことを基本理念に、農業と環境に関する様々な課題の解決を目指した研究を進めています。

近年の人間活動の増大は、温暖化を始めとしたグローバルな環境問題を引き起こし、生物の生存を可能としている“地球システム”に大きな負荷を与えています。環境への負荷を低減し、生態系と調和した農業が求められる所以です。しかしその一方で、現在の72億人から今世紀半ばには92億人へと急増する世界人口を養っていくためには、大幅な食料増産が必要です。即ち今世紀の農業は、様々な環境問題に対処しながら食料増産を図って行くという、相反する大きな課題に直面しています。

こうした中、農業環境技術研究所は、気候変動と農業の問題、農業と生態系・生物多様性保全の問題、食の安全を脅かす環境中の有害化学物質の問題、肥料・農薬等による環境負荷の問題など、社会の要請に応えるべく重要課題解決のための研究を進めてきました。平成23年度から27年度の第3期中期目標期間では、農業生産における気候変動の影響の顕在化や、農作物や環境のリスクに関する社会の関心の高まりを受け、1. 地球規模環境変動と農業活動の相互作用に関する研究、2. 農業生態系における生物多様性の変動機構及び生態機能の解明に関する研究、3. 農業生態系における化学物質の動態とリスク低減に関する研究、それに、4. 農業環境インベントリーの高度化の4つの大課題を重点研究課題として推進しています。その際、農業環境問題の解決には学際的な取組みが不可欠であることから、これまでに蓄積した知見や構築した国内外のネットワークを十分に活用し、かつ分野横断的に研究勢力を結集して取り組んでいます。

得られた研究成果は、研究所のウェブサイト、研究会・ワークショップなどを通じて広く紹介に努めています。

本研究成果情報は、第3期中期目標期間(5年間)の4年目にあたる、平成26年度における代表的な成果をご紹介するもので、「主要研究成果」と「主要成果」からなっています。このうち「主要研究成果」は、施策推進上の活用が期待される成果であり、行政部局を含む第三者の意見を踏まえて選定されます。本年度選定された「主要研究成果」は2課題で、そのうちの1課題は、「土壌情報閲覧システムの開発と利用」です。土壌は農業生産を支える基盤ですが、農環研では長年にわたって蓄積してきた全国各地の農地土壌に関する情報を体系化して「土壌情報閲覧システム」を構築し、誰でもインターネット上で簡単に検索できるようにしました。もう一つの主要研究成果は、「植物の侵入病害の根絶を確認するための統計分析法」です。グローバル化で人と物が国境を越えて激しく行き交う現代、海外からの害虫や病原菌の侵入は農業生産や生態系にとって大きな脅威です。重要病害が発生すると農林水産省は「緊急防除」を行ないますが、防除が成功して侵入病害が根絶したことを確認するためのサンプリング理論を構築し、実際にこの理論に基づき、鹿児島県喜界島において、侵入病害であるカンキツグリーニング病の根絶が宣言されました。

この他、平成26年度の代表的な成果をご紹介する「主要成果」とあわせ、これらの知見や技術が広く利用されることを切に願うものです。ご感想やご意見等、賜れば幸甚です。

平成27年3月

独立行政法人 農業環境技術研究所

理事長 宮下 C貴

目次

はじめに

平成26年度 主要研究成果(施策推進上の活用が期待される成果)

平成26年度 主要成果

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