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農業と環境 No.188 (2015年12月1日)
国立研究開発法人農業環境技術研究所

第15回有機化学物質研究会 開催報告

国立研究開発法人農業環境技術研究所は、2015年11月5日(木曜日)午後、つくば国際会議場において、第15回有機化学物質研究会「農業環境をめぐる有機化学物質研究の昨日・今日・明日 −化学物質と環境との調和を目指して−」を開催しました。

開催日時: 2015年11月5日(木曜日) 13:00−17:40

開催場所: つくば国際会議場(エポカルつくば) 中ホール300 (つくば市竹園2−20−3)

参加者数: 135名
(独法等試験研究機関:19名、大学:7名、公設試験研究機関:31名、民間企業:41名、農業団体: 5名、関連団体: 5名、行政部局:4名、一般:2名、農環研:21名)

講演:

1)農業環境技術研究所における有機化学物質研究の足跡

農業環境技術研究所         大谷  卓

2)農業環境における農薬等有機化学物質のリスク研究に望むこと

(一社)日本植物防疫協会       上路 雅子

3)農林水産省が期待する有機化学物質研究 −農薬登録制度の刷新と研究に求めるもの−

農水省消費・安全局農産安全管理課  瀬川 雅裕

4)環境省が期待する農薬研究

環境省水・大気環境局農薬環境管理室 川名 健雄

5)都道府県の農業試験場が期待する有機化学物質研究

千葉県農林総合研究センター     山本 幸洋

6)農薬の作物残留 −問題の変遷から今後の解決法を探る−

農業環境技術研究所         清家 伸康

7)農薬の大気環境経由の動態評価 −グローバルからローカルまで、モニタリングとシミュレーションを駆使した評価と管理について−

農業環境技術研究所         小原 裕三

8)水環境中における農薬の動態把握 −モデル予測とモニタリングを融合した効率的な暴露評価に向けて−

農業環境技術研究所         稲生 圭哉

9)農薬の水域生態リスク評価の最前線 −シングルストレスからマルチストレスの世界へ−

農業環境技術研究所         永井 孝志

会場のようす(第15回有機化学物質研究会)

農業環境中には、作物生産のために意図的に施用される農薬や、他の産業や生活に由来して非意図的に混入する大気降下物など、さまざまな有機化学物質が存在し、大気・水・土壌・植物体中で移行、代謝、分解し、作物残留濃度を変動させるとともに、農地内の昆虫・微生物・植物などに影響を与え、また大気や水系を通じて農地の外、ときには広域に移行・拡散し、広く生態系にも影響を与えています。

農業環境技術研究所では、この30年あまり、農業環境におけるこれらの有機化学物質に関して、作物汚染あるいは生態系影響に対するリスクを評価し、リスクを低減、回避するための技術開発に取り組んできました。この研究会では、これまでの足あとを振り返りながら、行政部局・関係団体・都道府県から現状における問題点と今後取り組むべき課題を提示していただくとともに、現在農業環境技術研究所が取り組んでいる研究課題とその展望について紹介し、これらを通じて「食の安全」と「生態系保全」への貢献をめざした研究推進について議論を深めました。

研究会には、独立行政法人などの試験研究機関、都道府県公設試験場、大学、民間企業(分析・農薬・食品メーカー)、農業団体(JAなど)、関連団体(日本植物防疫協会など)、行政部局、一般と多岐にわたる方々にご参加いただき、質疑と総合討論において活発な意見交換がありました。

参加者からいただいたアンケートでは、「農業環境をめぐるさまざまな課題と研究の取組みが紹介され、勉強になった」、「過去〜現在〜展望という形で農環研の研究の方向性を知ることができ、有意義だった」 などの感想とともに、「今後も基礎研究のさらなる深化を望む」、「現場に役立つ技術への発展に期待する」 などの励ましもいただきました。

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