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情報:農業と環境
No.42 2003.10.1

No.42

・第23回農業環境シンポジウム・
  第1回日韓共同研究合同国際シンポジウムの開催:
   農産物から重金属汚染を低減するための農業戦略とテクノロジー
   −カドミウム汚染リスクを減らす−

・国際共同セミナーの開催:
   アジア・太平洋諸国における侵入生物による環境影響と
    データベース構築

・第3回「環境研究三所連絡会」が開催された

・第3回有機化学物質研究会
   「化学物質が生態系に及ぼす影響の評価法:現状と問題点」
    が開催された

・気候変動でタンガニーカ湖の生産力が低下

・指標生物群を利用した保護区の設定と希少生物

・本の紹介 130:環境保全型農業の課題と展望
      −我が国農業の新たな展開に向けて−、
      大日本農会叢書4、大日本農会(2003)

・本の紹介 131:キトサンの農業利用の理論と実際
      −安全・持続型農業をめざして−、
      渋谷政夫著、技報堂出版(2000)

・資料の紹介:平成14年度環境保全型農業推進指導事業
      −環境保全型農業をとりまく情勢と技術的課題−、
      全国農業協同組合連合会・
      全国農業協同組合中央会編(2003)

・遺伝子組換え生物の国境を越える移動に関する
    欧州議会と理事会の規則提案に対する理事会の共通の立場


 
 

第23回農業環境シンポジウム・
第1回日韓共同研究合同国際シンポジウムの開催:
農産物から重金属汚染を低減するための
農業戦略とテクノロジー
−カドミウム汚染リスクを減らす−

 
 
開催趣旨
 
 カドミウムのリスク評価結果が本年6月、JECFAから公表された。これにともなってCODEXにおいて食品中のカドミウムの濃度基準が検討されることになる。このような国際的な動きを受けて、日本では、国民の健康に関するカドミウムリスクの疫学的な調査と、主要農作物のカドミウム濃度を低減する努力がされている。農林水産省では主要農作物のカドミウム濃度を低減するためのプロジェクト研究を立ち上げ、また農業環境技術研究所はこれに呼応して研究コンソーシアムを組織して研究を開始しているところである。
 
 この国際シンポジウムは、農業環境技術研究所が農林水産省農林水産技術会議事務局と韓国農村振興庁農業科学技術院との共催で、農耕地や農作物におけるカドミウム等の重金属汚染の実態やその対策技術について、各国の情報を交換して議論を深めるために開催する。
 
日 時
 
平成15年11月20日(木)9:45 〜 21日(金)17:00
会 場
 
エポカルつくば(つくば市)
 
 
プログラム
11月20日(木)
挨 拶
 
農業環境技術研究所理事長、
農林水産技術会議事務局研究開発課長

 
9:4510:05
 
(一般講演)
Session 1.
 
Risk Assessment of Food Cadmium and Heavy Metal Transfer in Food Chain
1. Risk assessment and risk management of cadmium in foods at the international level
   (山田友紀子, 食総研) 10:0510:45
2. Transfer of trace elements through the food chain
   (M. McLaughlin, CSIRO, Australia 10:4511:25
Session 2. Heavy Metal Distribution in Relevant Arable Soils and Staple Crops
3. Heavy metal distribution in relevant arable soils and staple crops in France
   (M. Mench, INRA, France 13:0013:30
4. Cd distribution in relevant arable soils and staple crops in Hungary
   (T. Nemeth, RISSAC, Hungary 13:3014:00
5. Cd distribution in relevant arable soils and staple crops in China
   (D. Zhou, CAS, ISSCAS, China 14:0014:30
6. Heavy metal distribution in relevant arable soils and staple crops in Korea
   (WI. Kim, NIAST, Korea 14:3015:00
7. Heavy metal distribution in relevant arable soils and staple crops in Thailand
   (P. Parkpian, AIT, Thailand 15:3016:00
8. Heavy metal distribution in relevant arable soils and staple crops in Indonesia
   (J. Munarso, IAPOPTRI, Indonesia 16:0016:30
9. Heavy metal distribution in relevant arable soils and staple crops in Philippines
   (H.P. Samonte, UPLB, Philippines 16:3017:00
10. Heavy metal distribution in relevant arable soils and staple crops in Japan
   (中井 信, 農環研) 17:0017:30
 
11月21日(金)
Session 3.
 
Development of Promising Agricultural Practices and technologies for Reducing Cadmium Contamination in Staple Crops
11. Screening of promising varieties of durum wheat for low Cd absorption in Canada
   (J. Clarke, AAFC, Canada 9:009:30
12.
 
Screening of promising varieties of rice and soybean for low Cd absorption and accumulation in seeds
   (阿江教治, 農環研) 9:3010:00
13. Phytoremediation of Cd contaminated soils in China
   (Y. Luo, ISSCAS, China 10:0010:30
14. Phytoremediation of Cd contaminated soils by promising plant species
   (加藤直人, 東北農研セ) 11:0011:30
15.
 
Development of a zoning method for targeting arable lands in terms of cadmium contamination risk to relevant staple crops
   (菅原和夫, 農環研) 11:3012:00
16. Cultural practices to reduce Cd content in edible parts of staple crops in Korea
   (GB. Jung, NIAST, Korea 14:0014:30
17.
 
A practical technology for regulating Cd absorption by crops in terms of Chloride and Manganese application
   (渡辺和彦, 兵庫農林水産総技セ) 14:3015:00
18. Integrated Cultural Practices for minimizing Cd contamination in rice grains
   (小野信一, 農環研) 15:0015:30
Session 4.   General Discussion 15:4516:45
  座 長:今井秀夫(農環研),M. McLaughlinCSIRO,AUS
 
(ポスターセッション、11月20日〜21日)
 
 閉 会 韓国 農村振興庁 農業科学技術院院長
 
 後 援:農林水産省農林水産技術会議事務局、韓国農村振興庁農業科学技術院
 
 連絡先:
  農業環境技術研究所 重金属研究グループ長 小野信一
    Tel: 029 838 8311 , Fax:029 838 8199
    URL:http://www.rtcdc.jp/index.html (対応するページが見つかりません。2010年5月)(参加申し込みはこちらから)
 
 
 

国際共同セミナー:
アジア・太平洋諸国における侵入生物による
環境影響とデータベース構築

 
International Seminar
Biological Invasions: Environmental impacts and the development of database
for the Asian-Pacific Region
 
開催趣旨
 
 世界的な物流や交流の著しい拡大とともに、昆虫を含む動物、植物、微生物などの侵入生物が増加し、これらは農作物に直接被害を与えるだけでなく、固有の生物多様性あるいは生態系に対する深刻な撹乱要因になっている。そのため、侵入生物の防除は世界的な緊急課題であるが、防除に伴う経済的コストや環境負荷の増大等が懸念されている。
 
 アジア・太平洋諸国においても、侵入生物がもたらすリスクは同様であり、侵入生物の動態を把握してその変動を予測し、蔓延防止策および経済被害軽減策の確立を図る必要がある。そのためには、侵入生物に関わる現状や環境影響評価について論議を深めるとともに、それら最新情報をデータベース化し、インターネットによる情報の共有化を推進することが重要である。
 
 農業環境技術研究所とアジア・太平洋食糧肥料技術センター(FFTC)が共催する本国際共同セミナーでは、アジア・太平洋諸国における侵入生物の現状と環境影響に関して、次の4つの視点から広範な研究成果の発表と論議を行う。
 
(1)各国における侵入生物の現状と課題、とくに各国における侵入種リストの紹介
(2)侵入生物による環境影響や経済的被害の予測・評価
(3)侵入・分布拡大過程の分子生物学および生態学的解析
(4)植物検疫等の理論と侵入防止策。
 
さらに、本セミナーでは、「侵入生物情報データベース」のフレームを紹介して、参加各国におけるデータベース構築とその共有化に向けた今後の連携・協力について協議する。
 
日 時 平成15年11月13日〜15日 (3日間)
場 所 ホテルグランド東雲(つくば市)
主催機関 独立行政法人農業環境技術研究所

 

 
アジア・太平洋食糧肥料技術センター
Food and Fertilizer Technology Center;FFTC)
 
セミナーの日程概要:
1 初日および2日目:

 
(1)開会式、(2)特別講演、(3)一般講演、(4)総合討論、(5)データベース展示、(6)レセプション
2 3日目:
  エクスカーション(つくば市近郊)
 
セッション:

 
(1)
 
アジア・太平洋諸国における侵入・導入生物の現状と問題点及びデータベース構築

 
(2)
 
侵入生物による環境影響、分布拡大過程の生態学的・分子生物学的分析、生物の侵入防止と対策
  (3) 総合討論
  参加国(予定):アジア・太平洋諸国10カ国
 
 詳細は http://www.naro.affrc.go.jp/archive/niaes/sinfo/sympo/h15/20031113/ISBI/index.html (最新のURLに修正しました。2010年5月)を参照。
 
問い合わせ先:
 独立行政法人 農業環境技術研究所 生物環境安全部
            昆虫研究グループ 松井正春(事務局)
  305-8604  茨城県つくば市観音台3-1-3
  FAX:  029-838-8199
  E-mail:  whitefly@niaes.affrc.go.jp
 
2003年11月13日(木)
開 会  
08:40 - 09:30  受 付
09:30 - 10:00  開会式
歓迎の辞 陽 捷行(農業環境技術研究所理事長)
開会の辞
 
Dr. Torng-Chuang Wu, Director of Food and Fertilizer Technology Center, Taiwan
10:00 - 10:20  写真撮影
10:20 - 11:20  特別講演:生物学的侵入−環境影響の評価と管理
   Dr. David Andow, University of Minnesota, USA
 
セッション1  各国における侵入生物に関する報告とデータベース
座長 Dr. Banpot Napompeth, 原田二郎
11:20 - 11:50 台湾における侵入雑草の管理

 
Dr. Kao, Ching-Wen, Bureau of Animal and Plant Health Inspection and Quarantine, Council of Agriculture, Taiwan, R.O.C.
11:50 - 12:20
 
Scotinophara coarctata (Fabricius) (半翅目:カメムシ科)−フィリピンにおける分布拡大と管理

 
Ms. Josie Lynn A. Catindig, International Rice Research Institute, Philippines
12:20 - 13:30  昼 食
13:30 - 14:00 韓国における外来雑草の到来の近況



 
Dr. Beyond Chul Moon, National Institute of Agricultural Science and Technology,
R.D.A
Korea
14:00 - 14:30 侵入種;湿地生態系の生態学的バランスに影響する新しい現象
  Dr. Masher Mansor, University of Sains, Malaysia
14:30 - 15:00 インドネシアにおける外来種の概観

 
Dr. Karden Mulya, Indonesia Agricultural Biotechnology and Genetic Resources Institute, Indonesia
15:00 - 15:30  休 憩
15:30 - 16:00 中国における侵入種の生物学的および環境的影響と管理
  Dr. Fang Jichao, Jiangsu Academy of Agricultural Sciences, China
16:00 - 16:30 生物学的侵入に取り組むための分類同定用ソフトウエア
  Dr. Geoff Norton, University of Queensland, Australia
16:30 - 17:00
 
アジア・太平洋地域外来種データベース(Asian-Pacific Alien Species DatabaseAPASD) の構築と利用
  山中武彦・松井正春, 農業環境技術研究所
 
2003年11月14日(金)
セッション2  農業生態系における侵入生物の環境影響/リスク評価
セッション  2-1 外来植物 座長 Dr. Ching-Wen Kao, 小川恭男
09:30 - 10:05
 
台湾南部にはびこる3種外来植物の生態学的特性:Leucaena leucocephala, Mikania micranta,および Stachyphala jamaiensis
  Dr. Yun-Lun Kuo
10:05 - 10:40
 
日本における西洋タンポポ(Taraxacum officinale)の導入、交雑、および分布拡大:無珠3倍体と有性2倍体との遭遇
  芝池博幸,農業環境技術研究所
10:40 - 11:00  休 憩
11:00 - 11:35 ニュージーランドにおける農業生態系の侵入植物

 
Dr. Anis Rahman, Ruakura Agricultural Research Center, New Zealand
セッション  2-2 侵入昆虫 座長 Dr. Geoff Norton, 松井正春
11:35 - 12:10 タイにおける侵入昆虫と管理
  Dr. Banpot Napompeth, Kasetsart University, Thailand
12:10 - 13:10  昼 食
13:10 - 13:45
 
スクミリンゴガイ Pomacea canaliculata の分布拡大と将来の生息地域
  伊藤健二,農業技術研究機構・中央農業総合研究センター
13:45 - 14:20
 
沖縄における不妊化法を用いた侵入害虫アリモドキゾウムシの根絶事業
  久場洋之,沖縄県農業試験場
セッション  2-3 侵入微生物 座長 Dr. Karden Mulya, 本田要八郎
14:20 - 14:55
 
アジア諸国におけるパパイヤのウイルスの疫学的および分子生物学的分析
  眞岡哲夫,農業技術研究機構・北海道農業研究センター
14:55 - 15:15  休 憩
15:15 - 15:50
 
日本の農業環境におけるRalstonia solanacearum Race 4 系統の発生と定着
  土屋健一,農業環境技術研究所
15:50 - 16:25 タイにおける侵入微生物
  Dr. Surapol Yinasawapun, Department of Agriculture, Thailand
セッション3
 
 総合討論 座長 岡三徳, Dr. David Andow, Dr. Geoff Norton
16:25 - 17:00
 
1)農業生態系における侵入生物の環境影響、リスク評価および管理

 
2)参加国間における情報の蓄積と共有のための将来にわたる協力について
17:00 - 17:20 結語と閉会の辞 Dr. Torng-Chuang Wu, Director, FFTC
 
 
 

第3回「環境研究三所連絡会」が開催された
 
 
 この会は、環境研究の実施に当たって、農林水産省の関係機関が相互に情報を交換・共有し、農・林・水の分野で一体的な環境研究の推進を図る目的で、平成12年12月に設置された。森林総合研究所、瀬戸内海区水産研究所および農業環境技術研究所で構成される。第3回の会合が、平成15年9月17日に新しく建設された西海区水産研究所で開催された。議事は以下の通りである。
 
議事次第
1.開会
2.開会挨拶  農業環境技術研究所理事長、水産総合研究センター理事・所長
3.出席者自己紹介
4.座長選出
5.議題
(1) 平成14年度環境に関わる成果紹介
  ・地球温暖化が農林水産業に与える影響の評価及び対策技術の開発
  (温暖化イニシャチブ)
   林 陽生(農業環境技術研究所地球環境部長)
  ・森林総合研究所における環境関連研究
   藤井智之(森林総合研究所企画調整部企画科長)
  ・東シナ海における海水の温暖化
   宮地邦明(西海区水産研究所東シナ海海洋環境部長)
  ・瀬戸内海区水産研究所における平成14年度研究成果紹介
   關 哲夫(瀬戸内海区水産研究所企画連絡室長)
  ・赤潮研究における最近の進展について
   杜多 哲(瀬戸内海区水産研究所赤潮環境部長)
(2) 今後の協力態勢について
(3) その他
6.閉会挨拶  森林総合研究所理事長、瀬戸内海区水産研究所長
7.閉会
 
参考資料
連携・協力の現状(平成14〜15年度)
1.連携・協力の実績(14年度)
 1)プロジェクト研究での協力・連携
 (1)以下のプロジェクト研究を継続して実施した。
  A)「農林水産業における内分泌かく乱物質の動態解明と作用機構に関する総合研究」
  農林水産技術会議「環境ホルモン研究」、平成11〜14年度
  推進リ−ダ−   農業環境技術研究所
   II水域チ−ム 水産総合研究センタ−
   III耕地・森林チ−ム 農業環境技術研究所・森林総合研究所
   V影響防止チ−ム 農業環境技術研究所・森林総合研究所
   VIイオキシン動態チ−ム 農業環境技術研究所・森林総合研究所
  B)「森林・農地・水域を通ずる自然循環機能の高度な利用技術の開発」
  農林水産技術会議「環境研究」  平成12〜17年度
  推進リ−ダ−   農業環境技術研究所
   (A)地形連鎖系における自然循環機能の解明と向上技術の開発

 
a.
 
大気−森林−水系における有機物動態、水動態及び水質浄化機能の解明

 
b.
 
作物−農地−水系における環境影響物質の動態及び環境容量の解明

 
c.
 
水域における環境影響物質の生物群集への影響評価と許容量の解明
       (瀬戸内水研:平成14年度終了)

 
d.
 
森林・農地・水域を通ずる農林水産生態系を利用した自然循環機能の向上技術の開発

 
 (B)流域を対象とした農林水産生態系における物質動態と自然循環機能の解明と管理指
  a. 森林・農地・水域を通ずる環境影響物質の収支解明
  b. 自然循環機能の高度発揮のための管理指針の策定
       担当機関: 農環研、森林総研、水研センタ−、その他
  C)「流域圏における水循環・農林水産生態系の自然共生型管理技術の開発」
  農林水産技術会議技会「自然共生」  平成14〜18年度
  推進リ−ダ−   農業工学研究所
   「水・物質循環」チ−ム 森林総研・水研センタ−

 
 「生態系」チ−ム
 
農環研・水研センタ−(瀬戸内水研)

 
 「機能再生・向上技術及び管理手法」チ−ム 農工研・水研センタ−
 
  D)「地球温暖化が農林水産業に与える影響の評価及び対策技術の開発」
  技会「地球温暖化」 平成14〜18年度
 
a. 地球温暖化についてのモニタリング及び将来予測 ━━   陸域系
     
b. 地球温暖化の影響及びリスクの解明 ━━━━━━━ ━ 水域系
c. 温室効果ガスの排出削減・吸収・固定化技術の開発   対策系
 
  推進リ−ダ−   農業環境技術研究所
    陸域系  農業環境技術研究所・森林総合研究所・その他
    水域系  水産総合研究センタ−・その他
    対策系  農業環境技術研究所・森林総合研究所・その他
 (2)次のプロジェクト研究課題を企画・立案し、提案した。
  A)「農林水産生態系における有害化学物質の総合管理技術の開発」
 2)各種会議での連携・協力(研究会の共催)
(1)
 
環境ホルモン国際シンポジウム「Effects of Dioxins on Agriculture, Forestry and Fisheries and Their Mechanisms of Action on Animals and Fishes

 
主催:農環研、森林総研および水研センタ−も共催、平成14122-4日開催
  「瀬戸内水研」有馬部長および「東北水研」奥村研究員が出席。


 
有馬環境保全部長が第1セッションの座長を担当するとともに、奥村研究員が「Thebioaccumulation of dioxins through marine food web」として研究成果を発表した。
 
(2) 平成14年度農業環境研究推進会議
  主催:農環研、平成15年3月3日開催
  有馬環境保全部長が出席し、情報交換や討議に参加した。
 
(3) 漁場環境保全関係試験研究推進会議(瀬戸内水研主催、平成15年2月開催)
    「農環研」上路グループ長が出席し、情報交換や討議に参加した。
 
(4) 同上、「有害物質部会」(瀬戸内水研主催、平成14年10月開催)

 
「農環研」上路グループ長および「森林総研」西田領域長が出席し、それぞれが講演した。
  講演課題:
  陸域における有害物質の動態と拡散防止技術の開発(上路)
  木材腐朽菌による有害物質分解機構と環境修復技術の開発(西田)
 
2.平成15年度の連携・協力に係る計画
 (1)各種会議による連携・協力
A) 漁場環境保全関係試験研究推進会議および有害物質部会
    推進会議:平成16年2月に広島市で開催予定
    有害物質部会:平成15年10月23−24日に広島市で開催
   
B) 農業環境研究推進会議および農環研・森林総研主催各種研究会
    環境研究機関連絡会成果発表会:平成15年7月24日につくば市で開催

 

 
(環境研究に携わる国立及び独立行政法人の研究機関10所が持ち回りで事務局を担当;平成14年10月から1年間農環研が担当)

 

 
「農環研」陽理事長の挨拶と上路グループ長、「森林総研」尾崎チーム長、「水研センター」中村部長が講演した。
    挨拶及び講演演題:
    環境研究の連携と進化をめざして(陽)
    農業環境におけるダイオキシン類の動態とその制御技術(上路)
    地域の生物多様性を単一の希少種で代表させることの問題点(尾崎)
    炭素収支に係る主要貝類の生物機能に関する研究(中村)

 

 
公開シンポジウム「森林、海洋におけるCO2・炭素収支研究最前線」:
    平成15年9月29日に東京で開催予定
 (2)プロジェクト研究の推進

 
「農林水産生態系における有害学物質の総合管理技術の開発」(15〜19年度)を開始した。
    推進リ−ダ−:農環研


 


 
水研センタ−は、中課題、有害化学物質のリスク評価法の開発の6小課題を担当し、水生生物に対する有害物質のリスクの評価手法の高度化を図る。
 
 
 

第3回有機化学物質研究会
「化学物質が生態系に及ぼす影響の評価法:現状と問題点」
が開催された

 
 
 平成15年9月11日に、第3回有機化学物質研究会「化学物質が生態系に及ぼす影響の評価法:現状と問題点」が、関係する試験研究機関、大学、行政部局、関連団体などから174名の参加を得て開催された。
 
 以下に、当日の講演の要旨を紹介する。
 
1.生態影響を考慮した環境リスク管理制度について
  (環境省・農薬環境管理室 早川泰弘)
 
 平成15年3月に農薬取締法に基づく主要なリスク管理措置である「水産動植物に対する毒性に係る登録保留基準」が改定された。その登録保留基準の改定の経緯、内容等が紹介された。新たな試験法をさらに充実するための検討事項として、1)段階的評価を充実させるための各種試験法の作成、2)より実環境に近い試験系による試験方法の開発、3)慢性毒性と他の生物種の導入の是非について指摘があった。最後に、1)我が国における「生態系への影響」に関する研究では、一般環境中における現象の疫学的なアプローチと個体への毒性を把握する室内生態毒性試験結果からの推定という両極のアプローチが主流であり、その間をつなぐ部分の研究(個体群レベルへの影響、生物種の感受性の相違等)は必ずしも十分ではなく、この分野の研究における今後の精力的な取組が必要であること、2)今回の登録保留基準の改定により、これまで以上のリスク低減対策、すなわち散布された場所から公共用水域への農薬の流出を抑制する対策が求められるため、これに寄与する試験研究、具体的には公共用水域への流出が少ない剤型や散布技術(ドリフトの少ないノズル等)の開発、止水技術の開発等の対策研究が重要であることが報告された。
 
2.海外における農薬の生態影響評価法
  (バイエルクロップサイエンス(株) 星野敏明)
 
 欧米での生態影響評価制度は日本よりはるかに先行しており、新しい評価手法や考え方を取り入れている。そこで海外の制度、とりわけ水系生態環境に対する評価方法や管理の考え方が紹介された。欧米の評価制度の特徴として段階的評価を採用していることが重要との指摘があった。また具体的な水生生物に対する評価事例が紹介された。
 
3.河川水中農薬の藻類影響評価法−室内試験を中心に−
  (農業環境技術研究所 石原 悟)
 
 水田と河川は水を介してつながっているため、水田で使用される農薬は河川等公共用水域に流出し非標的生物に影響を及ぼす危険性が高い。水域生態系において耕地から流出した除草剤による影響を受ける可能性が高いと考えられる生物は、生態学的食物連鎖の中では藻類などの生産者である。しかし、これまで日本においては非標的生物に対する農薬の影響評価が、経済的有益性の高い魚類や甲殻類に注目して行われていたため、農薬の非標的植物に対する有害性(植物毒性)に関する知見は乏しい。本講演においては、水域生態系における藻類の役割と藻類を用いたバイオアッセイ(生物検定法)、および我が国の水田における除草剤の使用実態と公共水域への流出実態、水田除草剤の藻類に対する有害性調査の結果が紹介された。その中で、藻類試験法の国際的な基準種となっている浮遊性の緑藻類は、試験を行いやすく、また比較的に高い薬剤感受性をもつが、日本の河川では必ずしも重要な役割を担っていないため、日本の河川で一次生産の主役(キーストーン種)となっている付着性の底生藻類、とくに珪藻類に着目した評価手法の開発が急務であることが報告された。
 
4.野外モデル水界を用いた生態影響調査
  ((社)日本植物防疫協会 藤田俊一)
 
 農薬の生態影響に関しては、室内毒性試験と曝露(ばくろ)量評価のみから影響を予測する考え方が大勢を占めている。これに対し、野外環境をシミュレートしたモデル生態系の開発が、欧米で一部試みられている。わが国でも1980年代に精力的に取り組んだ経緯がある。本講演では、これまでの内外のマイクロコスム・メソコスム試験への取組みの状況が報告され、実環境における農薬の影響を調査するため、(社)日本植物防疫協会が環境省の委託を受けて進めた、野外モデル水界を用いた農薬の生態影響調査の結果と問題点、今後の展望が紹介された。
 
5.水田地帯での農薬散布による生態影響調査
  ((株)エスコ 北條敏彦)
 
 水田地帯における農薬の生態系への影響についての調査事例は少なく、生態影響の実態についての充分な検証結果は得られていない。また実施されている生態影響調査手法は、自然環境保全や環境管理などの予測評価(環境アセスメント)に従来から用いられている方法であり、農薬など特定化学物質等の影響評価などについては多くの問題点が指摘されている。平成12年度から、より規模の大きい試験系での生態影響調査が、環境省の委託で(株)エスコと(社)農林水産航空協会によって進められている。本講演では、このうち(株)エスコが長野県の水田地帯において実施した、モデル河川における農薬の生態影響実態調査の結果が報告された。生態影響調査項目は多岐にわたり克明な調査が行われた。最後に現場影響評価の問題点が整理された。
 
6.生態学からみた化学物質の生態影響評価手法
  (農業環境技術研究所 池田浩明)
 
 化学物質が人類とその生存基盤である環境(生態系)を脅かす負の側面が指摘され、人体への影響に加え、生態影響にも配慮して化学物質を管理しようとする時代を迎えている。本講演では、化学物質の生態影響評価における生態学的問題として、1)目標の設定、2)試験生物の選択、3)試験方法の選択、4)エンドポイントの妥当性が考察された。その中で、生物多様性の保全の視点から、「化学物質によって現存種が絶滅しないこと」を目標とすることが提案された。またOECDテストガイドラインでは不十分であること、生態系の多様性と固有性を重視する立場からは世界共通の試験設定は困難であることが指摘された。さらに個体への毒性を評価するのではなく、絶滅リスクを評価すべきことが提言された。
 
7.農薬等の生態影響評価手法の今後のあり方
  (島根大学生物資源科学部 山本廣基)
 
 本講演では、最後のまとめとして生態影響評価にあたっての課題が整理された。とくに、影響評価にあたって重要なポイントである、1)どのような生物(相)を指標とすべきか、2)どの程度の影響を問題にするのかは、生態系保全の価値観にかかわる問題であることが指摘された。現実的な立場に立てば、生物種の絶滅の防止やすべての生物種の保全を目指すのではなく、ヒトに対して都合の悪くない、あるいは都合の良い生物種を保全するという、生物種を適度に管理しその保全を図る考え方をとるべきことが提言された。
 
 
 

気候変動でタンガニーカ湖の生産力が低下
 
The heat on lake Tanganyika
D. Verschuren, Nature, 424, 731-732 (2003)
Climate change decreases aquatic ecosystem production of lake Tanganyika, Africa
G.M. O'Reilly et al., Nature, 424, 766-768 (2003)
 
 東アフリカのタンガニーカ湖の生産力が低下した。この原因が、過去80年にわたる気候温暖化によるものであることが明らかになった。この湖が、沿岸4カ国にとって重要な食料源であると同時に重要な収入源であることを考えると、この環境変動は人類にとって深刻な意味合いをもってくる。
 
 著者らはタンガニーカ湖の過去の記録を掘り起こし、地域的な温暖化だけでなく風速の減少などもあって、水温が上昇したことを解明した。これらの要因によって、湖の深層にある栄養分が上層へ循環することができず、その結果、藻類バイオマスなどの一次生産が減少したと考えられる。
 
 湖を掘削して得られた堆積物のコアに残る炭素同位体のデータは、この考えを裏付けるものになっている。このデータによれば、1950年代以降の一次生産は20%減少した可能性がある。この値をさらに上位の食物連鎖に換算していくと、漁獲高は約30%減少することになる。
 
 この事実は、地球規模の気候変動が地域規模の温度に及ぼす影響は、局地的な人間活動がもたらす作用よりも大きいことを示す強力な証明になる。
 
 
 

指標生物群を利用した保護区の設定と希少生物
 
Rare Species and the Use of Indicator Groups for Conservation Planning
J.J. Lawler et al.
Conservasion Biology 17: 875-882 (2003)
 
 農業環境技術研究所は、農業生態系における生物群集の構造と機能を明らかにして生態系機能を十分に発揮させるとともに、侵入・導入生物の生態系への影響を解明することによって、生態系のかく乱防止、生物多様性の保全など生物環境の安全を図っていくことを重要な目的の一つとしている。このため、農業生態系における生物環境の安全に関係する最新の文献情報を収集しているが、今回は希少種や生物多様性の保全計画を作成するための指標生物群の利用に関する論文の一部を紹介する。
 
要 約
 
 生物種の分布についての情報が少ない場合に、生物多様性指標が、保護区域を選択する手段の候補として提案されている。様々な結果が、この考え方を検証する研究によって得られているが、指標生物群を基準にして選択した保護区には、他の生物種が高い率で含まれるかもしれない。著者らは、指標生物群を保護するように選択した区域には、絶滅危険種(species at risk of extinction)はあまり含まれないのではないかという仮説の検証を試みた。
 
 米国中部大西洋岸域で、7つの生物群(淡水性の魚類、鳥類、ほ乳類、淡水産のイシガイ科貝類、は虫類、両生類、そしてこれら6つの分類群に含まれる絶滅危険種)を保護区選択の指標とした場合に、他の一般の生物種および、とくに絶滅危険種が保護される程度を比較した。単一の分類群の指標生物群によって選択した6通りの保護区域には、他のすべての生物種の61〜82%が含まれていたが、他の絶滅危険種は17〜58%しか含まれなかった。絶滅危険種が含まれる割合が低いことには、それらの生物種の希少性が関係していると考えられる。
 
 ある生物種が各指標生物群による保護区域に含まれる割合と、調査地域における地理的分布の広さとの関係を調べることにより、分布範囲が限られた生物種は、より広範囲に分布する生物種よりも保護区域に含まれにくいことが示された。さらに、基本的に陸生生物からなる指標生物群(鳥と哺乳類)によって選択した保護区域には、これらの陸生生物は比較的高い率(82〜85%)で含まれたが、まったくの水生生物(淡水魚類および淡水産イシガイ科貝類)はもっと低い率(27〜55%)でしか含まれなかった。これらの結果は、陸生の指標生物群のみに基づく保護区設定の手法は、水生生物種を保護するためには適当ではないことを示している。
 
 適切な指標生物群は、多くの生物種を含み、しかもその生物種がかなり違った分布をして多くの異なった環境に対応しているものであろうと考えられている。この研究では、指標として最適な分類群は魚類であり、この基準にもよく一致していた。しかし、この研究が対象とした指標生物群の範囲は、調査地域における利用可能なデータによって限定されていた。一般にもっと詳細な生息場所の差に反応する他の生物群(たとえば昆虫など)は、指標生物群としてよりすぐれているかもしれない。さらに、多様な分類群からの生物種で構成した指標生物群は、その中の生物種が環境の連続的変化に対して異なる反応をするなら、指標生物群としてうまく機能すると期待されている。
 
 異なる分類群の絶滅危険種の全体を指標生物群として保護区域を設定した場合、他のすべての生物種の平均84%が含まれていた。このことは、絶滅危険種の分布についてのデータが利用できる地域では、絶滅危険種そのものが、種多様性保全のための保護区域を選択するための適切な指標生物群となることを示している。
 
 
 

本の紹介 130:環境保全型農業の課題と展望
−我が国農業の新たな展開に向けて−
大日本農会叢書4、大日本農会(2003)

 
 
 大日本農会(会長:山極榮司)は、わが国がこれから環境と調和した持続的な農業を確立するためには、どのような対応をするべきかということを目的として、平成11年から環境保全型農業研究会を開催してきた。平成15年4月を最後に、その研究会は終了した。研究会は足掛け5年にわたり、21回の研究会と6回の現地調査に及んだ。本書は、これをとりまとめた大著である。
 
 研究会が発足した社会的背景や、検討経過、総合討論および総論作成などが、本書の「はじめに」で紹介される。
 
 この研究会の目的は、1)環境保全型農業に期待される役割と国の施策、2)環境保全型農業の普及・推進、環境保全型農業によって生産された農産物の流通等に関する関係者の取組み、3)環境保全型農業のさらなる普及・定着のための方策等について検討する、ことにある。
 
 研究会開催の背景と問題意識は大別して次の二つにあった。第一は、農政の展開過程から見た環境保全問題である。平成4年6月に発表された農林水産省「新しい食料・農業・農村政策の方向」において環境保全に資する農業政策として、農政当局として初めて環境保全型農業が打ち出され、それを受けて平成6年に全国環境保全型農業推進会議が結成されたこと。平成10年9月の「食料・農業・農村基本問題調査会」答申を受けた「食料・農業・農村基本法」(平成11年7月16日)において、食料、農業および農村の施策に関する基本的な理念として多面的機能の発揮、農業の持続的な発展がうたわれていること。さらに、それらに対応した環境保全型農業の今後の方向を探ること。
 
 第二は、農業技術の展開過程から見た環境保全問題である。この研究会が事前に設置した「農業技術に関する研究会」の論議の中で、戦後の農業技術の反省点として、1)資源多消費型農業への偏り、2)環境問題への配慮の欠如が指摘されており、その報告を受け止めた大日本農会としての検討が必要と考えられたことであった。
 
 このような当初の状況に加え、その後、循環型社会形成推進基本法の制定、地球温暖化防止京都議定書の締結等環境保全型農業に関係する新たな展開があり、それらをも視野に入れた総体的な検討が必要とされた。
 
研究会の委員は、次の方々である。
座長 熊澤喜久雄(東京大学名誉教授)
委員



 
中川昭一郎(東京農業大学 客員教授、元農林水産省農業土木試験場長)・西尾敏彦(日本特産農産物協会理事長、元農林水産省農林水産技術会議事務局長)・石原 邦(東京農業大学教授)・生源寺眞一(東京大学大学院教授)・鎌田啓二(中央畜産会常務理事)・木田滋樹(生物系特定産業技術研究推進機構理事、元農林水産省技術総括審議官)
 
 上記の問題意識に基づき、研究会委員による各専門分野の取組みについての説明が行われた。続いて、環境保全型農業の生産現場の調査、それにより生産される農産物の流通・利用に関する関係業界などによる取組みについてのヒアリングが進められた。これらの成果については、大日本農会の会誌「農業」に逐次掲載されてきた。その一部は、大日本農会叢書4「持続可能な農業への道」に収録された。この本は、当所の「情報:農業と環境No.15」の「本の紹介:45」でも紹介した。
 
 研究会はその後、これら生産現場および関係者の取組み状況の把握と、それらから浮かび上がってくる課題の抽出をさらに進めるとともに、研究会発足以降における循環型社会形成推進基本法の制定、地球温暖化防止京都会議議定書の締結などの動きを踏まえ、環境保全型農業の今日的な課題を探り、それら課題に対応するための環境保全型農業のあり方、必要と考えられる対策などについて検討を重ねてきた。地球環境的視点からの検討、欧米の事例に関する検討などはその一部である。
 
 総論の取りまとめに際し、議論された幾つかの論点は以下の通りである。
ア 環境保全型農業の今日的役割とは何か
 1)欧米において環境保全型農業に対応する農業は何か。
 2)循環型社会の形成や地球温暖化等は、環境保全型農業にどのような関わりを持つか。
 3)環境保全型農業に期待される新たな役割から見て、現状の普及水準をどのように評価するか。
 
イ 環境保全型農業の更なる展開を図るには、どのような手段が必要か。
 1)環境保全型農業生産物の市場評価はどのようになっていると考えるか。
 2)市場に委ねることで十分な展開が可能であるか。
 
ウ 環境保全型農業の技術指針はいかなるものであるべきか。
 1)新たな役割に対応した環境保全型農業の目標と奨励される技術・手法を、地域において技術指針として示す必要があるのではないか。
 2)技術指針に含めるべき事項は何か。
 
エ 全国的な展開をバックアップする手法は何か。
 1)技術指針を踏まえて環境保全型農業を実施する場合に生ずる掛かりまし経費や損失を適切に補填する新たな手法がなければ、全国的な展開をさらに進めることは困難ではないか。
 2)EUにおいて実施されている環境支払い(デカップリング)をどう考えるか。
 3)日本版環境支払いを導入するとした場合、対象農家が遵守すべき事項は何か。
 
オ 環境保全型農業政策は、農政のなかにどのように位置づけられることが望ましいと考えるか。
カ 海外で生産される有機農産物の輸入をどのように考えるか。
 
 本書の構成と目次は次の通りである。
1)上記「総論」およびそれを補完する各委員等による「各論」(II)
2)農林水産省環境保全型農業対策室長によると「環境保全型農業施策の経緯と現状」(III)
3)欧米の農業環境政策、地球環境的視点からみた環境保全型農業の役割、環境保全型農業技術の開発状況等(IV)、
4)前回叢書「持続可能な農業への道」に収録された後の研究会の概要(V)(IVに含まれるものを除く)
5)エコファーマーの推移、環境保全型農業推進コンクール受賞者一覧、環境保全型農業関係統計等の関係資料
 
はじめに  
I 環境保全型農業研究会の狙いと開催経過 山極 榮司
   
II 我が国における環境保全型農業の現状と課題  
総論: 
 
環境保全型農業の現状と課題    研究会座長 熊澤喜久雄
 
各論:1 環境保全型農業と作付様式 石原  邦
環境保全型農業と肥料 熊澤喜久雄

 
環境保全型農業と総合的有害生物管理(IPM) 中筋 房夫
 
環境保全型農業と畜産 鎌田 啓二
環境保全型農業と機械開発 木田 滋樹
環境保全型農業と農村環境整備 中川昭一郎
環境保全型農業―研究開発の現状と課題― 西尾 敏彦
環境保全型農業の政策フレーム 生源寺眞一
 
III 環境保全型農業に関する施策の経緯と現状 藤本  潔
   
IV 内外における政策・研究開発等の現状  

 
EU及びイギリス(イングランド)における農業環境政策の展開と現状 西尾 道徳
 

 
スイスを中心とするヨーロッパ諸国のIP農産物の生産・流通と表示の現状 大山 利男
 
アメリカの農業分野における環境保全への取組み 市之宮和彦
生態系と地球環境を守る環境保全型農業の役割 陽  捷行
環境保全型農業技術の開発状況 梅川  學
   
V 環境保全型農業・農産物についての取組み事例  
生産者集団の取組み  
  ―宮城県田尻町産直組合― 佐々木陽悦他
  ―宮城県南方町水稲部会― 大久保芳彦他
農業共同組合の取組み―石川県JA松任トマト部会― 西村 昌一他
市町村の取組み―兵庫県市島町― 井本 幹博他
生活協同組合の取組み―コープとうきょう― 深澤 米男
卸売市場の取組み―(株)東京青果― 佐藤  顕
農協全国連の取組み―全農― 原  耕造

 
外食産業界の取組み―(社)日本フードサービス協会― 中井  尚
 
 
附属資料: 1.環境保全型農業推進コンクール受賞者一覧
 
  2.環境保全型農業関係統計・資料
 
 
 

本の紹介 131:キトサンの農業利用の理論と実際
−安全・持続型農業をめざして−
渋谷政夫著、技報堂(2000)
ISBN4-7655-0236-8

 
 
 著者は、消費者が強く求めている農作物が無農薬、無化学肥料、有機栽培、そして低硝酸野菜、高カルシウム野菜など、安全で健康によいものであることを熟知し、本書を書いている。
 
 人の健康と深いかかわりがある野菜類の硝酸の問題は、現代の農業技術が生んだ影の部分を象徴するもので、その対策は緊急かつ重要であると指摘する。この低硝酸野菜の生産技術を確立することは、農業に携わる者の責務とも考えている。
 
 農業に求められるものは、農作物の安全性と、化学肥料や農薬の投与を含む環境に配慮した「低投入持続型農業」であるが、これに伴って増加する病虫害に対しては抵抗性を高める管理、すなわち「総合防除対策」が必要で、具体的には農業資材と農業技術の開発がなければならない。
 
 これに応えるのがキトサンであると、著者は強調する。キトサンの免疫性機能と抗菌性機能は減農薬に、植物生長促進機能と物質包含機能は減化学肥料に、ミネラル・微量元素吸収機能は作物の要素欠乏症の軽減防止および品質収量の向上、特に減硝酸、高カルシウム野菜生産に有効であるといわれる。しかし一方では、キトサンの機能性を強調するあまり、キトサン利用が即無農薬、無化学肥料農法であるかのように誤認されている向きもあると著者は指摘する。
 
 この本は、このような現状を憂慮し、専門分野である土壌肥料の視点から、長年の研究と現地試験により得た成果を示しながら、キトサン資材の機能性と作物に与える効果を正しく広く伝えることを目的に書かれている。目次は以下の通りである。
 
第1章 キトサン農業資材利用の概説
1.1 作物に対するキトサンの機能性
(1)抗菌・抗カビ性効果 (2)植物生長促進効果 (3)発根促進効果
(4)品質向上効果 (5)増収効果
1.2 水稲に対するキトサンの利用
(1)キトサン米の問題点 (2)キトサン施用米の食味改善試験 (3)総合考察
 
第2章 ミネラル・微量元素吸収促進機能
2.1 低硝酸化機能
(1)なぜ硝酸が問題か (2)栽培技術と硝酸濃度 (3)主な野菜類の硝酸濃度
(4)低硝酸化剤の開発
2.2 カルシウム吸収促進機能
(1)なぜカルシウムが問題か (2)人の健康とカルシウム摂取量 (3)カルシウム欠乏による農作物の生理障害 (4)野菜類のカルシウム含量(例) (5)カルシウム強化剤の開発
 
第3章 キトサンの多面的機能性の農業利用
3.1 植物成分調整剤の開発
(1)植物成分調整剤の成分組成と効果のねらい
(2)性状を異にするキトサンを用いた植物成分調整剤の植物反応
(3)植物成分調整剤の微量元素の働き (4)日持ち性の向上
3.2 現地圃場における植物成分調整剤の効果試験例
(1)葉菜類 (2)果菜類 (3)果樹
3.3 植物成分調整剤の特長
3.4 キトサン農業資材の基本的使用法
(1)キトサン単成分資材の基本的使用法 (2)植物成分調整剤の使用法
(3)基本的使用法による葉もの野菜の硝酸濃度と糖度(例)
 
 
 

資料の紹介:平成14年度環境保全型農業推進指導事業
環境保全型農業をとりまく情勢と技術的課題
全国農業協同組合連合会・全国農業協同組合中央会編
(2003)

 
 
 JAグループは、国民のニーズである安全な農産物の供給や農業の環境保全機能を高めるため、環境負荷の少ない持続的な環境保全型農業の推進に取り組んできている。一方、消費者はますます安全で安心な農産物を求め、さらには環境にも影響を及ぼさない農業技術の開発を望んでいる。
 
 このような状況の中で、JAグループもその取り組みに一層の努力を強いられている。JA全中・全農では、平成4年から農林水産省の補助を受け、環境保全型農業の先進事例を紹介してきた。このねらいは、環境保全と経営成立の諸条件を総合的に検討し、各地の普及・推進の参考に供するためである。平成7年度からは、全国環境保全農業推進会議によるコンクール受賞事例を毎年紹介しているが、この資料は平成14年度版である。
 
 平成14年度は、特に農業が本来的に備えている多面的な機能についての取り組み一助となる技術的な事例、実践事例が紹介されている。目次は以下の通りである。
 
まえがき
第1部 環境保全型農業をとりまく情勢と技術的課題
 
第1章 環境保全型農業をめぐる政策課題と対応方向
 ●農林水産省 生産局農産振興課 環境保全型農業対策室長 藤本 潔
  1 はじめに
  2 環境保全型農業への取組状況
  3 持続的な農業生産方式の導入促進
  4 有機性資源の利活用と土づくりの推進
  5 環境保全型農業技術をめぐる状況
  6 消費者との信頼される農産物の供給
  7 おわりに
 
第2章 環境保全型農業を進めるための最新技術・資材、研究成果の動向
<肥料>堆肥の成分評価に基づく施肥改善の取り組み
 ●JA全農 営農総合対策部 肥料研究室
  1 はじめに
  2 家畜糞堆肥の成分
  3 「ZA−U」による堆肥の成分分析
  4 堆肥成分の肥効率
  5 「診作くん2000」を用いた総合的な土づくり
  6 おわりに
 
<農薬>環境保全型農業における病害虫防除・農薬の位置付け
 ●JA全農 営農総合対策部 農薬研究室
  1 はじめに
  2 生物農薬の現状
  3 環境負荷を軽減する農薬製剤・施用技術の開発
  4 種子消毒剤廃液処理
 
<生産資材>環境にやさしい生産資材と技術の動向
 ●チッソ株式会社 アグリ事業部 技術顧問 林 英明
  1 はじめに
  2 環境に負荷を与える生産資材と負荷軽減対策
  3 使用済み資材の適正処理
  4 環境保全型農業の推進に貢献する資材
  5 おわりに
 
<水稲のカドミウム吸収抑制のための対策技術>
 ●独立行政法人 農業環境技術研究所 化学環境部重金属研究グループ
  1 はじめに
  2 カドミウムの生産と消費
  3 カドミウム低減化技術開発の必要性
  4 水稲のカドミウム吸収抑制のための基本技術
  5 肥料・灌漑水などによるカドミウム負荷の可能性
    補遺
 
第2部 第8回環境保全型農業推進コンクール受賞事例
<大賞8事例>
堆肥熟成施設の導入による土づくりと高品質・安全・安心な農産物づくり
 ●北海道 JA更別村農業協同組合(更別村)
  1 更別村の地域と農業の概要
  2 取り組みの背景と経過
  3 循環型農業の取り組みについて
  4 堆肥購入の現状
  5 取り組みの成果
  6 今後の課題
 
消費者と土の健康を守り、ほんとうの空を守る有機農業
 ―資源循環型農業の取り組み―
 ●福島県 JAみちのく安達 二本松有機農業研究会(二本松市)
  1 地域の概要
  2 取り組みの背景と経過
  3 取り組み内容(有機栽培と食品リサイクル)
  4 取り組みの成果
  5 今後の課題
 
環境保全型農業と地産地消を目指して
 ●栃木県 高根沢町(高根沢町)
  1 地域の概要
  2 取り組みの背景
  3 取り組み内容
  4 取り組みに関連した特記事項
  5 取り組みの成果と今後の課題
 
飛騨トマトのぎふクリーン農業への取組み
 ●岐阜県 飛騨蔬菜出荷組合トマト部会(高山市)
  1 地区の概要
  2 取り組みの背景
  3 取り組み内容
  4 取り組みの成果
  5 今後の課題
 
安心でおいしい野菜づくりを目指して
 ●福井県 JA福井市北部エコファーマーズ(福井市)
  1 地域の概要
  2 取り組みの背景
  3 取り組みの内容
  4 取り組みの成果
 
消費者とともに歩む、環境共生型農業の取組み
 ●兵庫県 農業生産法人 有限会社みずほ協同農園(三木市)
  1 地域の概要
  2 取り組みの背景
  3 取り組みの経過
  4 取り組みの内容
  5 取り組みの成果
  6 今後の課題
 
環境保全型農業と地産地消を目指して
 ●高知県 JA土佐れいほく園芸部ISO部会(土佐町)
  1 地域の概要
  2 取り組みの背景
  3 取り組みの内容
  4 取り組みに関連した特記事項
  5 取り組みの成果および今後の課題
 
集落営農から誕生した農業法人が、地域全体で環境保全型農業に取り組む
 ●鹿児島県 有限会社 大野原有機農業研究会(松山町)
  1 地域の概要
  2 取り組みの背景
  3 取り組みの内容
  4 取り組みに関連した特記事項
  5 取り組みの成果
  6 今後の課題
 
<その他の各賞>
<参考資料>
 
 

遺伝子組換え生物の国境を越える移動に関する
欧州議会と理事会の規則提案に対する理事会の共通の立場

 
 
 EUとその加盟国は、生物の多様性に関する条約*1のバイオセイフティに関するカルタヘナ議定書*2に署名し、議定書の規定に沿った関連法規の整備を進めているが、EU理事会は遺伝子組換え生物の国境を越える移動に関する欧州議会と理事会の規則案についての共同決定の手続きとして、200334日に共通の立場(EC17/2003を採択した。
 ここでは、欧州官報に掲載された文書(OJ C 107 E 200356日、116ページ)、"Common Position (EC) No 17/2003 adopted by the Council on 4 March 2003 with a view to adopting Regulation (EC) No ... /2003 of the European Parliament and of the Council of ... on transboundary movements of genetically modified organisms (2003/C 107 E/01) (遺伝子組換え生物の国境を越える移動に関する...の欧州議会と理事会の規則 (EC) No .../2003を採択するために、理事会が200334日に採択した共通の立場 (EC) 17/2003
http://eur-lex.europa.eu/LexUriServ/LexUriServ.do?uri=OJ:C:2003:107E:0001:0016:EN:PDF (最新のURLに修正しました。2010年5月)
を仮訳して紹介する。仮訳するにあたって、不明な用語については、参考になる資料をウェブサイトから検索し、それらを基に仮訳した。これらの用語には印を付け、参照した資料の中から、いくつかの資料を掲載した。また仮訳した内容が適切に表現されていない部分もあると思われるので、原文で確認していただきたい。
 

 
*1: http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/kankyo/jyoyaku/bio.html (条約の解説)
    http://www.biodic.go.jp/biolaw/jo_hon.html (条約の日本語版)
    http://www.cbd.int/doc/legal/cbd-en.pdf (最新のURLに修正しました。2010年5月) (条約の英語版)
*2: http://www.biodic.go.jp/biodiversity/shiraberu/international/cop10/index.html (最新のページに変更しました。2012年1月) (議定書の解説)
 http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/treaty/pdfs/treaty156_6a.pdf (議定書の日本語訳)
   http://www.cbd.int/doc/legal/cartagena-protocol-en.pdf (最新のURLに修正しました。2010年5月) (議定書の英語版)

 
 なお、一般の方々にはEC環境立法*1に関わる本文書の構成が理解し難いと思われるので、仮訳に先立ち、共同決定手続きの手順と本規則案のこれまでの検討経過の概要を補足資料として下記に付けた。
 
1)欧州連合の共同決定の手順
 EUの環境政策は、アムステルダム条約175条により、原則として『共同決定手続(co-decision procedure)(251条)』で決定される。その決定手順を下記のフローチャートに示した。
 
 
2)本規則案の共同決定の検討経過
 本規則案の共同決定の検討は、下記の経過で進められている:
() 2002218日:欧州委員会が原案*2を提出
() 2002924日:欧州議会が修正意見書*3を採決
() 200334日:欧州連合理事会が議会修正案を承認せず、共通の立場*4を採択
() 200337日:欧州委員会が共通の立場への意見書を提出
() 200364日:欧州議会が共通の立場への修正*5を採決
() 2003612日:欧州委員会が共通の立場の修正について意見書*6提出
 
 今後、共通の立場への欧州議会の修正を理事会が全面的に認めれば、本規則は採択・公示されることになるが、承認されない場合は、協議委員会において審議が続けられることになる。
 

*1: www.nuis.ac.jp/ic/library/kiyou/6_usui.pdf (最新のURLに修正しました。2010年5月)
    http://www.law.tohoku.ac.jp/~kawato/UGSem2K1/ASANO.htm (対応するページが見つかりません。2010年5月)    の第3章
*2: http://eur-lex.europa.eu/LexUriServ/LexUriServ.do?uri=OJ:C:2002:151E:0121:0128:EN:PDF (最新のURLに修正しました。2010年5月)
*3: http://eur-lex.europa.eu/LexUriServ/LexUriServ.do?uri=OJ:C:2002:241:0062:0063:EN:PDF (最新のURLに修正しました。2010年5月)
http://www.europarl.europa.eu/sides/getDoc.do;jsessionid=2469EDDBA34DDF705DE8D09E49FEB81D.node1?pubRef=-//EP//NONSGML+REPORT+A5-2002-0289+0+DOC+PDF+V0//EN&language=EN (最新のURLに修正しました。2010年5月)
(欧州議会に提出された環境公衆衛生消費者政策委員会の答申)
*4: http://eur-lex.europa.eu/LexUriServ/LexUriServ.do?uri=OJ:C:2003:107E:0001:0016:EN:PDF (最新のURLに修正しました。2010年5月)
(本文書)
*5: http://www.europarl.europa.eu/sides/getDoc.do;jsessionid=C8CC6EBEC7A94D11457F0C6A25AA439B.node1?pubRef=-//EP//NONSGML+REPORT+A5-2003-0154+0+DOC+PDF+V0//EN&language=EN (最新のURLに修正しました。2010年5月)
*6: http://europa.eu.int/eur-lex/en/com/pdf/2003/com2003_0360en01.pdf (対応するページが見つかりません。2010年5月)

 
 
官報 C107E200356日、1-16ページ)
遺伝子組換え生物の国境を越える移動に関する...
欧州議会と理事会の規則
(EC) No .../2003を採択するために、
理事会が
200334日に採択した共通の立場 (EC) 17/2003
 
(欧州環境庁との適合文書)
 
欧州議会と欧州連合理事会は、
 
欧州共同体設立条約、とくに第175(1)に留意し、
 
欧州委員会からの提案(1)に留意し、
 
欧州経済社会評議会の意見(2)に留意し、
 
地域委員会の意見(3)に留意して、
 
欧州連合の設立条約の第251条で定められた手続きに従い(4)
 

(1)欧州官報 C 151E2002625日号、121ページ。
(2)欧州官報 C 2412002107日、62ページ。
(3)欧州官報 C 27820021114日、31ページ。
(4)2002924日の欧州議会の意見(官報に未掲載)、200334日の理事会の共通の立場、および...の欧州議会の決定(官報に未掲載)。

 
以下のことに鑑み:
 
() 生物多様性に関する条約のバイオセイフティ(biosafety)に関するカルタヘナ議定書(以下「議定書」という)*1に、欧州共同体とその加盟国は2000年に署名し、欧州共同体を代表して議定書締結の決定2002/628/EC(5)2002625日に採択された。
 
() 議定書の第1条では、環境と開発に関するリオ宣言の原則15にある予防原則(precautionary approach*2に従い、議定書の目的は、人の健康への影響を考慮し、とくに国境を越える移動を重視し、生物多様性の保全と持続可能な利用に悪影響を及ぼすかもしれない現代のバイオテクノロジーによってもたらさせる遺伝子組換え生物(GMO)の安全な移送、取扱い、および利用に関して適切な水準で保護することに貢献することが定められている。
 
() 議定書に基づき、その義務を実施するために必要で、かつ適切な法的措置、行政的措置および他の措置をとることを議定書は各々の締約国に義務づけている*3。遺伝子組換え生物の環境への意図的放出に関する2001312日の欧州議会と欧州連合理事会の指令2001/18/EC(6)は、議定書に定められた手続きの実施についての法案提出を欧州委員会に要請し、議定書に準拠して、議定書の第7条から第10条まで、および第12条と第14条に示したように、AIA手続き(事前の情報に基づく合意の手続き(Advance Informed Agreement Procedure)*4のすべての要件を確保することを欧州共同体の輸出者に求めている。
 
() 人の健康へのリスクを考慮し、生物多様性の保全と持続可能な利用の確保に貢献し、さらに市民がGMOに関して自由で、情報を与えられた上で選択(informed choice*5を行えるようにするために、GMOの国境を越える移動の監視と規制を組織化することが重要である。
 
() 欧州共同体法には、第三国へのGMOの輸出の個別要件が含まれていないため、さらにGMOの国境を越える移動に関する議定書の義務の遵守を確保するために、このような輸出のために共通の法的枠組みを確立しなければならない。
 
() 環境への意図的放出を目的としたGMOの輸出は、科学的に適正な方法で行われたリスク評価に基づき、情報を与えられた上で決定(informed decision*6し、輸入を行う締約国または非締約国に通知しなければならない。
 
() 輸出者は通告を確実に行わなければならない。輸出者は、通告の中に入れる情報の正確性について責任を負わなければならない。
 
() 輸出者は、環境への意図的放出を目的とするGMOの最初の国境を越える移動に関する手続きに先立ち、輸入を行う締約国または非締約国の明確な同意を得なければならない。
 
() 発展途上国や経済移行国の中には、そのような情報を与えられた上で決定する能力がないかもしれないので、欧州委員会と加盟国は、これらの国が人的資源と組織的能力を開発し、強化を可能にするために持続した取組みを行わなければならない。
 
(10) 議定書によると、議定書の目的と規定と整合性があり、かつ国際法の当該締約国の他の義務に準拠しているならば、欧州共同体または他の締約国は、生物多様性の保全と持続的利用について、議定書で求める以上に、保護的な行動をとることができる。
 
(11) 議定書によると、欧州共同体はその関税区域内でGMOの移動に関して国内法を適用することができる。
 
(12) 現行の欧州共同体法、とくに指令2001/18/ECおよび、この指令に定めた原則に準拠して実施される個別リスク評価を規定する部門別法規には、議定書の目的に合った規則がすでに含まれているため、欧州共同体へのGMOの輸入に関して追加条項を定める必要はない。
 
(13) GMOの安全な運搬、取扱いおよび包装を保証することが必要である。現行の欧州共同体法、とくに道路による危険物の輸送に関する加盟国の法令の統一に関する19941121日の理事会指令94/55/EC(7)、および鉄道による危険物の輸送に関する加盟国の法令の統一に関する1996723日の理事会指令96/49/EC(8)には、すでに、適切な規則が含まれているので、この点に関して追加的条項を定める必要はない。
 
(14) 欧州共同体から輸出または輸入されるGMOの同定(identification)を確実に行う必要がある。欧州共同体への輸入品のトレーサビリティ(履歴管理)*7、表示、同定について、そのようなGMOは、欧州共同体法の規則に従わなければならない。輸出に関しても同様な規則を適用しなければならない。
 
(15) 欧州委員会と加盟国は、議定書の第27条に規定されているように、議定書の締約国会合の役割を果たす生物多様性条約の締約国会議第1回会合で合意されている、GMOの国境を越える移動に由来する損害の責任と賠償に関する国際的な規則と手続きを適切に策定するための手続きを支援する。
 
(16) 欧州委員会と加盟国は、議定書の第18条に準拠して実施されるGMOの同定に関する添付資料についての共通形式をさらに開発し、適用することを支援する。
 
(17) 人の健康へのリスクを考慮し、生物多様性の保全と持続可能な利用に著しい悪影響の可能性が高いGMOの非意図的な国境を越える移動に効果的に対処するために、このような影響があると考えられるGMOの非意図的移動を引き起こすおそれのある放出に結びつく事故を管轄下において気付いたときは、加盟国は直ちに公衆に通知する適切な措置をとり、かつ欧州委員会、他のすべての加盟国、影響を受ける、または受ける可能性のある国、バイオセイフティ情報センター(BCH)*8および、必要に応じて、関連する国際的な組織に、遅滞なく通知しなければならない。また、その加盟国は、影響を受ける、または受ける可能性のある加盟国と遅滞なく協議し、それらの国が適切な対応を決定し、必要な行動を開始することができるようにしなければならない。
 
(18) BCHの発展に協力するために、欧州共同体と加盟国は、関連情報をBCHに伝達し、欧州共同体において議定書の実施に関するモニタリングと報告を確実に行わなければならない。
 
(19) 加盟国は、本規則についての違反に適用する罰則に関する規則を定め、それらを実施することを確保しなければならない。それらの罰則は、効果的で、均衡がとれ、抑止的なものでなければならない。
 
(20) 本規則を適用する場合、予防原則を考慮に入れなければならない。
 
(21) 本規則は、基本的権利を考慮に入れ、とくに欧州連合の基本権憲章で認められている原則を遵守する。
 

(5)欧州官報 L 2012002731日、48ページ。
(6)欧州官報 L 1062001417日、1ページ。
(7)欧州官報 L 31919941212日、7ページ。欧州委員会の決定 2002/886/EC(欧州官報 L 3082002119日、45ページ)で修正された最終の指令。
(8)欧州官報 L 2351996917日、25ページ。欧州委員会の決定 2002/885/EC(欧州官報 L 3082002119日、44ページ)で修正された最終の指令。
*1: http://www.biodic.go.jp/cbd/biosafety/1st/reference1_1.pdf (対応するページが見つかりません。2010年5月)
*2: http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/precautionary/precautionary.html
    http://www.ne.jp/asahi/chemicals/precautionary/web030703pp.pdf
*3: http://www.env.go.jp/info/hoan/156_idenshi/index.html      我が国の法案
*4: http://www.env.go.jp/council/toshin/t131-h1405/t131-h1405-1.pdf  のp.2参照
*5: http://www.mext.go.jp/a_menu/sports/ikusei/030301ci.htm (対応するページが見つかりません。2015年5月)     の概要の項
*6: http://www.reservoir-jp.com/general_ja/patient_ic/index.html (最新のURLに修正しました。2010年5月)
    http://www.dab.hi-ho.ne.jp/~kigyo-ho/lect-0.htm (対応するページが見つかりません。2010年5月)
*7: http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/gmo/document/eugmoreg.htm
    http://kumamoto.lin.go.jp/syokuniku/01.html (対応するページが見つかりません。2010年5月)
*8: http://www.mhlw.go.jp/topics/idenshi/codex/houkoku2t.html (対応するページが見つかりません。2010年5月)

 
本規則を採択した:
 
第1章 目的、範囲および定義
第1条 目的
 
予防原則に従い、指令2001/18/ECの規定を侵害することなく、遺伝子組換え生物(GMO)の国境を越える移動についての通告と情報に関する共通のシステムを確立し、人の健康へのリスクを考慮し、生物多様性の保全と持続可能な利用に悪影響があるかもしれないGMOの安全な移送、取扱いおよび利用に関して、適切な水準の保護に貢献するために、欧州共同体を代表して議定書の規定の整合性のとれた実施を確保することが本規則の目的である。
 
第2条 範囲
 
. 本規則は、人の健康へのリスクを考慮に入れて、生物多様性の保全と持続可能な利用に悪影響があるかもしれないすべてのGMOの国境を越える移動に適用する。
 
. 他の関連する国際協定あるいは組織によって取り組んでいる人の医薬は、この規則の範囲から除外する。
 
第3条 定義
 
本規則の目的を果たすために、次の定義を適用する:
 
. 「生物」とは、指令2001/18/ECの第2条(1)で定義する生物をいう;
. 「遺伝子組換え生物」または「GMO」とは、指令2001/18/ECの第2条(2)に定義する遺伝子組換え生物を指し、指令2001/18/ECの附則IBに記載する遺伝的子組換え技術によって得られた生物は含まない;
. 「意図的放出」とは、指令2001/18/ECの第2条(3)に定義する意図的な放出をいう;
. 「上市」とは、指令2001/18/ECの第2条(4)*1に定義する市場に出すこと*2をいう;
. 「封じ込め利用」とは:
(a) 指令90/219/EEC(9)の第2条(c)に定義する活動;
(b) 微生物以外の生物を遺伝子改変し、あるいはそのようなGMOを他のあらゆる方法によって栽培、保管、運搬、破壊、廃棄、利用するなど、指令90/219/EECと変わらない原則に基づく特定の封じ込め手段が、一般の生物集団や環境との接触を規制するために適宜、使用する活動をいう;
. 「食料」とは、規則(EC178/2002 (10)の第2条に定義する食料をいう;
. 「飼料」とは規則(EC178/2002の第3条(4)で定義する飼料をいう;
. 「通告」とは、議定書の締約国の主務官庁に、あるいは非締約国の主務官庁に、本規則に基づき輸出者に要求した情報を提出することをいう;
. 「バイオセイフティ情報センター」または「BCH」とは、議定書の第20条に基づいて設立されたバイオセイフティ情報センターをいう;
10. 「輸出」とは:
(a) 欧州共同設立条約の第23(2)の要件を満たすGMOを欧州共同体の関税区域から永久的、または一時的に域外に出すこと;
(b) 通過手続き以外の通関手続きに従って提出される(a)に定める要件を満たさないGMOの再輸出*3をいう;
11. 「輸入」とは、欧州共同体内のある締約国から、欧州共同体域外の締約国または非締約国の税関区域の中で売り出されたGMOを通過手続き以外の通関手続きに従って注文することをいう;
12. 「輸出者」とは、通告を行う自然人または法人、もしくは彼らの代表者、すなわち、通告を送るときに、第三国に荷受人と契約が成立し、GMOが欧州共同体の関税区域から発送することを決定する権限がある人をいう。輸出契約が結ばれていない場合、または契約者が自ら代表して行動しない場合、GMOを欧州共同体の関税区域から発送する決定を下す法的権限を明確にしなければならない;
13. 「輸入者」とは、GMOの輸入を手配する、輸入締約国または輸入非締約国の管轄下の自然人または法人をいう;
14. 「国境を越える移動」とは、欧州共同体内の締約国間の移動を除く、ある締約国または非締約国、および他の締約国または非締約国の間のGMOの意図的または非意図的な移動をいう;
15. 「締約国」とは、議定書の当事者であるすべての国あるいは地域の経済的な統合組織をいう;
16. 「非締約国」とは、議定書の当事者でないすべての国や地域の経済的な統合組織をいう;
17. 「議定書」とは、生物多様性に関する条約(「条約」)のバイオセイフティに関するカルタヘナ議定書をいう;
18. 「生物多様性」とは、とくに陸域、海洋およびその他の水域の生態系およびこれらの生態系を構成要素とする生態学的複合体など、すべての供給源からの生物の間の変異性をいう; これには生物種内、生物種間および生態系の多様性が含まれる;
19. 「主務官庁」とは、議定書の締約国によって指定された主務官庁、あるいは非締約国の同等の関連組織を指し、議定書で求められている行政を行うことに責任をもち、または非締約国の場合は同等の機能があり、かつその国を代表して行動する権限が与えられている組織である;
20. 「中央連絡先」とは、事務局と連絡することにその国を代表して責任がある締約国が指定した組織体をいう;
21. 「事務局」とは、議定書の事務局をいう。
 

(9)遺伝子組換え微生物の封じ込めに関する1990423日の理事会指令 90/219/EEC(欧州官報 L 117199058日、1ページ)。決定 2001/204/EC(官報 L 732001315日、32ページ)で修正された最終の指令。
(10)食品法の一般原則と要件を定め、欧州食品安全機関*4の設立、および食品の安全性問題に関する措置を定める2002128日の欧州議会と理事会の規則(EC178/2002 (欧州官報 L 31200221日、1ページ)。
*1: http://www.biodic.go.jp/cbd/biosafety/4th/4reference2.pdf (対応するページが見つかりません。2010年5月)
*2: http://member.nifty.ne.jp/tsato/seec-faq/rackham.html (対応するページが見つかりません。2010年5月)
*3: http://www.biodic.go.jp/biolaw/was/was01.html
    http://jorei.cne.jp/treaty/wasinnton.html
*4: http://jpn.cec.eu.int/japanese/general-info/5-8-2.htm (対応するページが見つかりません。2010年5月)

 
第2章 第三国へのGMOの輸出
第1節 環境中へのGMOの意図的放出
第4条 輸入を行う締約国と非締約国への通告
 
輸出者は、環境への意図的放出を計画し、附属書Iの項目(i)に準拠して、特定の利用を予定しているGMOについて、最初の意図的な国境を越える移動に先立ち、輸入を行う締約国または非締約国の主務官庁に書面で、通告を確実に行わなければならない。通告には、附則Iに定める情報が最低限、含まれていなければならない。輸出者は、通知に含まれる情報の正確性を確保しなければならない。
 
第5条 決定を行わない場合
 
. 輸入を行う締約国が通告の受取り通知、あるいはその決定の伝達を行わないことは、意図的な国境を越える移動の同意を意味しない。最初の意図的な国境を越える移動は、輸入を行う締約国または適切な場合、非締約国の同意の表明がなければならない。
 
. 輸入を行う締約国が通告の受領日から270日以内に、この通告に対応する決定を伝達しない場合、輸出者は、この延滞通知を受領してから60日が回答の最終期限であることを付けた延滞通知書を輸入締約国の主務官庁に送り、その写しを事務局と輸出加盟国および欧州委員会に送らなければならない。輸入を行う締約国が返答することができる期間の計算において、輸入締約国が追加的な関連情報のために待たなければならない日数は考慮されない。
 
. 議定書の第9と第10条に準拠して、輸入締約国が決定する手続き、または適切な場合、輸入非締約国が必要とする同等の手続きを進めなければ、輸出者は意図的な放出をしようとするGMOの最初の国境を越える移動の手続きをしてはならない。
 
. 第1、2および3項は、議定書の第13条と第14条に準拠して、締結した簡略化した手続き、二国間、地域および多国間の協定または取決めが該当の国境を越える移動の場合に適用してはならない。
 
. 欧州委員会と加盟国は、事務局と協議して、議定書の締約国会合の役割を果たす本条約の締約国会議の決定として、輸入締約国が意思決定を容易にするため、あるいは議定書の条項に遵守することを推進するために、あらゆる手続きおよび機構に従って、適切な行動をとらなければならない。
 
第6条 輸出を行う締約国の通知
 
輸出者は、第4条に定めた通告と受取り通知、および締約国の決定、適切な場合、輸入を行う非締約国の決定の証拠を少なくとも5年間、保存し、これらの文書の写しをGMOを輸出する加盟国の主務官庁と欧州委員会に送達しなければならない。
 
第7条 決定の再検討
 
. 輸出者は、決定の根拠としたリスク評価の結果に影響するかもしれない、あるいは科学的または技術的な追加的関連情報が入手可能になったなどの環境変化が生まれたとみなすならば、輸出者は議定書の第10条に準拠して、通告に関して行った決定を再検討することを輸入を行う締約国または適切な場合、非締約国に要求することができる。
 
. 輸入を行う締約国または非締約国は90日以内に、この要求に応じない場合、輸出者は、遅延通知書を輸入を行う締約国または適切な場合、非締約国の主務官庁に遅延通知受領後、一定期間内に、回答を求めている事務局の写しを添えて送らなければならない。
 
第8条 本章第1節の除外事項
 
. 人の健康へのリスクを考慮に入れ、生物多様性の保全と持続可能な利用に悪影響がありそうにもないとき、議定書の締約国会合の役割を果たす本条約の締約国会議の決定で確認された環境中に意図的に放出されるGMOは、本章第1節の適用範囲から除外する。
 
. 本章第1節は食料や飼料として直接利用されるまたは加工されるGMOには適用されない。
 
. 議定書の目的に従って意図的な国境を越える安全な移動を確保するために適切な措置が行われることを条件として、そのようなGMOの輸入は、議定書の第7条から10条、12条および14条に示すように、事前の情報に基づく合意の手続きを免除することができるという議定書の第13(1)(b)と第14(3)に準拠して、輸入を行う締約国がBCHに事前に特定した場合、本章第1節で定める義務は適用されない。
 
第2節 食料や飼料として直接利用または加工されるGMO
第9条 BCHへの情報伝達
 
. この決定を下した欧州共同体を代表する欧州委員会または適切な場合、加盟国は、欧州共同体内または加盟国内での上市を含む利用に係わるすべての最終決定について、および食料や飼料として直接利用または加工のために国境を越える移動の対象となる可能性のあるGMOについて、BCHBCHを通じて他の締約国に通知しなければならない。この情報は、その決定の採択から15日以内にBCHに送らなければならない。
 
本項は、その後の決定がなければ、第三国に食料や飼料として直接利用または加工されないGMOに関する指令2001/18/ECのパートBに準拠して、意図的な放出に係わる決定には適用されない。
 
. BCHに送達される第1項に掲げる情報は、附則IIで定める情報が最小限として含まれていなければならない。
 
. 欧州委員会または第1項に掲げる加盟国は、第1項に掲げる決定にかかわる追加情報を得るために締約国または非締約国から提出された要求を処理しなければならない。
 
. 欧州委員会あるいは第1項に掲げる加盟国は、BCHに連絡していないことを事務局に事前に知らせている各締約国の中央連絡先に第1、2および3項で掲げる情報の写しを書面で送らなければならない。
 
10条 締約国と非締約国による輸入に関する国内決定
 
. 輸出者は、議定書の第11条(4)に準拠して輸入締約国が行った、あるいは議定書の目的と整合性のある国内規制枠組みの下で輸入非締約国が行った、食料や飼料として直接利用または加工されるGMOの輸入に関するすべての決定を尊重しなければならない。
 
. 輸入を行う発展途上の締約国または非締約国、または輸入を行う経済移行にある締約国または非締約国が、議定書の第11(6)に準拠して、食料や飼料として直接利用または加工される特定のGMOの輸入に先立ち、決定をBCHを通して宣言した場合、輸出者は、規定に従って手続きをとらない限り、そのようなGMOの最初の輸出を進めてはならない。
 
. 輸入を行う締約国または非締約国が通告の受取り通知あるいは第2項に準拠して決定を伝達しないことは、食料や飼料として直接利用または加工されるGMOの輸入の同意あるいは拒否を意味しない。規則(ECNo 178/2002の第12条に基づき、要求された輸入に対して、欧州共同体内で許可され、あるいは第三国の主務官庁が明確に合意しない限り、食料や飼料として直接利用または加工するために国境を越える移動の対象となる可能性のあるGMOを輸出することはまったくできない。
 
第3節 封じ込め利用されるGMO
11
 
. そのような国境を越える移動が輸入を行う締約国または非締約国の基準に従って実施される場合、第2章第1節の条文は、封じ込め利用されるGMOの国境を越える移動には適用されない。
 
. 前項では、輸入に関する決定ならびに管轄内での封じ込め利用基準の設定に先立ち、すべてのGMOのリスク評価を必要とする締約国または非締約国のあらゆる権利を侵害してはならない。
 
第4節 共通の規定
12条 同定と添付資料
 
. 輸出者は、GMOに添付資料の中に次の情報を明記し、GMOを受け取る輸入者に送達することを確実に行わなければならない:
 
(a) GMOを含有、あるいはGMOから成る;
(b) 可能であれば、GMOに割り当てられた固有の識別遺伝暗号。
 
. 食料や飼料として直接利用または加工されるGMOについて、前項に掲げる情報には、輸出者の申告によって、次のことが追加されなければならない:
 
(a) GMOは食料や飼料として直接利用または加工することを述べ、環境中への意図的放出を行わないことを明確に示し;
(b) 追加情報入手のための連絡先を詳細に記す。
 
前項(b)は、食料や飼料として直接利用または加工するためにだけ利用されるGMOから成る製品あるいは混合物が含まれる製品には適用されない。これらの製品は、指令2001/18/ECのトレーサビリティ要件と、該当する場合、このようなGMOのトレーサビリティ、表示および同定を規定する今後の欧州共同体法に従わなければならない。
 
. 封じ込め利用されるGMOについて、第1項に掲げた情報には、次のことを明記した輸出者の申告によって、追加されなければならない:
 
(a) GMOの安全な取扱い、保管、運搬および利用についての要件;
(b) GMOを託送する個人または機関の名称と住所などの追加情報を入手するための連絡先。
 
. 環境中への意図的な放出されるGMO、ならびに本規則を適用される他のGMOについて、第1項に掲げる情報は、次のことを詳述した輸出者の申告によって追加されなければならない:
 
(a) GMOの同一性(identity)と関連する形質や特徴:
(b) GMOの安全な取扱い、貯蔵、運搬および利用の要件;
(c) 追加情報入手のための連絡先、必要に応じて、輸入者、輸出者の名称と住所;
(d) 移動は輸出者に適用される議定書の要件に従っているという宣言書。
 
. 第1項から第4項までは、欧州共同体法によって課された他の個別の要件、ならびに議定書の第18条に準拠して開発された国際的な確認要件を侵害してはならない。
 
13条 通過
 
輸出者は、その区域を通るGMOの通過を規制する決定を行い、その決定をBCHに通知した締約国に、GMOの通過の通告を確実に行わなければならない。
 
第3章 GMOの非意図的な国境を越える移動
14
 
. 加盟国は、GMOの非意図的な国境を越える移動を防止するための適切な措置をとらなければならない。
 
. 加盟国が人の健康へのリスクを考慮に入れて、生物多様性の保全と持続的利用に著しい悪影響の可能性の高い国境を越える非意図的移動を引き起こす、あるいは引き起こすおそれのあるGMOの放出をもたらす事故にその管轄の下で気付いたときは、加盟国はすぐに:
 
(a) 公衆に通報するため、また欧州委員会、他のすべての加盟国、影響を受ける国または影響を受ける可能性のある国、BCH、および必要に応じて、関連する国際組織に遅滞なく通知するために、適切な措置をとらなければならない;
(b) たとえば、著しい悪影響を最小限にするための緊急措置など、適切な対応と必要な行動提案の決定を可能にするために、影響を受ける国または可能性のある国と遅滞なく協議しなければならない。
 
. 上記により生じるすべての情報には、附則IIIにおいて特定した情報が含まれなければならない。
 
第4章 共通の規定
15条 国際情報手続きへの参加
 
. 加盟国は、議定書の規定に準拠して、秘密情報の保護を侵害することなく、下記のことについてBCHと欧州委員会に、その決定の採択から15日以内に通知しなければならない:
 
(a) 議定書の第11(5)と第20(3)(a)に準拠して、議定書の実施に関連する国内法および指針;
(b) 議定書の第17条に準拠して、非意図的な国境を越える移動の通告の国内の連絡先;
(c) 議定書の第20(3)(b)に準拠して、GMOの意図的な国境を越える移動に関して、加盟国が発効した二国間、地域や多国間の協定と取決め;
(d) 議定書の第17条と第25条に準拠して、GMOに関する非意図的または違法な国境を越える移動の事案に関わる情報;
(e) たとえば、次のことついての決定など、その加盟国内のGMO利用について、加盟国が行った最終決定:
国境を越える移動の対象となる可能性のあるGMOの危険度3または4クラスに分類される封じ込め利用、
指令2001/18/ECのパートBに準拠して、GMOの意図的な放出、
議定書の第11条と第20(3)(d)に準拠して、GMOの欧州共同体への輸入;
(f) 欧州共同体の規制手続きで生み出され、議定書の第15条に準拠して実施されたGMOのリスク評価または環境調査のすべての概要、適切な場合には、議定書の第20(3)(c)に準拠して、その製品、すなわち現代のバイオテクノロジーの使用によって得られた複製可能な遺伝物質の検出可能な新たな組合せを含むGMO起源の加工物質に関わる関連情報を含める;
(g) 議定書の第12条に準拠して、意図的な国境を越える移動に関する国内の決定の再検討;
(h) 指令2001/18/ECの第23条に基づき保護措置に関して加盟国が行う決定または遺伝子組換え食品と飼料に関する欧州共同体法に基づき行われる加盟国の緊急措置。
 
. 欧州共同体を代表して、欧州委員会は議定書の規定に従って、次のことをBCHに通知しなければならない:
 
(a) 議定書の第11(5)と第20(3)(a)に準拠して、議定書の実施に関連する欧州共同体法と指針;
(b) 議定書の第20(3)(b)に準拠して、GMOの意図的な国境を越える移動に関する欧州共同体レベルの二国間、地域および多国間の協定と取決め;
(c) たとえば、議定書の第11条と第20(3)(d)に準拠して、GMOの上市あるいは輸入についての決定など、欧州共同体内のGMOの利用に関する欧州共同体レベルで行われた最終決定;
(d) 欧州共同体の規制手続きで生み出され、指令2001/18/ECの附則IIに定めたものと同様の手続きに準拠して実施されたGMOのリスク評価と環境調査の概要、適切な場合には、議定書の第20(3)(c)に準拠して、その製品、すなわち現代のバイオテクノロジーによって得られた複製可能な遺伝物質の検出可能な新たな組合せを含むGMO起源の加工物質に関わる関連情報を含める;
(e) 議定書の第12条に準拠して、意図的な国境を越える移動に関する欧州共同体レベルでの決定の再検討;
(f) 議定書の第14(3)(4)に準拠して、欧州共同体内でのGMOの意図的移動と欧州共同体内へのGMOの輸入のための議定書の手続きに代わる欧州共同体法の適用;
(g) 議定書の第20(3)(e)に準拠して事前の合意手続きの実施など、本規則の第19条に準拠して提出される報告。
 
16条 秘密保持*1
 
. 欧州委員会と加盟国は、この規則に基づき受理した、あるいは交換したいかなる秘密情報も第三者に漏らしてはならない。
 
. 輸出者は、第4条に基づき提出する通知の中で、秘密事項として扱うべき情報を指定することができる。このような要求を行う場合、正当な理由を示さなければならない。
 
. 輸入を行う締約国または適切な場合、非締約国は、輸出者との協議の後に、情報の秘密を保持することを決定するのであれば、それを決定する輸出者に通知しなければならない。
 
. 第4、9または12条に準拠して提出された場合、次の情報は決して秘密にしてはならない:
 
(a) 輸出者の名称と住所、
(b) GMOGMOの一般的な説明、
(c) 人の健康へのリスクを考慮し、生物多様性の保全と持続可能な利用に及ぼす影響のリスク評価の概要、および
(d) 緊急対応するためのあらゆる方法と計画。
 
. どのような理由であっても、輸出者が通告を取り下げる場合には、加盟国と欧州委員会は、研究開発情報だけでなく、輸入を行う締約国または非締約国、および輸出者が秘密に関して意見が合わなかった情報も含め、商業上の情報と工業上の情報の秘密を尊重しなければならない。
 

*1: http://www.jmcti.org/C-TPAT/vol.1/1-49files/EU.pdf (対応するページが見つかりません。2010年5月)

 
17条 主務官庁と中央連絡先
 
. 欧州委員会は、欧州共同体の中央連絡先を指定し、必要に応じて、欧州共同体の主務官庁を特定しなければならない。
 
. 各加盟国は、一つの中央連絡先の他に一つもしくは複数の主務官庁もまた指定しなければならない。
単一の機関が、中央連絡先と主務官庁の両方の機能を果たすことができる。
 
. 欧州共同体を代表して、欧州委員会と各加盟国は、それぞれ、議定書が効力を生じる前に、中央連絡先と主務官庁の名称と住所を事務局に通知しなければならない。加盟国または欧州委員会が、複数の主務官庁を指定する場合には、それを事務局に伝えるときに、これらの主務官庁のそれぞれの責任についての関連情報を含めなければならない。該当する場合には、そのような情報には、最低限、どの種類のGMOにどの主務官庁が責任を負うかを定めなければならない。欧州委員会と加盟国は、中央連絡先の指定または一つの主務官庁もしくは複数の主務官庁の名称と住所あるいは責任に関するいかなる変更も事務局に速やかに通知しなければならない。
 
18条 罰則
 
加盟国は、本規則の条文の違反に適用できる罰則に関する規則を定め、実施することを保証するために必要なあらゆる措置を取らなければならない。定める罰則は、効果的で、均衡がとれ、抑止的なものでなければならない。加盟国は、...(11)より前に欧州委員会にそれらの規定を通知し、それらに影響を及ぼすその後のいかなる修正も遅滞なく通知しなければならない。
 

(11)欧州連合の官報にこの規則を公示してから12か月後。

 
19条 モニタリングと報告
 
. 定期的に、少なくとも3年ごとに、議定書の第33条に基づき確定されていない限り、加盟国は本規則の実施に関する報告を欧州委員会に送達しなければならない*1
. 欧州委員会は、議定書の締約国会合の役割を果たす条約締約国会議が決定する間隔で、加盟国が提供した情報に基づき報告書を編集し、議定書の締約国会合の役割を果たす条約締約国会議にそれを提出しなければならない。
 
20条 効力の発生
 
. 本規則は、欧州連合の官報公示から、20日目に効力を生じる。
. 本規則は、議定書の第37(1)に準拠して、議定書が発効する日、あるいは本規則の発効する日のいずれか遅い日から適用される。
 
 
本規則は、全体として拘束力があり、すべての加盟国に直ちに適用する。
 
... にて作成
 
 
欧州議会代表   欧州連合理事会代表
議長       議長
 

*1: http://www.ne.jp/asahi/usui/yoichiro/Paper_2003_SuiGeneris.pdf (対応するページが見つかりません。2015年1月)

 
附則I 第4条に基づく通告に必要な情報
 
(a) 輸出者の名称、住所と連絡先の詳細。
(b) 輸入者の名称、住所と連絡先の詳細。
(c) GMOの名称と同一性および、もしあればGMOのバイオセイフティレベルの輸出国における分類
(d) 判明している場合には、国境を越える移動の予定期日
(e) バイオセイフティに関連する受容体(recipient organism)または親生物の分類上の位置付け、一般名、採集地または取得地および特徴。
(f) 判明している場合、受容体および/または親生物の原産地の中心または遺伝的多様性の中心および当該生物が存続、つまり繁殖し得る生息地の記述。
(g) バイオセイフティに関連する供与体(donor organism or organisms)の分類学上の位置付け、一般名、採集地または取得地および特徴。
(h) 導入された核酸または改変遺伝子、使用した技術およびその結果として生じたGMOの特徴についての記述。
(i) 指令2001/18/ECの附則Iのパート1に記載した技術によって得られた複製可能な遺伝物質の検出可能な新たな組合せを含む、GMOまたはその製品、すなわちGMO由来の加工された材料の、予定される用途。
(j) 移送されるGMOの数量または容量。
(k) 指令2001/18/ECの附属書IIと整合した以前のおよび既存のリスク評価の報告。
(l) 適切な場合には、包装、表示、資料、廃棄および不測の事態の手続きを含め、安全な取扱い、保管、運搬および利用のために提案される方法。
(m) 輸出国内におけるそのGMOの規制状況(たとえば、輸出国において禁じられているのか、他の制限があるのか、または一般的な放出が承認されているのか)、および輸出国で、そのGMOが禁止されている場合には、禁止の理由。
(n) 移送されるGMOに関して、輸出者が他の国に対して通告を行ったあらゆる結果と目的。
(o) 上記の情報が事実に基づいて正確である旨の宣言書。
 
附則II 第9条に基づき要求される情報
 
(a) 国内利用を決定に関する申請者の名称および連絡先の詳細。
(b) 決定に責任を有する当局の名称および連絡先の詳細。
(c) GMOの名称と同一性。
(d) 改変遺伝子、使用された技術およびその結果として生じるGMOの特徴についての記述。
(e) GMOの特異性の同定。
(f) バイオセイフティに関連する受容体または親生物の分類学上の位置付け、一般名、採集地または取得地および特徴。
(g) 判明している場合、受容体および/または親生物の起源の中心および遺伝的多様性の中心地および当該生物が生存し、または繁殖し得る生息地の記述。
(h) バイオセイフティに関連した供与体の分類学上の位置付け、一般名、採集地または取得地および特徴。
(i) GMOの承認された利用。
(j) 指令2001/18/ECの附属書IIと整合したリスク評価の報告。
(k) 適切な場合には、包装、表示、資料、廃棄および不測の事態の手続を含め、安全な取扱い、保管、運搬および利用のために提案される方法。
 
附則III 第14条に基づき要求される情報
 
(a) GMOの推定量と関連する特徴および/または形質に関する入手可能な関連情報。
(b) GMOの放出の状況と推定された放出の日、および移送元の締約国における利用についての情報。
(c) 人の健康へのリスクを考慮した、生物の多様性の保全および持続可能な利用についての、可能性のある悪影響についてのあらゆる入手可能な情報、および可能なリスク管理措置についての入手可能な情報。
(d) その他のあらゆる関連情報;
(e) 追加情報を入手するための連絡先。
 
理事会の論拠声明*1
 

*1: http://www.jca.apc.org/~nisimura/juki/Documents/EU-Directive-95-46-EC.pdf (対応するページが見つかりません。2010年5月)
    http://www.isc.meiji.ac.jp/~sumwel_h/doc/intnl/Direct-1995-EU.htm

 
I. 緒言
 
. 2002218日に、欧州委員会はGMOの国境を越える移動に関する欧州議会と理事会の規則についての提案を理事会に提出した。
 
. 経済社会評議会は、その意見を2002717日に提出した。
 
. 地域委員会は、その意見を2002516日に提出した。
 
. 欧州議会は、第一読会でその意見を2002924日に採択した。
 
. 200334日に、理事会は欧州共同体設立条約の第251(2)に準拠してその共通の立場を採択した。
 
II. 目的
 
遺伝子組換え生物(GMO)の国境を越える移動に関する規則の提案は、生物多様性に関する条約に基づき制定したバイオセイフティに関するカルタヘナ議定書の実施を保証するのに必要な法律の一部となる。
 
予防原則に従って、この規則の目的は、GMOの国境を越える移動の通告と情報に関する共通のシステムを確立し、人の健康へのリスクを考慮し、生物多様性の保全と持続可能な使用に悪影響があるかもしれないGMOの安全な移送、取扱いおよび利用に関して適切な水準の保護を行うことに貢献するため、欧州共同体を代表して本議定書の規定の一貫性のある実施を確保することである。
 
III. 共通の立場の分析
 
1. 総論
 
2002年に、欧州議会との協議の後に、欧州共同体を代表して議定書を締結することが決定された。
50の締約国が必要な書類を寄託したときに、議定書は効力が生じる。
 
この背景として、本提案は、EC条約の第175(1)に基づいており、第三国へのGMOの国境を越える移動のための通告と情報に関する共通システムの確立、および非意図的な国境を越える移動がおもな対象であり、またこのような問題に関連するカルタヘナ議定書の規定を実施するために必要である。議定書の他の規定は、他の欧州共同体法で取り扱う。
 
概して、理事会は、議定書をそっくり踏襲している箇所では合意している。この場合においても、法的あるいは政治的に必要であると思われる箇所ではEUの慣例に従った具体的な表現を使用している。たとえば、議定書で使用されている用語「生きている改変された生物(living modified organisms)」を使用しないのは、EU内で使用されている用語「遺伝子組換え生物(genetically modified organism)」が、同等の用語としてよく知られ、EU内で一般に適用できる用語であるからである。
 
すべての国が議定書によって規制される実質的問題に必ずしも関心を持たず、また議定書に署名している国が、議定書が発効されるときに必ずしも締約国にならないだろうから、理事会は、本規則に基づき、可能な限り非締約国との関係を考慮することが重要であると考える。
理事会はいろいろな条項との関係に基づいて、非締約国とも関係付けなければならない規則の部分について合意した。
 
欧州委員会は、理事会が合意した共通の立場を承認しなかった。
 
. 欧州議会の修正条項
 
2002924日の全員出席の投票で、欧州議会は本提案に対する45件の修正を採択した。
 
(a) これらのうち33件(25件は条項、8件が説明部分)は、字句通りに、部分的に、または考え方としてのいずれかで、理事会の共通の立場の中に取り入れられた:
 
修正1は、説明3に反映されている。
 
修正2は、説明4に反映されている。
 
修正3は、本規則において、予防原則の全体的に重要であることを述べる説明20に反映されている。
 
修正4、14および23の最初の文章は、説明7、第3条および第6条にそれぞれ反映されている。これらの修正は、用語「通告者(notifier)」に関連するものである。この用語は正確でも実際的でもないため、本文を通して、該当する具体的な企業・個人(economic operator*1おもに「輸出者」に置き換えられた。
 
修正5は能力の重要性を認め、説明9に反映されている。この能力はかなりの一般目的、およびカルタヘナ議定書に従って必要な情報に基づき決定することにも関連がある。理事会は、欧州委員会と加盟国が、関係国の人的資源と組織の能力をさらに開発することを可能にするための継続した努力を一般に行わなければならないと考える。このような個別の規則の中で、能力構築*2の一般的問題に関わる義務を述べることは適切であるとは思われない。修正47は、具体的な規則として効力をもつ文章で、このような義務を導入しようとすることを意図しているため、受け入れられなかった。
 
修正6811は修正56121343とともに、編集上の問題であり、編集の趣旨に最も合った方法で、本文に取り入れた。これらの修正は、説明1017、第2条(3)(削除)と、第8条(1)、第3条6項、第3条7項および第15(2)(g)にそれぞれ反映される。
 
修正7は、説明15に反映されている(また、下記の修正45を参照)。
 
修正10は第2条(2)に反映されているが、議定書にいくぶん近い言葉づかいになっている。
 
修正18は、「国境を越える移動」の厳密な定義の問題に関係し、第3条14項のように反映されている。
 
修正2160は、同じ項の一部を対象としている。修正21は4つの句を対象とし、改正60は4つの句を対象としている。修正21の1、2番目の句(「〜その決定を伝達し〜」と「時間を計算して〜」)は共通の立場の第5条(2)に反映されている。改正21の3、4番目の句(「締約国が〜を行わない場合は〜」と「輸出をしてはならない」)と修正60の2番目の句(「〜せずに、行わなければならない〜」)は、第5条(1)の中に反映されている。
 
修正60の1番目の句(「直接、または、間接的に」)は受け入れられなかったのは、受け入れたならば、用語から離れた新たな概念になるからである。修正60の3番目の句は、編集上の問題であり、本文を改善するとは考えられなかった。上記のように、修正60の4番目の句(「輸出者」)は修正4、1423に準じて受け入れられた。
 
修正2425は第16条に反映し、秘密と非秘密情報に関する議定書の規定に従っている。
 
修正28は、第9条(1)に反映されている。
 
修正29は多くの句を対象としているが、これらの句は、議定書により近い文章にする表現で、一部を変更することによって、共通の立場の第10条に反映されている。これに加え、欧州共同体内での認可に関する要件を第三国の主務官庁が対象の輸入に明白に合意しているという表現で補足している。
 
修正343536は、第12(4)に反映されている。
 
修正37は、第10(1)に反映されている。
 
修正3859は、第14(1)に反映されている。
 
修正40は第14(2)(b)に「重大な」という言葉を追加することで、反映されている。
 
修正46は、第19(1)に反映されている。
 
修正5051には、3つの句が含まれる。3番目の句(「封じ込め利用または通過のための」)は、共通の立場の第11(1)と第13条に反映されている。
 

*1: http://www.jmcti.org/C-TPAT/vol.1/1-49files/EU.pdf (対応するページが見つかりません。2010年5月)
*2: http://www.keidanren.or.jp/abac/glossary.html

 
(b) 12件の修正は取り入れなかった。他の4つの修正は部分的にのみ取り入れられた。これら16件は次のように分類できる:
 
修正9は、「促進(facilitation)」といういくぶんあいまいな概念と輸入国の規制枠組みについての句を重視するためと思われる。理事会は、これらの句は、多くの解釈上の問題になる可能性があると考え、輸入を行う締約国あるいは非締約国の具体的決定を重視して決定した(修正2160と、共通の立場の第5条(1)を参照)。
 
修正15は、議定書の本文に近いが、理事会は、本具体的規則の本項に関して特別な言葉づかいを避けるために、欧州共同体のカスタムコードに近い文章を守るという原則に従うことに合意したので、受け入れられない。
 
修正1617は編集上の問題であり、広い「締結(concluded)」よりもむしろ「批准(ratified)」の用語を使用することを提案している。「締結」には、とくに批准と許諾が正規に含まれており、欧州共同体によって一般に使用されている。理事会は、これが特別に「批准」を使用することが、適切であると考えられない。
 
修正23の2番目の句は、受け入れられない。これは、輸入を行う締約国または非締約国に輸出者が公的に使用可能な通告を行うために、欧州委員会の義務を懸念しているが、欧州委員会は、これらの通告を行う権利をもっていない。
 
修正27が受け入れられない理由は、議定書に基づく義務に照らして、理事会がBCHにそのような新たな通告を行う必要がないと考えるからである。理事会は、BCHへの関連情報についての規定は第15(1)(e)と第15(2)(c)に定められていることを指摘することが適切であると考える。
 
修正30が受け入れられない理由は、議定書に従って義務を考慮する必要がない、GMOまたは封じ込め利用をしようとするGMOを含んでない条項に関する通告の特例で扱うからである。さらに、この修正は、輸入を行う締約国または、非締約国の想定される法律によって輸出者の遵守の問題を扱うように思われるが、問題の法律が正しく採択され、議定書と整合しているなら、このような遵守は本質的に義務づけるべきと思われる。
 
修正3153が、そのように受け入れられないのは、これらの修正が通過する締約国または非締約国の想定される法律によって輸出者が遵守問題を扱うように思われるからである。問題の法律が正しく採択され、議定書と整合しているなら、そのような遵守は本質的に義務づけるべきと思われる。理事会は、共通の立場の第13条は、議定書にそっくり踏襲している表現で、GMOの通過の通告を対象としているということを指摘することが適切であると考える。
 
修正32が受け入れられないのは、この修正の中に含まれるおもな新たな言葉づかいが、通過および通過途中の保管期間を扱い、これらは特別な状況にあるとはみなされず、GMOの国境を越える移動の間の他の処置と比較して、特別に注意を扱わなければならないからである。
 
修正44が受け入れられないのは、この修正が、国内の罰則制度に適用している一般的な条件をこえているからである。
 
修正45が受け入れられないのは、この修正は使用できる法的規定が制定されていないからである。理事会は、説明15にも示し、修正7に反映しているように、欧州共同体と加盟国は該当の手続きをすでに支持しているということを指摘することが適切であると考える。
 
修正47が受け入れられないのは、この修正がこのような個別の規則において、能力構築という一般的な問題に関わる義務を導入することを意図しているからである。理事会は、欧州委員会と加盟国が、人的資源と組織の能力をさらに開発することを関係国が可能にするための継続した努力を一般に行わなければないと考え、この具体的な規則において、一般的問題に関する義務を述べることは適切であるとは思われない。修正5は、この一般的問題に関する説明を取り入れることを意図しており、理事会はこの修正を受け入れる(上記参照)。
 
修正5051には、3つの句が含まれる。1、2番目の句(「その国が意図的放出のための許可を与えた〜)が受け入られないのは、輸入を行う締約国によって、すでに存在するいかなる許可にもかかわらず、「最初の国境を越える意図的な移動に先だって、通告を確実に行わなければならない〜」と表現された共通の立場の第4条の一般原則に抵触するかもしれないからである。さらに、この修正は当該許可に的確ではなく、共通の立場には「附属書I(i)項に準拠して特定した利用」を追加した。
 
修正60は、修正21で述べたように部分的には受け入れられなかった。修正60の最初の句(「直接または間接的に」)が受け入れられなかったのは、この修正が用語から外れた新たな概念を適用しなければならないからである。修正60の3番目の句は、編集上の問題であり、文章を改善するようには思われない。修正60の4番目の句(「輸出者」)は、上記のように、修正4、1423に従って受け入れられた。
 
IV. 結論
 
理事会は、この共通の立場が第一読会における欧州議会の意見の大部分を考慮していると思う。理事会の共通の立場では、均衡と予防の重要な原則を考慮に入れるほかに、輸入可能な国によって具体的決定についても尊重し、欧州共同体と加盟国がGMOの国境を越える移動の体制を確立することによって、議定書に定める義務を果たすことを可能にするという共通の目的と、均衡のとれた解決策を示している。
 
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