このページではJavaScriptを使用しています。 第3回公開セミナー Q and A (5):「外来植物のリスクを調べて、その蔓延を防止する〜外来植物とどう対峙するか?〜」
公開セミナー(第3回) 「外来植物のリスクを調べて、その蔓延を防止する〜外来植物とどう対峙するか?〜」
開催趣旨プログラム交通案内プロジェクト

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Q&A

講演タイトル フリートーク「〜外来植物とどう対峙するか?〜」
講演者 会場からのご意見・質疑応答と討論

Q1.

アレロパシーの作用経路で、枝についている状態の葉からしみだす物質と、落ち葉からしみだす物質は異なるかどうか。落ち葉の場合に、物質は変化するのですか。

A1(藤井).

葉から出る物質は、土壌微生物の関与や、葉の中の酵素による反応等で変化します。例えばクルミの木のアレロケミカルはユグロンという配糖体で、もともと葉にあるときは植物に対する阻害活性がありませんが、落ち葉になり、土に入ったあと、土壌微生物の影響で、糖が切れてアグリコンとなり、強い阻害物質に変化します。また、日本の在来植物であるユキヤナギの成分は、葉が生のときよりも、枯れ葉になったほうが阻害活性が強くなります。もちろん、生の葉の方が活性が強くて、落ち葉になると弱くなるという現象もあり、個々にいろいろな現象があります。

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Q2.

水際で外来植物をくい止めるとき、リスク評価が難しい。すべての植物のアレロパシーを解明してリスク評価をすることは、いつになったらできるのでしょうか。

A2(藤井).

このプロジェクトが始まる前から、15年間に約3000種類の植物をやっています。このプロジェクトでも、できれば500種以上の検定を行いたいと考えております。東南アジアやアメリカ合衆国などの関連研究者とも連絡をとり、アレロパシー活性の強い植物、侵入すると危ない植物、有毒植物などはある程度分かっていますので、このような他国で問題になっている情報も含めて、できるところからやっていきたいと考えています。

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Q3.

植物と土壌の関係で、土地の形態を変化させてしまうと評価が難しいのではありませんか。

A3(藤井).

これも私どもはやっており、外来植物が入ってきやすい土壌と、入ってきにくい土壌があることが分かってきました。日本特有の酸性土壌やアルミニウムの問題について面白いことが分かっていますので、外来植物が入りにくい土壌にするにはどうしたらいいかということにつながると思います。

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Q4.

特定外来生物の有害性等の評価ができても、現実的に駆除することは可能でしょうか。

A4(藤井).

植物化学調節剤研究協会を中心に、除草剤やカバークロップを使う、刈り払いも評価するといった方法で総合的に駆除する方法を開発しているところです。いま現地で問題となっている外来植物の駆除法については、速やかに開発したいと考えています。

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Q5.

特定外来生物で爆発的な繁殖力を持っているものは、裏を返せばコントロールできるなら大変有用な植物ではないかと思うのですが、実際にうまく外来植物をコントロールして役に立った例はあるのでしょうか。

A5(藤井).

私はヘアリーベッチという植物を、ずっとこの15年研究しています。これも外来植物で、約100年まえの明治時代に導入されたものですが、雑草抑制に大変効果があるマメ科の植物です。秋播きで、春雑草をほぼ完璧に抑制します。初夏に爆発的に広がりますが、夏の暑さで枯れてしまうのでコントロールは比較的容易で、かなり果樹園や水田に広がっています。種子をたくさんつけますが、鋤混まないと再生しにくいので、雑草化しにくい性質を持っています。逆に、再生させたい場合は、年に1回、秋に鋤混めば、再生します。このような植物を有機農業等に使う方向でやっていきたいと思っています。

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Q6.

日本固有種を守る必要があるという理念ですが、天然記念物は必ず例外なく保護しなければいけないのでしょうか。「外来=悪」という図式になっていないでしょうか。

A6(藤井).

おっしゃるとおりです。ですから、私どもはこのプロジェクトで、どうしてその外来植物が悪いのか、本当に注意すべきものは何かを明らかにしたいと思っています。例えば日本の在来種でも、クズなどははびこりすぎると問題になります。そのようなことはきちんと評価したい。外来植物の利用は農業の宿命でもあるので、外来植物のよい点、悪い点を明らかにして、逆にうまく利用していきたいと考えています。

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Q7.

今回のアレロパシー効果は対植物でしたが、魚類や陸産貝類などにも影響はあるのではないでしょうか。

A7(藤井).

そのとおりです。現在はもっぱら植物を中心に研究していますが、藻類や昆虫、微生物に及ぼす影響についても、今後やっていきたいと考えています。

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Q8.

外来と帰化、在来と自生、侵入と移入、いろいろな用語を聞きますが、明確な使い分けはありますか。

A8(藤井).

使い分けは一応ありますがほとんど同じことばで、役所がことなるため違うことばで呼ばれる経緯もあります。後ほどホームページ等でご回答したいと思います。

外来(種):他地域から人為的に持ち込まれた生物。自然分布域外に導入された種。環境の分野でこの語を使用するときは、通常、特に野生化して世代交代を繰り返すようになり、生態系に定着した動植物をいい、1世代で死滅するものなどはこれに含めない。一般に外来種というとき、国外の生き物を指しているように感じるが、この定義では、国内の他の地域から人為的に持ち込まれた生物も含める。そこで、国内からの外来種、国外からの外来種と明記することもある。

帰化(種):本来の意味は、「君主の徳に教化・感化されて、そのもとに服して従うこと」で、自らの意思で海を渡って日本に来た人を意味した。現在は日本では「帰化」という用語は、法曹関係者間や法務省をはじめとする役所の手続きなどで、法律用語として使われる。「帰化植物」「帰化動物」については「外来種」(環境省・農林水産省)「移入種」(国土交通省)の用語で表現することが多くなっている。

在来(種)と自生(種):人間の介入以前に、ある地域で自力で生活している生物種を在来種という。野生種、自生種、土着種は同じ意味。狭義には、古くからある地域の植物相(フロラ)を構成していた種をさす。

侵入(種):自然分布域外に入り込んだ種。すでに定着した種。

移入(種):他の地域から人によって移入された種。生態学の分野では、個体群の自然分布拡大の場合でも用いられていた。

導入(種):人によって意図・非意図的に持ち込まれた種であって、自然分布外へ逸出するもの。緑化や植栽に使った種が群落をつくったり、逸出して他の場所で群落を作った場合など。意図的導入は、農業や漁業などに用いるために意図的に導入した外来種。非意図的導入は、輸入飼料や穀物に含まれる外来生物や、船のバラスト水などに含まれていた貝などが新たな地で分布を広げるといったように、間接的に人が関わっている場合をいう。

これらの定義はよく似ている。そこで、環境省は以下のように定義している。

外来生物とは、たとえばカミツキガメのように、もともとその地域にいなかったのに、人間の活動によって外国から入ってきた生物のことを指します。同じ日本の中にいる生物でも、たとえばカブトムシのように、本来は本州以南にしか生息していない生物が北海道に入ってきた、というように日本国内のある地域から、もともといなかった地域に持ち込まれた場合に、もとからその地域にいる生物に影響を与える場合がありますが、外来生物法は海外から入ってきた生物に焦点を絞り、人間の移動や物流が盛んになり始めた明治時代以降に導入されたものを中心に対応します。

この環境省の定義は明快であり、外来生物を、「海外から入ってきた生物」で「明治時代以降に導入されたもの」と明快に定義しています。

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Q9.

外来種の日本への持ち込みに関して、特定外来生物種に指定されたものと同属のものは、種が証明されないと持ち込むことができません。しかし、園芸の分野では新しいものの導入が必要と考えており、ぜひ弾力的にしてほしいと望んでいるのですが、どのようにお考えですか。

A9(城山).

私も同じ意見です。法律がある以上、やはり遵守すべきだと思いますが、それだけに法律を制定される側の人にも、重たいものであると認識してほしいと思っています。

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Q10.

特定外来種の指定によって、新たな種が入ってくる可能性があるわけですが、この事態を防ぐにはどのような対策をとればよいでしょうか。

A10(城山).

同様に、ウチワゼニグサがどんどん植えられていたり、ボタンウキクサがなくなったらホテイアオイの値段が高くなるという現実が実際にあります。法律で取り締まった場合の別の面を表しているわけですが、違法でなければ取り締まることはできませんので、皆さんの認識をいかに高めるかにかかってくるかと思います。非常にあやふやなものではありますが、法制定の趣旨をより多くの人に理解してもらって、問題のあるものはまず生産しない、売らない、流通してきても取り扱わない。お店の人も売らない。買う人も買わない。いろいろなところでチェック機能が働いていけば、結局売れなければ作りませんので、本当の理解者をいかに増やすかが大切だと思っています。

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Q11.

本題からはずれていますが、水生植物公園の開園時間と行き方を教えてください。

A11(城山).

開園時間は、7月11日〜8月20日までは朝7時から、入園できるのは4時半まで、5時に閉まります。JR京都駅から琵琶湖線の新快速で20分ぐらいで着き、そこからバスに乗って25分ぐらいです。ホームページでも公開していますが、電話番号は077−568−2332です。月曜日が定休日です。なお、蓮、スイレンは午前中で閉じてしまうので、午前中に来ていただくと、より美しく見ていただけるかと思います。

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Q12.

有機農法におけるアゾラの重要性の認識についておたずねします。

A12(岸田).

有機農家で、カモと組み合わせずに抑草効果を引き出す目的でアゾラを使っている農家もあります。ただ、これまで強害雑草という位置づけだったので、農家によってはかなり抵抗があるのも現実です。雑草という位置づけを取っていただければ、農業生産現場に有益な植物として入り込む余地は十分にあると思います。我々もこれまで全国アゾラ利用研究会という名称で、福岡県、岡山県、兵庫県で集会を開いてきていますが、なかなか実態として広がりを持たない状況です。

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Q13.

カモのふんの利用について教えてください。

A13(岸田).

これは堆肥での利用というよりも、カモの場合はふんと尿が一緒に排泄されることから、化学肥料のような固形物ではないため、液状肥料という形で農家に広く浸透しています。あとは農家が水稲の収量を、10アール当たり400kg、500kgという水準で、田んぼに放すカモの数を変えることによって、収量レベルも変えることができるという実用段階に入っています。

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Q14.

アゾラの窒素固定の面は評価できると思いますが。

A14(岸田).

農業上有益であるということで、公的な研究機関も研究に着手していただきたいと思います。窒素資源、リン酸資源の枯渇問題が大きくなるにつれ、大気中の窒素を固定するアゾラの農業上の役割は高まっていくと思います。

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Q15.

熊本の江津湖でもホテイアオイ、ボタンウキクサ等々が生えています。環境変化、富栄養化等々がありますが、そこに生えている植物を利用しなくなったことが最大の問題ではないでしょうか。常に利用していれば植生を管理する人も生まれ、水系環境を維持できると思いますが、具体的にはどうすればいいのか分かりません。

A15(沖).

そのとおりです。水生雑草は人為的にそこに入れてしまって、繁茂したあとどうするのか困っているわけで、人が介在していることが多いわけです。ですから、やはり管理をすることに焦点を当てて、これから先考えていかないといけないでしょう。そこで、環境教育の一環としてビオトープなどを一緒に考えながら作っていくと、維持管理も楽しみながら一緒にやっていけるので、そういう活動も今一生懸命始めています。

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Q16.

外来種、帰化種、移入種、侵入種といった言葉がありますが、やはり使い分けたほうがよいのでしょうか。

A16(沖).

私は、もともとある在来種を意識した場合に「外来種」という言葉を使っています。「帰化種」という言葉は非常に時間的なことで、一時的に帰化するとか、仮性帰化など、どういう状況で生態系に入っていくかを意識した場合に使えばどうでしょうか。「移入種」は、人為的にそこに入れたというイメージがあります。「侵入種」というのは入れたあとかもしれませんが、自然にその辺でインベイドしていくイメージです。やはり、そういうところで使い分けたほうがいいのではないかと思います。

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Q17.

ボタンウキクサが外来生物法で禁じられたことを知らない人がかなり多いので、園芸店などにポスターを張ったり紙を配布したりして皆が理解できる形で広報すれば、結果的に早く環境を守ることにつながるのではないでしょうか。

A17(沖).

非常にいい提言だと思います。

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Q18.

農業の水田景観で、雑草対策として利用されているセンチピートグラスは、外来植物防除法上、今後問題になることはないのでしょうか。

A18(大谷).

センチピートグラスは、これまで畦畔などにかなり導入されているのですが、導入地以外の外に広がっている事例はあまり見られないようです。またこの草種は、背の高い草に対する競合力もそれほど強くないので、畦畔の省力管理という面でも非常に有用性が高く、それほど問題になることはないと私は考えています。

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Q19.

法面緑化のポピュラーな種であるウィーピングラブグラスの駆除方法などがあれば、詳しく教えてください。

A19(大谷).

シナダレスズメガヤの防除技術で紹介したグリフォサート剤がよく効きます。グリフォサート41%剤を1a当たり1000mlまくと完全に枯れますし、500ml程度でもほとんど枯れますので、そういった除草剤での防除は可能です。ただ、法面に非選択性の除草剤をかけると崩壊や浸食の恐れがありますので、その点は注意が必要です。

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Q20.

外来植物の発生原因は何ですか。

A20(大谷).

輸入飼料等、様々な輸入品に混じって非意図的に導入されたり、牧草や緑化植物などもありますが、意図的に利用するために導入し、それが定着して広まっていることがあろうかと思います。

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Q21.

外来種はどのように持ち込まれるのですか。

A21(橋爪).

日本に種を持ち込むには、植物検疫を通さなければいけません。ということは相手方でその種が健全であることを証明する植物検疫証明書(Phytosanitary Certificate)が必ず必要になり、それには学名の記載が必須なのです。ですから、学名が分かったものしか入れられないということです。(これは、ワイルドフラワー等の輸入を説明しておられます。輸入飼料や穀物に紛れ込んでもちこまれる場合もあり、このプロジェクトで研究しています:藤井:注)

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Q22.

日本産の種子を外国で繁殖させる場合、どのようにすればいいですか。

A22(橋爪).

外国で繁殖させる場合、これは自殖(自分の花粉が自分の雌にかかるもの)か、他殖(他人の花粉で増殖するもの)か、その作物の交配で二つ生殖様式があります。自殖の場合は、隔離は問題はないのですが、他殖の場合は隔離が問題になるということで、こういった作物そのものが、例えば牧草だと、牧草が300mもしくは500mぐらい入ってはいけないとか、前年もしくはその前年に、そのような作物を作ってはいけないというルールがあります。

さらに、その作った種を日本に戻して、特性が変わらないことを確認して初めて保証種子ということで、今のほとんどの牧草は保証種子制度に基づいて、日本で作ったものが海外で増殖され、日本で利用される形になっています。ですから、もしこれから本当に日本の在来種が増殖しなければいけないのであれば、まず海外で生産できる場所を作って、どのような体系で種を取るかをきちっと調べ、保証システムを作ってから日本で利用しなければいけないと思います。そうでなければ、恐らくコストという意味で合わないからです。

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Q23.

会社設備等で結実するのを防除することができますか。

A23(橋爪).

これは当然のことで、今回のプロジェクトの本題もそうですが、まず作ったものができるだけ結実しないこと、もしくは結実する前に刈り取るとか、結実した種が落ちないよう袋をかけるという防除手段を講じる。地下茎等で増えるものは、できるだけ最後は堀り取ってしまうなどして駆除していかなければ問題になるかと思いますので、気をつけて対応し、試験していきたいと思っています。

実際、そこの畑がクリーンだということは、その年ではなく、その次、さらにその次の年、同じ作物が生えてきた場合はすぐその場で対応するという形で見ていかなければいけません。ただ、この問題を解決するとき、遺伝子組み換えのように特殊な温室までやることはむしろできないと思いますので、現状のような形で、畑でしています。

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Q24.

牧草類についての、今後の外来生物法について教えてください。

A24(橋爪).

牧草類が特定外来植物に指定されるかどうかは、まだ何とも分からない状況です。ただ、この法律はかなり健全性があり、かりに候補になったとしても公聴会を含めて利用者の意見を聞いて、それによってまた判断が進んでいくと聞いているので、そこでまた検討する。もしくは栽培利用をもう少し徹底させるということで、種のついたものを放置しないことをもう少しうたっていかないと、酪農家の近郊の牧草類が外来雑草として迷惑を与えることは逆に問題が出るかと思います。これは基本的に農家を含めて人が起こしている問題なので、その辺の注意喚起をもう一度しないと無理でしょう。

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Q25.

蔓延防止についても、何か取り組みはないのですか。

A25(橋爪).

今売っている牧草についてリスクを研究したり注意を喚起をするといった面を含めて、改めて見直してみる必要があると思います。また、アポミクシスのような現象を利用したり、種子をつけないものを販売するということが考えられます。

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Q26.

植物の呼称が地方によって非常にまちまちで、40年ぐらい古い学名もあるので、そういうものをひっくり返したらいいのですが、一般になかなかそうはできません。できたら、学名と標準的な和名があるとして、それに違った呼び名を羅列していただくと、現場においては非常にいいのです。これは全く関係ないのですが、ガンピなどの植物については、和名の場合、植物図鑑の中で信用できるものは一つもなく、コウゾ、ミツマタしかりです。特に外来種については我々は知識が乏しいので、ぜひお願いしたいと思っています。

A26(藤井).

地方名を入れてほしいというのはもっともな意見なので、またこういう研究成果として図鑑を作りたいと思います。ただ、新しく海外から入ってきたものについては、まだ和名すらないものもあるので、そういうものはちょっと難しいかもしれません。

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Q27.

外来植物について一応法律が制定されたのですが、果樹園、園芸植物では穂木・接木で、次々に新しいおいしい果樹を提供してくれていいのですが、10年するとウイルスでさっぱりだめになっています。次々そういう更新をしているところがありますが、外来植物といって、これほど政府が厳しくしなければならないのでしょうか。

A27(藤井).

最近、キウイフルーツも外来植物化し、放棄した果樹園ですごくはびこって困っているという意見もありますので、これも貴重なご意見です。

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Q28.

道路脇の畦畔にあったヒガンバナをつぶしてしまったところ、これまでは鱗葉が枯れて、そこに雨が降るとその成分が流れて、法面の雑草の繁殖を発芽の段階である程度セーブすることがあったのですが、それがなくなり、道路管理上はいいのでしょうが、草刈りの労力が非常に要るようになりました。試験場のかたは3年くらいするとどこかへ栄転されてその仕事からはずれていくので、成果が上がらず、非常に疑問に思います。法面の研究は、10年ぐらいは1人の人を黙々とその部署でやらせていただきたい。次々にちぐはぐなことを言われ、畦畔のことだけで30年人生を無駄にしたので、ぜひお願いしたいと思います。

A28(藤井).

法面のカバーグロップは、大谷さんが始められてもう5年になりますので、10年頑張っていただけるかどうかです。確かにこういう研究は1〜3年ではちょっと難しい。実はヒガンバナも、ある意味では外来植物として昔、1000年か何千年前かに入ってきて、でも有効利用していたので、そういう研究はもっと長い期間をかけてやりたいと考えています。

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Q29.

今回のプロジェクトの目的の中に、リスク評価の開発と要注意植物の選定がありますが、要注意植物と選定されると、評価の対象というか、今後挙げられる植物の対象の一助となるのでしょうか。

A29(藤井).

我々は研究レベルで、委員の先生がたが決められるときのあくまでもご参考ということで、私たちが別に要注意植物と提案しても、それがすぐに採用されるわけではありません。ただ、このプロジェクトでも委員会にかかわっておられるかたがおられるので働きかけていくつもりですが、十分慎重に行っていきたいとは思っております。

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Q30.

岸田先生に質問したいのですが、在来種のアカウキクサとオオアカウキクサは、現在でもアゾラ・カモ農法の中で使っているのでしょうか。

A30.

在来種で福岡の試験場が採集したチクゴと呼んでいるものは、我々は有効に使っており、比較的低温にも強いという長所があります。

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Q31.

クリスタータはどうもまかりならぬという話になっているそうですが、在来種に比べてアゾラ・カモ農法の中で利用しやすい点はあったのでしょうか。

A31.

クリスタータの中で、やはり当初我々が在来種だけ使っていたら、どうしても温度適温域に非常に限界があり、クリスタータのいいものを一緒に混ぜながら使っていって、季節的な増殖性を一定にするという意味では、非常にいいものがありました。でも残念ながら、去年あの結果になり、今は使っておりません。今はハイブリッドと、在来種のチクゴを一緒に混ぜて使っている状況です。

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Q32.

本プロジェクトの成果を現場サイドでどのように活用していきたいとお考えですか。さらに、外来生物法の制定、またその後の行政側の広報活動に対して何が提言できるのでしょうか。

A32.

私どもは環境省の外来生物法を作った部署とも緊密に連携を取っており、向こうもこのプロジェクトの成果に期待しているところがあります。ですから、我々が科学的にしっかりと外来植物のリスクを評価することによって、また今後、本当に危ないものについて選定し、科学的なデータを示したいと考えています。

とはいっても、あまり厳しくなりすぎて必要なものも導入してはいけないとなってしまっては困りますし、有用な外来種は導入されるべきであると思っていますので、その辺は今後の研究の進展と、さらにリスクとベネフィットをあわせて評価するような研究の進展を期待しています。

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独立行政法人 農業環境技術研究所