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最終更新2005年12月8日






環境化学分析センター特別セミナー
  日 時 : 12月9日(金) 16:00~17:00  
  場 所 : 5F 中会議室(547号室)

テ ー マ 講 演 者 連 絡 先
環境生物分析 Environmental Bioanalysis梅澤喜夫教授
(東京大学大学院理学系研究科化学教室分析化学講座)

838-7351
内   容
 環境生物分析に関し、内分泌撹乱化学物質(Endocrine Disrupting Chemicals)を例に、その分析法の一端を解説する。環境中にはさまざまな内分泌撹乱化学物質(Endocrine Disrupting Chemicals、以下EDC)が存在することが報告されており、ヒトの精子数減少や乳ガン増加などの一因と推測されている。このヒトの生体内恒常性を乱す原因は、“外因性化学物質の異常なホルモン制御によるホルモンの合成異常、その貯蔵もしくは放出の異常、その輸送あるいはクリアランスの異常、受容体の識別あるいは結合の異常、受容体結合後のシグナル伝達過程の異常”として説明されている。このような諸過程の異常を分子レベルで原因解明することは、化学物質の毒性の決定や予防、さらには治療法の研究に多大な情報を提供するため、各種EDCに対する作用機序を解明するための体系的研究を早急に実施しなくてはならない。
 現在までに人類が創り出した工業規模の合成化学物質の種類は約10万種類におよび、さらに焼却システムや排気ガスなどに含まれる未知の化学物質を合わせると、内分泌撹乱化学作用として調査すべき化学物質は膨大な数になることが推測される。これら化学物質の分析目的は、(I)プラスチック器具等からの溶出や大気中に含まれる化学物質の同定および定量、(II)特定化学物質の生体へのリスクアセスメント、に大別される。前者は一連の分離カラムと質量分析機器による同定、また最近はEDCセンサーの開発も盛んに行われており、その技術は日進月歩の勢いである。環境省からはフェノール類やトリブチルスズなど主要な汚染物質に対する分析マニュアルが公表されている。一方、後者のリスクアセスメントに関しては、天然物を含めた多くの化学物質と内分泌系との相互作用に関連したデータは極めて多量に存在するものの、その化学物質とリセプターの多様性や生体に影響を与える強度に関する化学的知見はまだまだ不足しており、今後の課題となっている。
 1998年IUPACでは、内分泌かく乱化学物質について総覧、問題点を指摘し、EPAやOECDではそのヒトや野生動物へのリスク評価についての今までの研究結果を調査し、評価基準を提案している。 米国環境保護局(EPA)ではヒトを最終目的とした多段階試験法の体系をまとめており、予備試験、第一段階スクリーニング試験(TIER1)、第二段階確認試験(TIER2)を行うことにしている。最初に実施すべき大量化学物質の短期間試験法としては、分子量1,000以下の多数の化学物質を対象とした高速予備試験(highthroughput pre-screening、 HTPS)法によるリセプターバインディングアッセイ(receptor binding assay)、リポータージーンアッセイ(reporter gene assay)を行うことになっている。この際、例えばリセプターとしてはエストロゲンα、β、アンドロゲン、培養細胞としては酵母、哺乳動物細胞等、レポーター遺伝子としてルシフェラーゼ等を用い、一定数の化合物を用いてvalidation(方法の検定)を行う。さらにその実験条件の最適化や偽陽性の割合などを含め妥当性の確認を行ったうえで試験に供する。女性ホルモンリセプター(estrogen receptor、 ER)や男性ホルモンリセプター(androgenreceptor、 AR)、またダイオキシンリセプターともいわれるaryl hydrocarbonreceptor、 AhRなどは核内転写因子とよばれるDNA結合タンパク質である。このように、女性、男性ホルモンなどのステロイドホルモンにはARやERなど受容体に直接転写活性化に向かう古典的経路(genomic pathway)以外に、最近ステロイドホルモン受容体が直接転写活性化に関与せず細胞内シグナル伝達を活性化する非古典的経路(non-genomic pathway)が見出されている。化学物質によるこの両者の経路の細胞内シグナル伝達の撹乱の影響を調べることが重要になってきている。 HTPS法による陽性の化学物質に対しては、TIER1さらにTIER2 in vivo試験を行うとしている。OECDの場合も、EPAと類似のin vivo動物試験とin vitroスクリーニング法の併用を報告している。しかし、TIER1およびTIER2のような動物試験は、いきなり実験系が組めるわけでなく、また化学物質の多様性を考慮すると合理的分析の戦略として動物試験の前段階としてのHTPSスクリーニング法の意義は大きい。この前段階試験には、細胞レベルでEDC投与により変動する細胞内遺伝子発現の変動、情報伝達系の撹乱を体系的に簡便にスクリーニングするシステムが最も有効である。



平成17年度第7回
微生物・小動物研究グループセミナー
    日 時 : 12月14日(水) 16:00~17:00
    場 所 : 5階 547室

テ ー マ 講 演 者 連 絡 先
ネギの減化学農薬栽培技術
Cultivation Techniques of Welsh Onions to reduce chemical-pesticide application
松澤 清二郎
(新潟県農業総合研究所園芸研究センター環境科)
松 本
838-8267
内   容
 新潟県では、野菜の減化学農薬・減化学肥料栽培に関する技術開発を行うとともに、個々の技術を体系化し栽培実証することで、当該栽培法の拡大推進を図っている。今回は、露地の秋冬ネギ栽培において、殺虫剤使用低減に向けて実施した調査結果について紹介する。
テ ー マ 講 演 者 連 絡 先
ムギ類赤かび病に対する防除技術の開発
Development of Control Technique for Fusarium Head Blight
大場 淳司
(宮城県古川農業試験場作物保護部
松 本
838-8267
内   容
 近年,コムギ赤かび病に対する規制がより厳しく変更された。そこで,宮城県における主要コムギ品種について,科学的根拠に基づいた,効率的かつ総合的なマイコトキシン低減技術確立のための試験結果について紹介する。



有機化学物質研究グループ特別セミナー
    日 時 : 12月21日(水) 13:45~14:30
    場 所 : 5F 中議室(547号室)

テ ー マ 講 演 者 連 絡 先
水力発電所におけるトビケラ付着被害の既存の研究事例調査および現状藤永愛
((財)電力中央研究所 環境科学研究所)
横山
838-8306






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