日本産および台湾産Mythimna属(鱗翅目・ヤガ科)の分類学的再検討


[要約]
アワヨトウ、クサシロキヨトウ等のイネ科作物の害虫を含む日本産および台湾産キヨトウ類の分類学的再検討を行い、68種に整理した。また、本グループを1属として統合することを提唱した。
農環研 環境生物部 昆虫管理科 昆虫分類研究室
[部会名] 農業生態
[専門]  作物虫害
[対象]  昆虫類
[分類]  研究

[背景・ねらい]
キヨトウ類は世界に広く分布する。しかし多数の種を含み成虫の斑紋が類似しているために、これまで種レベルでの分類が極めて混乱していた。また、属レベル での分類も研究者ごとに異なり、世界的に統一した基準作りが求められてきた。そこで日本産および台湾産キヨトウ類の分類学的再検討を行った。

[成果の内容・特徴]

  1. キヨトウ類が共通祖先種に由来する単系統群であることは、本成果情報作成者による幼虫大腮の比較研究(Yoshimatsu、1990)で明らか になったが、今回さらに雌の肥大化したPapillae analis(肛乳頭)および雌の特異なGlandulae sebaceae(膠質腺)を、本グループの単系統性を支持する固有新形質(autapomorphic character)として認めた。
  2. 雌雄交尾器、幼虫等の比較形態学的研究から本グループの各種は極めて同質的であり、また1で示した3つの固有新形質を有することか ら、本グループをMythimna属1属として統合することを提唱した。また、日本と台湾からMythimna属68種を確認し、3新種2新亜種(表1)を記載するとともにこれらを7亜属に分割した。
  3. シノニム、ホモニムの整理を行ったところ、新たに17のシノニム(表2)が確認でき、ホモニムに関しては1新置換名を提唱した。
  4. 今回確認した68種については、雌雄交尾器を詳細に図示・記載し、検索表を作成した。
  5. アジア各地域の標本との比較研究を行うことで、それぞれの種のアジアにおける分布を明らかにした。
  6. 以上の研究結果から、今後アワヨトウおよびクサシロキヨトウの学名はMythimna(Pseudaletia) separataおよびMythimna(Acantholeucania)loreyiと改めるべきである。
[成果の活用面・留意点]
日本産および台湾産Mythimna属の同定・分類のための手引きとして活用できる。

具体的データ


[その他]
研究課題名:鱗翅目の分類学的研究
予算区分 :経常
研究期間 :平成6年度(昭和62年〜平成7年)
発表論文等:A Revision of the Genus Mythimna(Lepidoptera:Noctuidae)from 
      Japan and Taiwan. 農業環境技術研究所報告第11号:81-323(1994)
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