土壌線虫を指標とした黒ボク土畑における耕起の影響評価


[要 約]
 不耕起栽培畑などから土壌線虫を分離して,属レベルで分類・計数して,その結果から森下のβなどの多様度指数やMaturity Indexを計算する。これらの指数は不耕起栽培の方が慣行栽培より高く,黒ボク土畑における耕起の影響の評価指標として利用できる。
[担当研究単位] 農業環境技術研究所 生物環境安全部 微生物・小動物研究グループ 線虫・小動物ユニット
[分 類] 学術

[背景・ねらい]
 土壌線虫は,土壌の物質循環の調節機能を持ち,多種多様で季節を問わず多数検出できる。海外 では土壌線虫の種類および個体数から求められるMaturity Indexが,農耕地などの攪乱程度を表す指標として使用されている。しかし,わが国においてはこれまで,農耕地管理の生物指標や生物多様性研究に線虫を利用する試みはなされていない。そこで,攪乱の程度が異なる不耕起栽培畑と慣行栽培畑を用いて,土壌線虫を指標生物として,耕起という攪乱の影響を比較,評価する。
[成果の内容・特徴]
  1. 多様度指数の森下のβやSHANNONのH′およびMaturity Indexは,不耕起栽培の方が慣行栽培より高かった(表1)
  2. 不耕起栽培圃場において,攪乱程度の高い表面の粗腐植層(分解の進んだ有機物層)では,土壌に比べ森下のβなど多様度指数が低い傾向が見られた(表1,2)。また,この傾向は年次や季節で変らなかった(表2)
  3. 土壌線虫を指標として耕起などの農耕地攪乱の生物多様性に対する影響を評価できる。
[成果の活用面・留意点]
  1. 本研究の成果は,農業の持続的発展,農業が環境に及ぼす影響の評価のための基礎データとなる。Maturity Indexは土壌線虫の機能と関連があることから,土壌線虫の機能を農耕地において利・活用するための基礎データとしても利用できる。
  2. 耕起以外の攪乱要因に対する本研究の成果の適用については検討中である。 
  3. 本研究の成果は黒ボク土畑での結果であり,他の土壌などへの適用については未検討である。

[その他]
 研究課題名 : 農耕地における土壌動物の多様性とその評価
 予算区分  : 環境研究〔貿易と環境〕
 研究期間  : 平成13年度(平成11〜12年度)
 研究担当者 : 荒城雅昭
 発表論文等 : 1)荒城雅昭他,不耕起・堆肥連用圃場の土壌線虫の多様性(第3報)
                  −不耕起圃場の土壌線虫は慣行栽培圃場に比べ多様らしい−.第23回日本土壌動物学会大会講要,59,(2001)
               2)荒城雅昭他,不耕起・堆肥連用圃場の土壌線虫の多様性(第4報)
                  −農耕地の土壌線虫の多様性は低くない−.日本線虫学会第9回大会講要,11,(2001)

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