ヤガ科害虫4グループ類似種の幼生期の識別法


[要 約]
 チョウ目ヤガ科主要害虫のうち,特に幼生期の類似した4グループ(タバコガ類4種,キヨトウ類2種,ネキリムシ類3種,ヨトウ類2種)合計11種について,終齢幼虫および蛹の形態的特徴に基づいた検索表を作成し,幼生期の識別法を確立した。
[担当研究単位] 農業環境技術研究所 農業環境インベントリーセンター 昆虫分類研究室
[分 類] 技術

[背景・ねらい]
 ヤガ科昆虫は現在わが国から約1,300種が報告されており,その約1割の126種が「農林 有害動物・昆虫名鑑」(1987)に登録されている。しかし,それらの害虫においてさえ,幼生期の識別法はほとんどなく,正確な識別法の確立が求められている。そこで,インベントリーのフレーム構築研究の一環として,幼虫及び蛹の識別のための分類形質の抽出を試みた。材料としては,ヤガ科主要害虫の中でも幼生期が特に酷似して識別の難しい4グループ11種について簡便な検索表を作成し,識別法を確立する。
[成果の内容・特徴]
  1. タバコガ,オオタバコガ,ツメクサガ,キタバコガのタバコガ類4種について,農業環境技術研究所昆虫標本館所蔵の幼虫および蛹の標本および今回新たに飼育して得た標本を用い,終齢幼虫(図1:大腮)および蛹の形態を記載し,識別形質を抽出した。また検索表を作成し(表1),識別法を確立した。卵,若齢・中齢幼虫についても出来るだけ特徴を記載した。
  2. キヨトウ類ではアワヨトウとクサシロキヨトウ,ネキリムシ類ではカブラヤガ,タマナヤガ,シロモンヤガ,ヨトウ類ではヨトウガ,シロシタヨトウについても,各グループ毎に前項と同様の方法で検索表を作成し,幼生期の識別法を確立した。
  3. 終齢幼虫では頭部斑紋の状態,大腮鋸歯の形態,特定の刺毛間距離,刺毛基板の形状,背楯や肛上板上の刺の状態,気門長,皮膚の顆粒の有無等,蛹では尾突起や尾刺の形状,点刻の状態等がこれら4グループの類似害虫の識別に利用できることが分かった。
[成果の活用面・留意点]
今回扱った種数は日本産ヤガ科害虫4グループ11種については,幼生期を識別することができるようになったが、他のヤガ科害虫は識別法が確立されていないので注意が必要である。

[その他]
 研究課題名 : 所蔵タイプ標本等のデータベース化及びインベントリーのためのフレームの構築
 予算区分  : 運営費交付金
 研究期間  : 平成13年度(平成13〜17年度)
 研究担当者 : 吉松慎一
 発表論文等 : 吉松慎一,植物防疫基礎講座:ヤガ類の見分け方(1)〜(4),
               植物防疫,55(2),83-86; 55(3), 130-133; 55(4), 176-179; 55(6), 277-280, (2001)

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