キセニアを利用したトウモロコシ交雑率の簡易調査法


[要 約]
 キセニアによるトウモロコシ種子色の発現を利用して交雑種子を判別し,花粉源からの距離と交雑率との関係から遺伝子組換えトウモロコシの遺伝子拡散の範囲を推定する手法を開発した。
[担当研究単位] 農業環境技術研究所 生物環境安全部 組換え体チーム,
                   地球環境部 気象研究グループ 大気保全ユニット
[分 類] 技術

[背景・ねらい]
 遺伝子組換え作物の一般栽培により,非組換え作物と花粉を介した交雑が懸念されている。この 交雑による遺伝子拡散の程度を正確,かつ簡易に数量化する手法の開発が求められている。本成果では,種子(胚乳)色に発現するキセニアに注目し,市販トウモロコシ品種を用いて,一般圃場で交雑率を容易に推定する手法の開発を目的とする。
[成果の内容・特徴]
  1. 遺伝的に優性な黄色粒の品種(ハニーバンタム)を花粉親として風上に植付け,白色粒品種(シルバーハニーバンタム)を種子親として風下に配置する。
  2. 種子親に花粉親の花粉が受粉することにより,種子親の雌穂の白色粒中に生じる黄色粒の数から交雑率の推定が可能である(図1)。
  3. 花粉親に隣接する種子親の平均交雑率は22.6%と高く,花粉源からの距離にともなって急激に低下するが,10mから50mまでの風下では,0.3%から0.1%までの範囲で極めて低く推移する(図2図3)。
  4. 本調査では,市販のトウモロコシ品種を使用するため,一般圃場で多数の植物個体を対象に,簡易に,また正確に交雑率を調査することができる。また,当世代で交雑を判別できるため,他の手法と比較して短期間に結果を得ることが可能である。
[成果の活用面・留意点]
  1. 本調査法は,遺伝学的な根拠に基づく簡便な手法で,条件の異なる各地での適用が可能である。また,交雑の有無が視覚的に判別できるので,その結果は一般市民の理解を得やすい。
  2. 本法による交雑率の結果を詳細に解析するためには,交雑の調査と併せて花粉飛散量や気象要因(風向,風速等)を調査することが必要である。

[その他]
 研究課題名 : 組換え農作物の花粉飛散と交雑に関する調査研究(トウモロコシ)
        (組換え作物の栽培が農業生態系における生物相に及ぼす影響評価並びに導入遺伝子の
        拡散に関する遺伝学的解析手法の開発と遺伝子拡散の実態解明)
 予算区分  : バイテク先端技術[組換え体総合研究]
 研究期間  : 2002年度(2002〜2005年度)
 研究担当者 : 松尾和人,川島茂人,岡 三徳
 発表論文等 : 1) 川島ら,日本花粉学会誌,48(1),1-12(2002)
               2) 松尾,農業環境技術研究所研究成果発表会資料,20-28(2002)

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