農業環境技術研究所 刊行物 研究成果情報 平成18年度 (第23集)

普及に移しうる成果 2

イムノクロマトアッセイを用いた玄米等の
カドミウム濃度簡易測定法

[要約]
玄米から希塩酸でカドミウムを抽出・カラム精製した後、イムノクロマトキットを用い、その発色値から大まかなカドミウム濃度を簡易・迅速に測定することができます。また、土壌の0.1mol L-1塩酸抽出カドミウム濃度の測定も可能です。
[背景と目的]
 近年、米など食品中のカドミウム(Cd)濃度の国際基準値が設定されましたが、汚染された農産物の流通を防止するには、現場で迅速にCd濃度を知る必要があります。現状では、酸分解・有機溶媒抽出等煩雑な操作、ICP発光や原子吸光等高額分析機械、さらに分析に精通した人材が必要で、時間と費用がかかります。そこで、関西電力(株)等が開発した米用Cd検出イムノクロマトキットを用い、高額分析機器等を保有しない農業普及機関等でも利用可能なCd濃度の簡易測定法を開発しました。
[成果の内容]
  1. 米用Cd検出イムノクロマトキットは、Cd-EDTA錯体とこれに特異的に反応する抗Cd-EDTA抗体との抗原抗体反応を利用した試験紙タイプです。(1)微粉砕した玄米から希塩酸でCdを抽出→(2)妨害物質除去カラムで精製→(3)イムノクロマトアッセイ→(4)発色程度をクロマトリーダーで読取るという手順で測定します(図1)。
  2. Cd濃度約0.01〜0.1mgL-1の範囲では、Cd濃度の対数値と発色読取り値間に直線関係が認められました(図2)。従って、0.01〜0.1mg L-1のCd標準液を用いて検量線(指数式)を作成し、発色読取り値から、抽出・精製液のCd濃度を算出することができます。
  3. 本法により算出した玄米Cd濃度は、従来の酸分解・精密分析値と良い対応が認められました(図3)。特に、国際基準値(0.4mg kg-1)前後の試料は概ね既知濃度の80〜120%以内の値となりました(表1)。
  4. また、土壌のCd濃度(5倍量の0.1mol L-1塩酸で抽出されるCd;農用地土壌汚染対策法)が、比較的精度良く測定できることが判りました(表2)。
  5. 本法はCd濃度の近似値を簡易・迅速に知る手段として利用できますが、玄米Cd濃度測定における変動係数は平均14%(2〜41%)あり、基準値付近の試料が基準を満たすかどうか等の判定には精密分析による精査が必要です。
このように、米用Cd検出イムノクロマトキットを利用して、玄米、土壌(0.1mol L-1塩酸抽出)の大まかなCd濃度を簡易・迅速に知ることができます。
本研究の一部は、「先端技術を活用した農林水産研究高度化事業」の「農産物中カドミウムの収穫前段階の効率的モニタリング手法の確立」の成果です。

リサーチプロジェクト名:重金属リスク管理リサーチプロジェクト

研究担当者:土壌環境研究領域 阿部薫、石川覚、櫻井泰弘、奥山 亮((株)エンバイオテックラボラトリーズ)、
      佐々木和裕((財)電力中央研究所)、俵田啓(関西電力(株))

発表論文等:阿部薫等、土肥誌、77(6):679-682(2006)

図表

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