農業環境技術研究所 刊行物 研究成果情報 平成18年度 (第23集)

主要研究成果 1

コンフリーのアレロパシーと植物生育阻害物質の同定

[要約]
外来植物のコンフリーが生える場所では、他の植物が生えにくくなります。そこで、室内試験で調べると、コンフリーには強いアレロパシー活性(他感作用)が確認されました。その作用の原因物質は、ロスマリン酸と4−ヒドロキシケイ皮酸であると推定しています。
[背景と目的]
 コンフリー(Symphytum officinale L.)は、ヨーロッパ原産の植物で、古くから根や葉を薬草(抗炎症薬)として用いられてきました。日本でも昭和40年代に健康食品としてブームになりました。しかし、厚生労働省は、コンフリーによる肝障害が海外で報告されているとして、2004年6月にコンフリーを含む食品の販売を禁止する通知を出し、農林水産省もこれを含む飼料の使用を控えるように通達しています。人畜に有害な成分はアルカロイドとされています。寒冷地では野外に捨てられたコンフリーが雑草化していることがあります(図1)。そこで、コンフリーの現地での雑草抑制作用、アレロパシー(他感作用)とその原因となる成分について調べました。
[成果の内容]
  1. 長野県小諸市において、15種の被覆植物による雑草抑制効果を検定した結果、コンフリーは他の雑草の発生を強く抑制することが明らかになりました(図2
  2. 外来植物のアレロパシー活性を、サンドイッチ法、プラントボックス法で検定した結果、コンフリーはとくに強い活性を示しました(図3)。
  3. コンフリーの葉から,生物検定法を指標として,全活性を測定しながら活性本体を精製した結果、大部分の活性は酢酸エチル画分にありました。この画分から、植物生育阻害作用の本体として,ロスマリン酸と4−ヒドロキシケイ皮酸(図4)を検出しました。
  4. ロスマリン酸のレタス幼根伸長に対するEC50(伸長を50%阻害する濃度)は50ppmで、葉に0.2%(乾燥重当たり)、4−ヒドロキシケイ皮酸のEC50は100ppmで、葉に0.1%含まれています。この2成分の合計でコンフリー葉粗抽出液による植物生育阻害活性をほぼ説明していると考えられます。
本研究は文部科学省科学技術振興調整費重要課題解決型プロジェクト「外来植物のリスク評価と蔓延防止策」による成果です。

リサーチプロジェクト名:外来生物生態影響リサーチプロジェクト

研究担当者:生物多様性研究領域 藤井義晴、平舘俊太郎、古林章弘, Zahida Iqbal, Habib Nasir

発表論文等:1)古林章弘ら、雑草研究、50(別)、146-147 (2005)

図表

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