農業環境技術研究所 刊行物 研究成果情報 平成18年度 (第23集)

主要研究成果 3

特定外来生物カワヒバリガイ、
霞ヶ浦に定着し分布域を拡大中

[要約]
特定外来生物カワヒバリガイの分布状況を霞ヶ浦全域で2006年に調べた結果、既に湖岸の約1/2の範囲まで分布が広がっていることが明らかになりました。採集個体の大きさから、霞ヶ浦への侵入時期は2004年かそれ以前であると考えられました。
[背景と目的]
 環境省で特定外来生物に指定されているカワヒバリガイは1990年代に西日本に侵入した中国原産の付着性二枚貝で、侵入地域で在来生物群集の生息地を圧迫したり、利水施設の運用を妨げたりするなどの被害をもたらすことが知られています。2005年には関東地域の一部で生息が確認されましたが、霞ヶ浦では生息分布の詳細や侵入時期については不明でした。そこで、霞ヶ浦を対象としてカワヒバリガイの分布調査を行いました。
[成果の内容]
 2006年6月から9月まで、霞ヶ浦湖岸の水深1mより浅い場所90地点において転石などの目視と水面下の護岸に対する手探りでカワヒバリガイの生息調査を行いました。ほとんどの調査はコンクリート護岸で行いました。その結果西部湖岸を中心とする41地点で生息が確認されました(図1)。本種はコンクリート護岸や転石の下部で多く確認され(図2)、最も密度が高かったのは西部にある稲敷郡阿見町廻戸の調査地でした。ここでは調査員1人で10分間調査を行った結果、152個体のカワヒバリガイを採集できました。おそらく、霞ヶ浦西部付近の水域から生息範囲が拡大しつつあるものと考えられます。
 採集個体の出生時期の推定を試みたところ、この集団は少なくとも2つの年級群(同じ年に出生した集団)に区分されることが明らかになりました(図3)。京都府宇治川で報告されたカワヒバリガイの生活史と成長の結果によれば、この年級群はおそらく2005年と2004年に加入したものと推察されます。現在霞ヶ浦に生息しているカワヒバリガイは、遅くとも2004年かそれ以前に霞ヶ浦に侵入したものと考えられます。
 今後これらの生息地域において網などの漁具の移動や農業用水施設の運用などには注意が必要になると考えられます。特に、本種が高密度に生息している西部湖岸周辺では、本種の生息域の拡大を防止する方策が必要です。

リサーチプロジェクト名:外来生物生態影響リサーチプロジェクト

研究担当者:生物多様性研究領域 伊藤健二

発表論文等:1)伊藤健二 (2007) 霞ヶ浦におけるカワヒバリガイLimnoperna fortuneiの生息・分布状況、ベントス学会誌 62

図表

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