農業環境技術研究所 > 刊行物 > 研究成果情報 > 平成20年度(第25集)

普及に移しうる成果 2

カボチャのヘプタクロル類汚染対策技術

[要約]
カボチャのヘプタクロル類汚染対策として、ウリ科以外の作物への転換、低吸収性品種の利用、および活性炭資材の土壌混和等、キュウリのディルドリン対策で用いた技術が適用可能であることを明らかにしました。
[背景と目的]
殺虫剤ヘプタクロルとその代謝物であるエポキシド体(両者をあわせて、以下ヘプタクロル類)は、土壌中消失速度が遅く、農薬登録の失効(1975年)から30年以上経過した現在でも、農地に残留している場合があります。昨今、国内産カボチャの果実から残留基準値を上回るヘプタクロル類が検出され、産地では生産・出荷の自粛等の緊急対応を余儀なくされています。そこで、キュウリのディルドリン汚染対策で効果の認められた低吸収作物・品種の検索、ならびに吸着資材による吸収抑制技術のヘプタクロル類への適用性を検討しました。
[成果の内容]
 ヘプタクロル類残留土壌で生育させた各種作物において、茎葉部ではウリ科でのみヘプタクロル類が顕著に検出されました(図1)。これはディルドリンの植物吸収と同様の現象であり、ヘプタクロル類の吸収においてもウリ科の特異性が明らかになりました。汚染ほ場における代替作物としては、ウリ科以外であれば問題ないと考えられますが、根部ではウリ科以外からもヘプタクロル類が検出されるため、根菜類・イモ類は注意を要します。主要作付け品種を中心としたカボチャ10品種をヘプタクロル類残留土壌で生育させ、その吸収性を幼植物で比較したところ、茎葉部濃度で2倍近くの品種間差異が認められました(図2)。すでに、キュウリにおいて低吸収性台木品種の利用によるディルドリンの吸収抑制効果が明らかになっています(注1)が、カボチャにおいても低吸収性品種への転換により、軽度の汚染であれば対処可能と考えられます。各種吸着資材によるカボチャのヘプタクロル類吸収抑制効果を検討したところ、キュウリのディルドリン吸収抑制に効果があった(注2)活性炭資材は、ヘプタクロル類においても顕著な効果を発揮しました(図3)。その施用量は土壌の種類と汚染の程度に応じて変える必要がありますが、活性炭を土壌に混和することにより、カボチャのヘプタクロル類汚染を大きく低減することが期待できます。このように、カボチャのヘプタクロル類汚染対策として、キュウリのディルドリン対策で用いた技術が適用可能であることが明らかになりました。低吸収性品種および活性炭資材を利用したカボチャのヘプタクロル類吸収抑制技術は、現地での吸収抑制技術実証事業に活用されています。
 注1 Otani and Seike J. Pestic. Sci., 32 : 235‒242(2007)
 注2 Hashimoto J. Pestic. Sci., 32 : 229‒234(2007)
本研究は農林水産省の委託プロジェクト研究「先端技術を活用した農林水産高度化事業」(ヘプタクロル類の土壌及び作物への残留予測と吸収抑制技術の開発)による成果です。
リサーチプロジェクト名:有機化学物質リスク評価リサーチプロジェクト
研究担当者:有機化学物質研究領域 大谷卓、清家伸康、牧野知之、村野宏達、酒井美月
発表論文等:Murano et al., Soil Sci. Plant Nutr., 55: 325-332 (2009)

図表


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