農業環境技術研究所 > 刊行物 > 研究成果情報 > 平成21年度 (第26集)

主要成果 10

ナガミヒナゲシはアレロパシー活性が強く、雑草化リスクが大きいので、広がらないようにする必要があります

[要約]
ナガミヒナゲシはアレロパシー活性が強く、改良FAO方式で評価した侵入後の雑草化リスクが大きい。現在日本全土に急速に分布を広げており、農地への侵入もみられます。未熟な種子からの再生も可能なので、防除には開花前の駆除が重要です。
[背景と目的]
ナガミヒナゲシは1961年に世田谷区で発見された外来植物で、近年道路沿いに急速に広がっています。花が美しいので好まれ、意図的に増やされることもありますが、繁殖力が強く雑草化のおそれもあります。そこで、この植物の発見時から現在に至る分布拡大状況を明かにするとともに、化学生態的特性と雑草性リスクを調べました。
[成果の内容]
ナガミヒナゲシの分布域の推移を、インターネットを利用したアンケートと全国各地の標本調査で調べた結果、1961年の発見以後、徐々に分布域が広がり、2007年現在では東北以南のほぼ日本全土に広がってきたことがわかりました(図1)。発生場所は初期には道路沿いに限定されていましたが、現在では農地への侵入も認められるようになっています。
ナガミヒナゲシは、根から滲出する物質によるアレロパシーを検定するプラントボックス法(農業環境研究成果情報第8集)で、検定植物の根の伸長に対する強い阻害活性を示し(図2)、葉から溶脱する物質にも、サンドイッチ法(同14集)を用いた検定の結果、強い阻害活性が認められました。
ナガミヒナゲシの雑草化リスクを、アレロパシー活性を評価項目に含む改良FAO方式(同24集)で評価すると、特定外来生物に指定されている植物に匹敵するか、むしろこれらを上回る高いリスク点数が得られました(図3)。
ナガミヒナゲシは、一つの実に平均1600粒の種子を持ち、一個体から最大で約15万粒の種子が生産されます(図4右端)。未熟な種子にも発芽力があり、開花後の刈り取りは、かえって分布を広げることになるので、本種の蔓延を防ぐには、花茎が伸長する前のロゼット状態(図4左端)の時期に駆除することが重要です。
本研究の一部は、文部科学省科学技術振興調整費「外来植物のリスク評価と蔓延防止策」による成 果です。
リサーチプロジェクト名:外来生物生態影響リサーチプロジェクト
研究担当者:生物多様性研究領域 藤井義晴、平舘俊太郎、加茂綱嗣、根本正之(東京農大)
発表論文等:1) 藤井、外来植物のリスク管理と有効利用、養賢堂, pp.19-59 (2008)
2) 吉田ら、雑草研究、53: 134-137 (2008)

図表1、2

図表3

図表4

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