農業環境技術研究所 > 刊行物 > 研究成果情報 > 平成25年度 (第30集)

施策推進上の活用が期待される成果(主要研究成果)
独立行政法人 農業環境技術研究所

農地土壌における炭素貯留量算定システムの開発

ポイント

概要
  1. 我が国の農地、特に水田や黒ボク土畑においても土壌炭素量の変化を精度良く計算できる土壌炭素動態モデルの日本版「改良RothCモデル」を開発しました。
  2. さらに、そのモデルに環境情報のデータや農業活動のシナリオを入力することにより、我が国農地における土壌炭素量の変化を全国規模で計算できるシステムを開発しました。
  3. このシステムによる計算の結果、我が国農地の土壌炭素量は減少しているものの、京都議定書に基づく国際的なルールの下で、農地土壌における二酸化炭素(CO2)吸収(炭素貯留)を期待できることが明らかになりました。

研究(開発)の社会的背景と研究の経緯

農地の生産力を維持・増進するための有機物管理が、近年、地球温暖化の緩和策の一つとして期待されています。それは、農地に投入する有機物の量を増やすことで土壌中の炭素量が増えると、その分、大気に放出されるCO2が減少することになるためで、これを土壌の炭素貯留(*1)と呼びます(図1)。

しかし、土壌に蓄積する炭素量がどの程度変化するかは、同じような管理を行っても、気象条件や土壌の種類など様々な要因が関係するため、場所によって大きく異なる場合があります。そこで、それらの要因を考慮した数値モデルを用いて農地土壌の炭素量の時系列的な変化を計算するシステムを開発しました。

研究の内容・意義

活用実績・今後の予定

問い合わせ先など

研究担当者:
独立行政法人農業環境技術研究所 農業環境インベントリーセンター

上席研究員 白戸 康人
TEL 029-838-8235

用語の解説

その他

論文:

図1 農地における炭素循環と土壌の炭素貯留

図2 黒ボク土畑(左)および水田(右)における改良RothCモデルによる土壌炭素量変化の予測性能の向上

図3 農地土壌の炭素貯留量(CO2吸収量より計算)の算定システム

図4 全国の農地土壌炭素量変化の計算結果

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