農業環境技術研究所刊行物研究成果情報平成25年度 (第30集)

平成25年度主要成果

高いアレロパシー活性を有する植物種のスクリーニング

[要約]
農薬のリード化合物の候補となる天然の生理活性成分を探索するため、168種の植物を対象にアレロパシー活性(他の植物の生長を抑える働き)を評価し、高い活性をもつ上位20種を明らかにしました。
[背景と目的]
市販されている除草剤は常に抵抗性雑草の発生リスクが存在することから、新たな農薬のリード化合物の開発は重要な研究テーマです。そこで、合成物よりも環境への負荷が低いと期待される天然の生理活性成分を対象として農薬のリード化合物の候補物質を探索するため、アレロパシー活性の高い植物種をスクリーニングしました。室内検定においてアレロパシー活性の高い種は、野外において他の植物の生長を抑える化合物を含有している可能性が高いと考えられます。
[成果の内容]
高いアレロパシー活性をもつ植物種を探索するため、収集した計168種の植物を対象にアレロパシー活性をスクリーニングしました。活性の指標としては、それらの粗抽出物が示す植物生長阻害活性の強さを用いました。スクリーニングの結果、アレロパシー活性が高い上位20種を表1に示します。これらは1 mLあたり0.01〜7.0 mg 新鮮重相当量の濃度で50%のレタス幼根伸長阻害活性を示しました。
表中のユキヤナギは強い植物生長阻害活性を示すシスケイヒ酸配糖体を含むことが当研究所の研究ですでに明らかになっています。また今回、マドルライラックとシランの活性成分を単離し、それぞれクマリンとミリタリンであることを明らかにしました(図1)。この2成分は新規化合物ではありませんが、これらの植物に含まれる主要なアレロパシー化合物として同定されたのは初めてです。
以上のように、この表には、有望な植物生長阻害物質をもつ植物種が含まれている可能性が高く、新たな農薬リード化合物探索のための材料選択における有用情報としての活用が期待されます。
本研究は生研センターイノベーション創出基礎的研究推進事業「アレロケミカルの探索と新規生理活性物質の開発」による成果です。
リサーチプロジェクト名:情報化学物質・生態機能リサーチプロジェクト
研究担当者:生物多様性研究領域 加茂 綱嗣、平舘 俊太郎、作野 えみ(現:菌蕈研究所)、竹村 知子(現:酒類総合研究所)、藤井 義晴(現:東京農工大学)
発表論文等:1) Takemura et al., Am. J. Plant Sci., 4: 1095-1104 (2013)
2) Takemura et al., J. Trop. For. Sci., 25: 268-272 (2013)
3) Sakuno et al., Weed Biol. Manag., 10: 202-207 (2010)

表1 スクリーニングにおいて高い活性を示した20種

図1 スクリーニングで上位にランクした植物から得られた活性化合物

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